裸で樹のぼり

2009-04-24 | 【樹木】ETC
 「かわいそうね」
 「微罪だね」
 とか言われたりもしている。
 街中の公園に裸でいて逮捕された男が有名人だったので、大きなニュースになっていた。
 裸ということで思い出した。
 こちらは、若き女性の裸である。
 ピエール・ルイスの「ビチリスの歌」の「樹」という詩。
 鈴木信太郎の訳である。勝手に、行換えなどをした。
  著物を脱いで 樹のぼりをした。
  裸の腿で、滑らかな 湿った樹肌を 抱き締めた。
  サンダルが 枝から枝と渡ってゆく。
  天辺で、木の葉がくれに暑さを避けて、木の股に 妾は馬乗り。
  両足を 宙に ぶらぶらさせながら。
  雨はあがった。
  雫が落ちて肌を流れる。
  両手は 苔の染みがつき、足の指は 花踏みしだき 赤く染つた。
  横なぐりの風が吹くとき、この美しい樹が生き生きと 生きてゐるのを 妾は感じた。
  妾は脚をなほ締めつけて、枝の毛深い襟筋に 脣をひらいて 押しあてた。