ハナノキ(花の木)というカエデがある。花というと桜を思い浮かべがちで、カエデにいたることはなさそうだが、その名はカエデにつけられている。別名、ハナカエデである。
ソメイヨシノなどと同じく、葉がつきだす前に花が咲き、その花が真紅色で美しく密生するところから、そんな名をもらったという。
大きく育つと25メートルくらいにもなると言う。葉は浅く3裂。
辻井達一の「日本の樹木」(中公新書)には、ハナノキは、メグスリノキとも呼ばれると記されている。この表記が気になった。ハナノキとメグスリノキは、別の木である。葉の形も付き方も異なる。
同じ辻井著に、「東北地方では一般にカエデの類をハナノキあるいはハナと呼んだという。そして単にハナと呼ぶ場合は、イタヤカエデを指す場合が多いのだそうだ」とある。そうだとすると、ハナノキをメグスリノキと呼ぶことがあるというより、逆にメグスリノキをハナノキと呼ぶことがあると言った方がいいように思う。
一応、ハナノキとメグスリノキは別物であることを前提に、呼び方としていろいろあると覚えた方が頭が整理できるように思う。