ヒバカリがヒバカリを呑み込もうとしていた。
ヒバカリ(日計、日量)は、わが国に棲息する体長40~60センチの蛇。頸部に淡黄の帯がある。咬まれると、命はその日ばかりということで、その名がついたが、実際は毒を持ってはいない。
さて、一匹の蛇の口に、もう一匹のヒバカリの頭が入っていた。一匹は、呑み込まれまいと、近くのものに躰をからませ、頭を引き抜こうとしているように見えた。じっと眺めていたが、なかなか事態に進展は生じない。
と、なにかの拍子に二匹が離れた。あいつ、逃れることができたなと思ったら、そうはならなかった。二匹は激しく咬み合う動きをしめし、また、元のように躰を引き合うような状態となった。ただ、二匹が動いたとき、二匹以外の何かがチラッと見えたような気がした。
それで、よく見た。一匹のヒバカリの口から、何かが出ており、もう一匹が、それに食らいついているのだった。その何かは、第三のヒバカリなどではなく、泥鰌の下半身のようであった。そうか、この二匹のヒバカリは、一匹の泥鰌をめぐって取り合いをしていたのかと合点した。
穏和な性格と言われるヒバカリだが、こと食い物に関しては、譲り合いの精神などないのだな、そうだろうなと思った。
以上、多摩動物公園でのこと。
ヒバカリ(日計、日量)は、わが国に棲息する体長40~60センチの蛇。頸部に淡黄の帯がある。咬まれると、命はその日ばかりということで、その名がついたが、実際は毒を持ってはいない。
さて、一匹の蛇の口に、もう一匹のヒバカリの頭が入っていた。一匹は、呑み込まれまいと、近くのものに躰をからませ、頭を引き抜こうとしているように見えた。じっと眺めていたが、なかなか事態に進展は生じない。
と、なにかの拍子に二匹が離れた。あいつ、逃れることができたなと思ったら、そうはならなかった。二匹は激しく咬み合う動きをしめし、また、元のように躰を引き合うような状態となった。ただ、二匹が動いたとき、二匹以外の何かがチラッと見えたような気がした。
それで、よく見た。一匹のヒバカリの口から、何かが出ており、もう一匹が、それに食らいついているのだった。その何かは、第三のヒバカリなどではなく、泥鰌の下半身のようであった。そうか、この二匹のヒバカリは、一匹の泥鰌をめぐって取り合いをしていたのかと合点した。
穏和な性格と言われるヒバカリだが、こと食い物に関しては、譲り合いの精神などないのだな、そうだろうなと思った。
以上、多摩動物公園でのこと。