日ぐらしの声

2010-07-28 | 【断想】ETC
 早朝、寝床でヒグラシの声を聞く。
 まだ、僅かな時間だけ。
 式子内親王の歌をひとつ。
 松かげの岩まをくゞる水の音にすゞしくかよふ日ぐらしの声

櫟のその後

2010-07-21 | 【樹木】櫟
 2005年秋に拾った実から育てた櫟(クヌギ)のこと。
 覚えていて、「どうなっている」とたずねてくれた友がいる。
 おおいに嬉しかった。
 拾った7個の実のうち、ひとつだけが、4歳の木として生きている。

擬宝珠のかたち

2010-07-19 | 【草花】ETC
 「擬宝珠」を手元の辞書(福武古語辞典)で引く。
  《「ぎぼうし」「ぎぼし」とも》
  橋の欄干の柱の頭、または堂の棟などに付ける飾り。
  形はねぎの花に似ている。
 日陰にオオバギボウシを見る。
 その葉の形から名前がつく。
 花は、ユリ科の形。
 その色は白、グレーがかっているというか、くすんでいて透明感はない。

しおれた飾りもの

2010-07-18 | 【草花】ETC
 夜となると、生き生きと、花の周りにレースのような飾りもの。
 そして、朝となり、陽がのぼると、だらしなくしおれてしまう。
 それは、カラスウリの花。
 夜ともなり、一杯やると生き生きとする男、色っぽくなる女も世に多い。
 カラスウリは蔓性の多年草。
 山桃の木にからまっているところを見かけた。

漱石の裡に潜むもの

2010-07-16 | 読書
【本の紹介】
●風談 漱石句抄/東出甫国著/毎日ワンズ/2010年3月19日発行/1470円(税込み)
 夏目漱石は俳人でもあった。著者は、その折々の句を紹介する。それらは、漱石の生涯をたどるものであり、人との交わりの記念碑でもある。東京帝大同級の正岡子規をはじめ友人たちの死を悼み、亡き母を思い、忘れ得ぬ女性へのわだかまりとともに句がある。わたしはあなたの子なのだとの叫びであるかのような「梅の花不肖なれども梅の花」。漱石の心中深く潜むものが推察される。句は字数が限られているからこそ作者の本心が現れ出たりするとある。文豪・漱石を知る良書である。

「縁」深き竹柏の葉

2010-07-14 | 【樹木】ETC
 竹柏の木の葉を鏡のうらに付けておくと、会いたい人が、鏡のなかに現れるという言い伝えがあるそうな。
 なんだか、ぶきみな感じもするが。
 葉脈が縦に伸び、横に千切ることが容易でない竹柏の葉を、人は「縁」の強いものとして捉えてきた。
 奈良の春日大社のなかにも縁結びの神を祀る夫婦大國社がある。
 竹柏(ナギ)の林がそのあたりにひろがっている。

雨に濡れた竹柏

2010-07-13 | 【樹木】ETC
 雨降りのなか、ナギの林を見あげた。
 そのために、そこに行った。
 ナギの葉は、楕円から長楕円の形をしていて、広葉樹に見える。
 しかし、よく見れば、葉の根元から先に向かって、平行に脈が走っている。
 針葉樹なのである。
 よって、竹の葉などと同じで、葉を横にはたやすくちぎることはできない。
 暖地の山地に自生し、本州では、紀伊半島に多い。
 北限は関東南部と言われる。
 漢字では、梛もしくは竹柏、竹葉柏と書く。
 奈良の春日大社では、榊でなく、竹柏が神事に用いられる。

雨宿り

2010-07-10 | 【樹木】ETC
 三年前のこの時期、大津にいた。
 ノウゼンカズラの花をあちこちで見かけた。
 時々、雨がぱらついた。
 それで、俺たちは麦わら帽子をかぶっていた。
 昨日、大津でノウゼンカズラを見た。
 雨が降った。
 麦わら帽子はなかった。
 それで、藤棚のしたで、ひとり、雨宿りした。
 雲流れ瓦ケ浜は雨もようひとりとどまる藤棚の傘