「ギルガメシュ叙事詩」の一部である。
ギルガメシュは、友の死に遭い、永遠の生命を求めるようになり、それを得ようと彷徨う。
ギルガメシュは、いつまでも若く、永遠に続く生命を得たいと思い、彷徨い探す。そして、ある地で、こう告げられる。
「ギルガメシュよ。神々のみが知る秘密を教えてやろう。人の生命をあたらしくする『草』がある。その『草』は棘だらけの蝦みたいで、水底にある。お前の手を傷つけるであろう」
ギルガメシュは、水にもぐり、それを手に入れる。それを食する前に、冷たい泉があったので水浴をした。身を浄めたかったのである。
ギルガメシュが水浴中のことであった。
一匹の蛇が、『草』のにおいにひきよせられ、それを見つけ、くわえて去ってしまった。そして、蛇は戻ってきて、口から食べ滓を吐き出した。
ギルガメシュは、それを見て、自分が神の恵みを得られなかったことに落胆した。
以上は、私が想像をまじえて勝手に書いてみたものである。言語や歴史、生態等への無知による誤りの可能性が大いにある。このくだり、矢島文夫訳では次の通りである。
ギルガメシュよ、隠された事柄をお前に示してやろう
そして〔神の秘密を〕お前に話してあげよう
この草は〔 〕のようで〔
そのとげが〈バラ〉のように〔お前の手をさ〕すだろう
お前の手がこの草を得るならば、お前は生命を得るのだ
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するとギルガメシュは水が冷たい泉を見た
彼は水のなかへ降りて行って水浴をした
蛇が草の香に惹きよせられた
〔それは水から〕出て来て、草を取った
もどって来ると抜殻を生み出した
そこでギルガメシュは坐って泣いた
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私自身には恵みが得られなかった
大地のライオンに恵みをやってしまった
ここに出てくる、「蛇」「草」はどのようなものなのだろうか。草を食べる蛇とは、草とは言うが、草のようなものではなかったのか、ライオンに喩えられる蛇とは、いったい何なのか、ワニではないのか、でもワニとするなら、草とは、もっと大きな生き物でないのか、・・・想像は膨らむ。「抜殻」とは、何なのだろうか。蛇が吐き出した食べ滓と言うことも出来るが、あたらしい命ということからすると脱皮・再生のことだろうか。蛇は脱皮をし、生命力を感じさせる。