秋の風情

2012-10-19 | 【草花】ETC
 セイタカアワダチソウが、線路わきにいっぱいだ。
 近くの川っぺりに、セイタカアワダチソウの黄色い花が連なる。
 この季節、昆虫には大切な蜜源かも知れないが、セイタカアワダチソウは、風景を安っぽくする感じ。風情がない。
 ススキが群れているのはいいけど。

桜の枯葉から

2012-10-18 | 【樹木】櫻
 川っぺりの道で、桜の木の匂いがする場所がある。
 桜餅の葉っぱの匂いである。
 そこには、桜の木がはえている。
 だから、桜の匂いと確信していた。
 だけど、ものの本で、桜には匂いはないと読んだ。
 以来、あの匂いの正体は何なんだと、何年も思ってきた。
 しかし、田中修著「植物はすごい」(中公新書)で判明した。
 葉っぱが傷ついたり、梢と別れて死ぬと、匂いを発すると。
 よって、冬でも、枯葉が積もって、そこにあれば、匂いを出すことになる。
 なんだか、ホッとした。

白系の抹茶碗

2012-10-10 | 【断想】ETC
 先日、小金井公園での陶器市に行った。
 抹茶碗をひとつ買った。
 広島の金剛窯のものである。
 この陶器市は、近くでは、八王子や府中でも、時折、催される。
 以前、同じ金剛窯のものだったと思うのだが、確か八王子で、白い抹茶碗を買った。
 その後、同じ金剛窯のグレーと白が混じった色の茶碗を買った。
 はじめに買った白い茶碗がとても気に入っていた。
 お茶をたてると言っても、薄茶だけど、それを使うことが多かった。
 ところが、それを落として割ってしまった。
 似たものが欲しかった。
 幸い、小金井の陶器市に金剛窯のおじさんが店を出していた。
 割った茶碗とは、いささか趣が違っているが、白系のものを買った次第。
 店のおじさんは、自分が焼いていると言っていた。
 結局、そのおじさんのものに魅かれているのかなと思う。
 今回、まけてもらおうと、いくらならと、金額を口にした。
 その時、わたしの提示金額より低い金額を、おじさんが口にした。
 即刻、それで決めた。
 家に帰って、テーブルに茶碗を置いたとき、おさまりに少し難があった。
 それでも、気に入った。
 陶器市には、多くの店が出ている。
 あれこれ見ながら、結局、そのおじさんのを選ぶ自分に気づく。
 好みというのは、あるものだなと。
 写真は、割ってしまい今はなき茶碗。

「秋の七草」

2012-10-09 | 【草花】ETC
 秋の野に咲きたる花を指折りかき数ふれば七種の花
 萩の花 尾花 葛花 撫子の花 女郎花 また藤袴 朝顔の花
 山上憶良の歌である。この歌が「秋の七草」が言われる始まりとなった。
 このうち、女郎花、藤袴は、地味な花でもあり、そんなに好まれず、比較的見かけることも少ない。
 藤袴については、そうと思って撮った写真があったのだが、本当にそうなのか、近縁種なのか判断がつかなかった。
 それで、花屋、植物園で、「藤袴」との表示があるのを見つけて確認した。植物については、こういうことがしばしばだ。

渋を抜く

2012-10-05 | 【樹木】ETC
 知ったことがあるので、忘れないうちに書きとめておこう。
 人里の秋の風景に橙色の実をつけた柿の木。
 その柿の渋みは、タンニンによる。
 タンニンは水溶性で、実のなかに溶け込んでいる。
 よって、かぶりつくと渋い。
 しかし、このタンニンは、不溶性に変じる性質をもつ。
 すっかり熟す頃となれば、そうなる。
 不溶性となり、口に入れても溶け出さず、渋みが感じられなくなる。
 黒いゴマが、変じたものである。
 せっかちな人間は、様々なやり方で、その変化を起こさせる。
 いわゆる「渋抜き」である。

着むよしもがな

2012-10-04 | 【断想】ETC
 朝、肌寒い季節となってきた。
 秋である。
 秋の七草のひとつ、女郎花を入れ込んだ歌を万葉集でさがした。
 巻第十七に見つけた。
 大伴宿禰池主が大伴家持の館に行ったときの歌。
 その「をみなへし」の歌の隣に次ぎの一首。
 《秋の夜は暁寒し白栲の妹が衣手着むよしもがな》
 任務でいとしい人と離れて暮らしている。
 それで、肌寒くなった秋の朝、共寝の人と衣を重ねることができない。
 さみしいな。
 いとしい人のいる都に帰りたいな。

「きのこ目」

2012-10-03 | 読書
【本の紹介】
●きのこの話/新井文彦著/ちくまプリマー新書/2012年3月10日発行/1029円(税込み)
 著者は写真家にして大のきのこ好き。きのこに関するあれこれが語られ、美しい写真とともに愉しめる本である。日頃、食べものとしてしか接していないきのこのこと、たまに、その種類や生態のことも気にしていいのでないか。カメラを携えて、主に北海道の阿寒湖周辺の森を歩くとのこと。いかにも楽しそうで、いつしか「きのこ目」をわがものにしたとある。すなわち、きのこの存在を敏感に感じ取る目を持つにいたったと。その夢中さに、羨望をさえ覚えさせられる。自然と人のかかわりなどにも言及。

「夢をめぐる旅」

2012-10-02 | 【断想】ETC
 府中の美術館に行った。
 「夢をめぐる旅」と付けられたポール・デルヴォー展を見た。ポール・デルヴォー展が国内で行われていることに気づいていて、近くで催されたらと思っていた。
 思っていたより点数も多く、充実した企画で、しかも会場がすいていて、ゆっくり見ることができた。デルヴォーの初期の作品、晩年のもの、それにシュールレアリズムのものというか、いわゆるデルヴォーらしいものも多く、充実した時を過ごせた。
 水彩画で使われていた赤色、磔の骸骨などが印象に残った。
 デルヴォーの作品に意識をもって接するようになったのは、高校時代に澁澤龍彦の美術批評を読んでからだった。デルヴォーに限らず、澁澤龍彦の影響は大きかったなと改めて思う。

いよよますます

2012-10-02 | 読書
 笠間書院の「コレクション日本歌人選」シリーズの「大伴旅人」にザッと目を通した。39首の歌が選ばれ、それぞれに解説が付けられている。また、解説の中でも歌がとりあげられている
 39首から5首、解説の中から2首、気に入ったものを記しておこうと思う。気に入りと言うが、要するに浅学の私にも意趣のとりやすいもの。
 世の中は空しきものと知る時しいよよますます悲しかりけり
 吾が盛りまたをちめやもほとほとに寧楽の京を見ずかなりなむ
 吾が命も常にあらぬか昔見し象の小河を行きて見むため
 験なき物を念はずは一坏の濁れる酒を飲むべくあるらし
 吾が園に梅の花散る久方の天より雪の流れ来るかも
 生ける者遂にも死ぬる物にあれば今生なる間は楽しくをあらな
 吾妹子が植ゑし梅の樹見るごとに情むせつつ涕し流る