龜甲會主宰の加藤光峰氏にお会いした。
お顔を見るのは、三度目だった。
いにしえの甲骨文、金文をベースとした書芸術の創作をされている方である。
白い紙に、墨で書かれた文字は迫力に満ちている。
文字の始原は、人の感性や思いが何であったかとつながっている。
また、その作品は、そういう理屈を超えた絵画的おもしろみもある。
うまく表現できないが、とても素晴らしい。
素晴らしい出会いでもあった。
先般、京都展が開かれた。
そこで、吉岡祥鬼氏の「蓬莱山-亀の上の山」と題された作品を見た。
間近に堂々とした亀が首をもたげている。
そして、遙か彼方に山並みが眺められる。
わたしには、そのように見えた。
蕪村の俳句が思い出された。
蕪村は、画家でもあり、遠近感のある句も多い。
蕪村の句集を開いて、次の句を見つけた。
飛蟻とぶや富士の裾野の小家より
飛蟻(はあり)が、クローズアップされている。
羽蟻が飛び立つ。そして、彼方には、富士山が眺められる。
吉岡氏の作品に刺激されて、駄作をひとつ。
山の裾大亀立ちて何思う