マイルス・ディビスの「1958マイルス」(CBS)から、「オン・グリーン・ドルフィン・ストリート」。
演奏は、以下の錚々たる顔ぶれ。
マイルス・ディビス(tp)
ジョン・コルトレーン(ts)
キャノンボール・アダレイ(as)
ビル・エバンス(p)
ポール・チェンバース(b)
ジミー・コブ(ds)
イントロは、ビル・エバンスのピアノ。
ミュートをきかしたマイルスのジャージーなトランペットが続く。
そして、コルトレーンのふくよかなテナー・サックスのソロ。
キャノンボールのハイレベルで安定感のあるアルト・サックス。
全体をとおして、エバンスが洒落たムードをつくっている。
なんともいやはやの名演である。
ソニー・ロリンズの「オン・インパルス」(1965 インパルス)から、「オン・グリーン・ドルフィン・ストリート」。
以下のメンバーによるワンホーンの演奏である。
ソニー・ロリンズ(ts)
レイ・ブライアント(p)
ウォルター・ブッカー(b)
ミッキー・ローカー(ds)
ロリンズです、とばかりにテナー・サックスではじまる。
当時のジャズ・シーンがロリンズの演奏に影響しているせいもあるのだろうが、かなり原形と異なるものとなっている。
ロリンズを聞くにはいいかも知れぬが、「オン・グリーン・ドルフィン・ストリート」の曲そのものを聞くにはふさわしくないかな。
なんだか、もとの形をなぞりたくて、それにふさわしいかどうかは分からぬが、サラ・ヴォーンとサリナ・ジョーンズのヴォーカルを改めて聞いた。
ハービー・ハンコックの「処女航海」から、自身が作曲した「ドルフィン・ダンス」。
トランペットを吹くのは、フレディ・ハバード。
1965年の録音だ。
チェット・ベイカーの「オワイト・ブルース」から、「ドルフィン・ダンス」。
これは、1983年の録音だ。
この曲のイルカは、曲芸でジャンプをするようなのでなく、静かになめらかに泳ぐ。
ハービー・ハンコックのは、昼の凪いだ海を連想。
チェット・ベイカーのは、夜の誰もいない海を連想。
ジャズのスタンダード・ナンバー「オン・グリーン・ドルフィン・ストリート」。
もともとは、映画「大地は怒る」のテーマ・ミュージックで、ブロニスラウ・ケイパーが作曲した。
1947年のことで、第二次世界大戦が終わってまもなくの頃である。
そして、後にネッド・ワシントンが歌詞を付け、広く歌われるようになった。
しかし、インストルメンタルの曲としても人気があリ、よく演奏される。
とてもモダンで、洒落れている、そのうえ幻想的でもある魅力的な曲、バラードである。
そのタイトルだが、「グリーン・ドルフィン通り」と聞くと、港町かな、近くの海には青緑いイルカが泳いでいるのかなとイメージがふくらむ。
詞は、グリーン・ドルフィン・ストリートでの恋の思い出を歌ったもので、「夢だったかのようだけど・・・」というもの。
ヴォーカル、インストゥルメントにとりあえず以下のようなもの。
●ヴォーカル:マーク・マーフィー「ラー」(リヴァーサイド)
●ヴォーカル:サリナ・ジョーンズ「星へのきざはし」(東芝EMI)
●ヴォーカル:サラ・ヴォーン「ザ・ベスト・オブ・サラ・ヴォーン(EMI)
●ヴォーカル:メル・トーメ「カミン・ホーム・イビー」(アトランティック)
●インストゥルメント:マイルス・ディビス「1958マイルス」(CBS)
●インストゥルメント:オスカー・ピーターソン「ロンドン・ハウス」(ヴァーブ)
●インストゥルメント:エリック・ドルフィー「アウトワード・バウンド」(Prestige)
●インストゥルメント:ソニー・ロリンズ「オン・インパルス」(インパルス)
●インストゥルメント:バニー・ケッセル他「ポール・ウインナーズ」(CONTEMPORARY)
●インストゥルメント:デューク・ジョーダン「フライト・トゥ・デンマーク」(Steeple Chase)
上記のうち、手元にCDがあるサリナ・ジョーンズ、サラ・ヴォーン、バニー・ケッセル、デューク・ジョーダン、エリック・ドルフィーと聞いた。
ドルフィーの奏する管楽器のヴァラエティーにとんだ音色は、素晴らしい。
OLD DEVIL MOON:オールド・デヴィル・ムーン:老いた悪魔の月
バルネ・ウィランの「ニューヨーク・ロマンス」で、この曲を聞いて、ソニー・ロリンズのものもと思った。
バルネ・ウィランは、ソニー・ロリンズにあこがれていたようだから、それでの選曲なのだろうか。
ロリンズのは「ビレッジ・バンガードの夜 VOL.1」に収録されている。
CDでは、ラストに位置しているが、もともとのLPでは、トップだったはずだ。
久し振りに聞く。
やっぱり、ロリンズ、凄いな。パワフル、迫力が。
時の流れをこえた凄さがある。
バルネ・ウィラン・カルテットの「ニューヨーク・ロマンス」(ヴィーナス 1994)
ピアノにケニー・バロンを迎えてのカルテット。
バルネ・ウィラン(ss,ts,bs)
ケニー・バロン(p)
アイラ・コールマン(b)
ルイス・ナッシュ(ds)
曲は、デューク・ジョーダン作曲の「危険な関係のブルース」から始まる。
2曲目には、昨日、ジュリー・ロンドン他で聞いた「クライ・ミー・ア・リバー」。
今にも消えいりそうな静かな演奏になっている。
これをアタマに、よく知られたスタンダード・ナンバーがならぶ。
ウィランのインプロビゼーション、いささかありきたりかな。
アッと感じさせるところないような。
7曲目の「ドント・フェンス・ミー・イン」は、ほとんど普通に吹いている。
こう言うのが、なめらかでソフトな特色がよく出ていいのでないかな。
8曲目「オールド・デヴィル・ムーン」、老いた悪魔の月とは、どんな月かな。
ラストは、「アイ・ウィル・セイ・グッバイ:I Will Say Goodbye」。
生きていると、もうサヨナラと言いたくなる出会いもあるな。
サヨナラしたくない友が、サヨナラになってしまったりもあるな。
1.危険な関係のブルース'94
2.クライ・ミー・ア・リバー
3.ブルース・ウォーク
4.ユーブ・チェンジド
5.ユード・ビー・ソー・ナイス・トゥ・カム・ホーム・トゥ
6.マック・ザ・ナイフ
7.ドント・フェンス・ミー・イン
8.オールド・デヴィル・ムーン
9.アイ・ウィル・セイ・グッバイ
松田聖子の「スイート・メモリー:SWEET MEMORIES」。
この前、「フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン」をオリビア・オンと言うフィリッピン出身の女性歌手が歌うのを、ユーチューブで聞いた。
とても素晴らしかった。
そして、その人が、「スイート・メモリー」をも歌っていた。
これがまた、とてもよかった。
それで、もととなる松田聖子のも聞き直した。
とても、うまいな、声もすばらしいなと改めて感じた。
女性のかわいさを感じさせる声、か弱さを守ってやらなくてはと思わせる声である。
松田聖子が登場した頃のことを思い出す。
やはり、すてきだなと感じていたこと。
ちょっと、それまでにないよさが感じられるなと思っていたこと。
新宿の歌舞伎町で毎夜、飲んでた頃だ。
よく行った店に、聖子と言う名前の女性もいたな。
フランスのテナー奏者バルネ・ウィランのロマンス三部作のひとつ。
それが、地中海地方に照準をあてた選曲で「パッショーネ」。
1995年、ヴィーナス・レコードからのCDである。
いつもの通り、ジャケットには、美女モデルを使っている。
それだけでも、聞いてみようかと思わせる。
バルネ・ウィラン・クインテット
バルネ・ウィラン(ts,as,ss)
エンリコ・ラバ(tp)
アラン・ジャン・マリー(p)
ジル・ナチュレル(b)
フィリップ・ソアラ(ds)
イタリアのトランペッター、エンリコ・ラバをフィーチャリングしている。
1.ジターバッグ・ワルツ
2.マイ・シップ
3.ライン・フォー・ライオンズ
4.エスターテ
5.ベネチアン・ルンバ
6.パッショーネ
7.ベゴニア
8.ベサメ・ムーチョ
9.ベラ・チャオ
10.波止場にたたずみ
11.アル・ヘラズ
「危険な関係」サウンドトラックの「プレリュード・イン・ブルー」のバルネ・ウィランがよかった。聞いてみようと言う気持ちにさせられたのだ。
バルネ・ウィランを聞くための参考アルバム。
1957年 「死刑台のエレベーター」(フォンタナ)※マイルス・ディビス
1959年 バルネ(RCA)
1959年 「危険な関係」(フォンタナ)※アート・ブレイキー
1988年 ワイルド・ドッグス・オブ・ザ・ルウェンゾリ(IDA)
1989年 ふらんす物語(アルファ・レコード)
1993年 ニッティ・グリッティ(ヴィーナス)
1993年 五木の子守歌(ヴィーナス)
1994年 ニューヨーク・ロマンス(ヴィーナス)
1995年 パッショーネ(ヴィーナス)
デューク・ジョーダン・トリオの「プレイズ・スタンダーズ:PLAYS STANDARDS」。
1983年、コペンハーゲンで録音。
CDは、:センチュリー・レコード発売。
いつしか、デューク・ジョーダンのピアノが、すっかり好きになってしまった。
それで、このアルバムも聞こうと思った。
その名の通り、スタンダード・ナンバー6曲が演奏されている。
なかなか聞かせるアルバムだ。
演奏しているトリオのメンバー。
デューク・ジョーダン:Duke Jordan(p)
イエスパー・ルンゴー:Jesper Lundgaard(b)
オデア・タンゴー:Aage Tanggaard(ds)
収録曲は、以下。
1.I SHOULD CARE
2.AUTAMN LEAVES
3.CRY ME RIVER
4.GONE WITH THE WIND
5.THESE FOOLISH THINGS
6.THE WAY YOU LOOK TONIGHT
これら、スタンダード・ナンバーの基礎知識だけメモしておこう。
ついでに、他のプレイヤーによるものを聞いてみよう。
1,アイ・シュッド・ケア:I SHOULD CARE
作詞・作曲:サミー・カーン+アクセル・ストーダール+ポール・ウェイン(1944)
ラブ・ソングで、ジューン・クリスティの歌ったのが知られているようだ。
また、パウエル、モンク、エバンスとピアニストたちの演奏の評価が高い。
以下、聞いてみた。
・チェット・ベイカーが、ストリングスをバックにトランペットを奏でたもの。
・バド・パウエルのピアノ、「バド・パウエルの芸術」で。
・セロニアス・モンクのピアノ・ソロ、「セロニアス・ヒムセルフ」で。
・エディ・ヒギンズのピアノ・トリオ、「魅せられし心」で。
2.オータム・リーブス(枯葉):AUTAMN LEAVES
この曲は、サラ・ヴォーン、キャノンボール・アダレイ、ビル・エバンス・・・素晴らしい演奏が多数ある。
3.クライ・ミー・ア・リヴァー:CRY ME RIVER
作詞・作曲:アーサー・ハミルトン(1953)
「クライ・ミー・ア・リヴァー」は、川のように涙を流して泣くと言うような意。
不誠実な恋人に泣かされると言うブルー・バラードである。
ジュリー・ロンドンが歌って大ヒットした。
・ジュリー・ロンドンのヴォーカルで聞く。
ギターとドラムだけの伴奏で歌う最初のものと後の盤とで。
・ニッキ・パロットの色っぽい歌いぶりの「ムーン・リバー」で。
4.ゴーン・ウィズ・ザ・ウインド(風と共に去りぬ):GONE WITH THE WIND
歌詞:ハーブ・マジソン、作曲:アリー・リューベル(1937)
同名の映画とは別のもの、もともと、失恋のスロー・バラード。
・エラ・フィッツジェラルドの歌、「イン・ベルリン」で。
さすが、エラ、元気よくのってます。
5.ジーズ・フーリッシュ・シングス:THESE FOOLISH THINGS
作詞:ホルト・マーベル、作曲:ジャック・ストレイチー+ハリー・リンク(1936)
去ってしまった恋人の品々をてもとに悲嘆にくれる歌。
・スコット・ハミルトンとエディ・ヒギンズ・トリオの「マイ・フーリッシュ・ハート」で。
・チェット・ベイカー・セクステットの「チェット・イズ・バック」で。
もうひとつ、「イン・パリス チェット・ベイカー・カルテット プレイズ・スタンダーズ」で。
・さらに、チェット・ベイカーでもうひとつ「ホワイト・ブルース」で。
・スタン・ゲッツのテナー・サックス、「プレイズ」で。
6.ザ・ウェイ・ユー・ルック・トゥナイト(今宵の君は):THE WAY YOU LOOK TONIGHT
作詞:ドロシー・フィールズ、作曲:ジェローム・カーン(1936)
どんなに辛いことがあっても、今宵の君のことを思い出せば、何とかなるさと言う歌。
1936年の映画「スイング・タイム(有頂天時代)」で、主演のフレッド・アステアが歌った。
・ペギー・リーのヴォーカル、「ペギー・リーの肖像」で。
バックに可愛いセレステの音が入っている。
・スタン・ゲッツのテナー・サックス、「プレイズ」で。
これで、ピアノを弾いているのは、デューク・ジョーダン。
・アート・ペッパーのアルト・サックス、「サーフ・ライド」で。
アップ・テンポで、のりのりの演奏。
ピアノの名演盤紹介の本をみていたら、ハンク・ジョーンズの名で「サムシン・エルス」が載っていた。
言わずと知れたモダン・ジャズの名盤中の名盤、キャノンボール・アダレイの名義で出ている「サムシン・エルス」である。
1958年、ブルー・ノートからで、ともかく演奏メンバーが凄い。
キャノンボール・アダレイ(as)
マイルス・ディビス(tp)
ハンク・ジョーンズ(p)
サム・ジョーンズ(b)
アート・ブレイキー(ds)
確か、マイルス・ディビスもこのレコードでのミュートをきかしたトランペットでおおいに人気を高めたはずだ。
改めて聞いて、「名盤中の名盤」、「歴史的名盤」と言う評価に納得である。
アルト・サックス、トランペット、ピアノ、ベース、ドラム、どれもこれも魅力的である、素晴らしい。
鮮烈な印象をもたらすマイルス・ディビスのトランペットと一緒に、キャノンボール・アダレイのサックスを聞くと、凡庸な感じもする。しかし、並の技ではない、それに、おおらかで優しさが感じられ、それが魅力となっている。
収録曲は、以下の通りである。
1面、1.枯葉
2.ラヴ・フォー・セール
2面、1.サムシン・エルス
2.ワン・フォー・ダディ・O
3.ダンシング・イン・ザ・ダーク
2面の1の「サムシン・エルス」は、マイルス・ディビスの曲である。曲中、ハンク・ジョーンズのピアノは、凄く抑制して鍵盤を叩いているように聞こえる。
このレコードについては、LPとCDをもっている。CDには、1曲おまけで、「アリソンズ・アンクル」が付いている。
デューク・ジョーダンの「フライト・トゥ・デンマーク:デンマーク」より。
続けて、「エターナル・トラベラーズ」より。
このタイトル、「愛は海より・・・」と、訳されているが、何かもっといい訳ないだろうかとも思う。
「とっても深いんだよ、この海は・・・」。
ここのところ、「アランフェス協奏曲」と言うと、ジム・ホールのを聞くことが多い。
それに、クラシック盤を超えたとも評されたマイルス・ディビスのもの。
今日は、クラシックで。
もともとは、ホアキン・ロドリーゴによる名曲。
フィルハーモニア管弦楽団
指揮:ガルシア・ナバロ
ギター:ナルシソ・イエペス
1979年に、ロンドンで録音。
バルネ・ウィランで「黒いオルフェ」。
スタン・ゲッツ&ゲイリー・マクファーランドで「カーニヴァルの朝」。
ポール・デスモンドの「テイク・テン」の「黒いオルフェ」。
バルネ・ウィランはいささか気負いぎみ。
スタン・ゲッツのは、オケが入って大袈裟に。
くつろぎには、ポール・デスモンドがジム・ホールとやっているのがいい。
「あなたと夜と音楽と」、この曲の演奏では、ビル・エバンスのものが人気があるようだ。
You and the night and the music fill me with flaming desire,
Setting my being completely on fire !
「あなたと夜と音楽がわたしを燃え上がらせる・・・」と歌われる。
作詞は、ハワード・ディーツ、作曲は、アーサー・シュワルツ。
ジュリー・ロンドンのヴォーカルで聞く。
そして、キース・ジャレットのピアノ・トリオで。
チェット・ベイカーの「チェット」で、この演奏のピアノは、ビル・エバンス。
エディ・ヒギンズのピアノ・トリオで。
このように、聞きくらべると、キース・ジャレットのは、高度すぎる。
夜、愉しむには、凡庸なと言うと失礼かも知れぬが、エディ・ヒギンズのがいい。