“ハンブルクの潮の満ち干”

2022-11-27 | 【断想】音楽

 二週間ばかり前に聞いたウェス・モンゴメリーの「ロード・ソング」がバロック調だったので、バロックの調べが聞きたくなった。
 何にしようかと考えたあげく、テレマンの「水上の音楽/ハンブルクの潮の満ち干」にした。
 ネヴィル・マリナー指揮、アカデミー室内管弦楽団(LONDON)で。
 この曲が収録されているCDには、ピンクの付箋が付けてある。
  わたしの気に入りのシルシである。
 10の楽章になっていて、そろぞれに、「恋するネプトゥーヌス」とか「道化」、「嵐」とか名前が付けられていて、愉しく聞ける。


“ジュイャッキーズ・パル”

2022-11-26 | 【断想】音楽

ジャッキー・マクリーンの「ジュイャッキーズ・パル」(1958 Prestige)
このアルバムの紹介に、「・・・マクリーンのハードバップの輝かしき記録(CDオビ)」とか「典型的なマイナー・ムードのテーマに始まるハードバップ」(後藤雅洋)とある。
要するに、ジャズの分類から言えば、ハードバップで、マクリーンらしさの出たものと言うことか。 ハイテンションとは異なる気分、憂愁ガ感じられると言うことか。
サキソフォーン、トランペットのフロントだけでなく、ピアノ、ベース、ドラムスのリズム・セクションもそれなりの存在感を示している。
そういう顔ぶれでの演奏なのだ。
〈パーソネル〉
ジャッキー・マクリーン(as)
ビル・ハートマン(tp)
マル・ウォルドロン(p)
ポール・チェンバース(b)
フィリー・ジュー・ジョーンズ(ds)
〈曲目〉
1.スウィート・ドール
2.ジャスト・フォー・マーティ
3.ディーズ・ディレンマ
4.サブルース
5.スティープルチェイス
6.イット・クッド・ハプン・トゥ・ユー


“エル・マタドール”

2022-11-25 | 【断想】音楽

 ケニー・ドーハムの代表作のひとつとされる「マタドール」(1963 United Artists)
  〈パーソネル〉
 ケニー・ドーハム(tp)
 ジャッキー・マクリーン(as)
 ボビー・ティモンズ(p)
 テディ・スミス(b)
 J.C.モービス(ds)
 〈ソング・リスト〉
 1.エル・マタドール
 2.メラニー
 3.スマイル
 4.ビューティフル・ラヴ
 5.ゼア・ゴーズ・マイ・ハート
 6.プレリュード
 7.ナ・マス
 8.イット・クッド・ハップントゥ・ユー
 9.レッツ・フェイス・ザ・ミュージック・アンド・ダンス
 10.ノー・トゥー・ピープル
 11.ラヴァー・マン
 12.サン・フランシスコ・ビート
 もともとLP盤で出たときは、A面に、1と2の2曲、ただし「メラニー」は、パート1~3。B面に、3~6の4曲。
 このCDの「メラニー」は、演奏時間が11分30秒。オリジナル盤でパート1~3とされたものが、特にそのように分けていないだけかも知れぬ。
 もの悲しくて、いじましいようなトランペットの音。
 さみしい波止場で、ひとり試し吹きしてるようなサキソフォーンの音。
 「お化け屋敷」のような「メラニー」。
 「ビューティフル・ラヴ」とは、どういうことなのだろうか。
 分からない。
 分からないことだらけだ。
 「プレリュード」、俺の人生の「プレリュード」は、とっくに終わっている。
 フィナーレが近いのだ。
 「レッツ・フェイス・ザ・ミュージック・アンド・ダンス」、ありきたりのフレーズが身にしみる。
 この世には、そんなに変わったことはない。
 そんな風に、聞こえる。
 幼友達が亡くなったと言う彼、彼のために僕が何ができというのか。
 多くの友が、死んでしまった。
 いったいこの世の生とは、何なんだろう。
 生きていてできることは何なんだろう。
          ◇
 マタドールで思い出し、アンドレ・マッソンの「闘牛鑑」(須藤哲生訳・現代思潮社 1971)を開いてみた。
 背に剣を突き刺された牛のイラストを見る。
 「闘牛技」の出だしを読んでみる。
 「さてそこで、マタドールは直立する、非の打ちようもなくぴたりと揃えた両足は・・・・・」
 「友竹辰詩集」を開く。昭和48年、思潮社発行。
 「・・・・・背ニ痛ミヲ覚エタ時 オレノ怒リハ角ニアツマリ・・・・馬ガ 飾リタテタ騎者ヲノセタママ オレノ頭ノ上ニ花簪ノヨウニ止マッタ。血ガシブキ・・・・」


夢そよぐ風:Dreamer

2022-11-23 | 【断想】音楽

 イリアーヌ・イリアス:ELIANE ELIASの「夢そよぐ風:Dreamer」
 2004年の録音で、BLUEBIRD=BMGから。
 彼女は、1960年、ブラジル・サンパウロの生まれ。
 ジャズ・ヴォーカリストでありピアニスト。
 ジャケットに、彼女の美貌。
 「スローなボッサの歌とリズム」とある。
 〈ソング・リスト〉
 1.コール・ミー
 2.ビーズと腕輪
 3.フォトグラフ
 4.ムーヴィン・ミー・オン
 5.ソー・ナイス
 6.ザッツ・オール
 7.タンジェリン
 8.ドリーマー
 9.タイム・アローン
 10.ドラリシ
 11.ハウス・イズ・ノット・ア・ホーム
 12.嘘をつかないで
 美しいのは、彼女の貌だけではない。
 とても素敵な歌声に、爽やかな風に吹かれているような気分になる。

 素敵なボサノヴァを聞きながら、「シートン動物記」の「オオカミ王ロボ」を読んだ。
 学研からのこども向け「世界名作シリーズ」のひとつだ。
 編訳:千葉茂樹、絵:姫川明月である。
 


“オン・サボイ”

2022-11-23 | 【断想】音楽

 チャーリー・パーカー
 チャーリー・パーカー・オン・サボイ(サボイ、キングレコード)
 完全版ということで、CD3枚組。
  録音は1945~48年。
 曲順等、オリジナル盤からは、かなり整理されているとのこと。
 曲は、「TINY GRIMES QUINTET」「CARRIE PARKER'S REBOPPERS」「CARRIE PARKER ALL-STARS」「MILES DAVIS ALL-STARS」と言うように演奏者・形態によってまとめられている。
 演奏者には、チャーリー・パーカー、マイルス・ディビス、ディジー・ガレスピー、バド・パウエルらがいる。
 どうしてか、チャーリー・パーカーには、特別の魅力を感じない。
 「音楽」と「情感」、チャーリー・パーカーは、音楽派だと思う。


“ア・ラ・モード:A La Mode”

2022-11-23 | 【断想】音楽

 アルバム: ART BLAKEY Jazz Messengers(ア・ラ・モード:A La Mode)
 レコーディング:1961年
 レーベル:インパルス
 メンバー:アート・ブレイキー(ds)
      リー・モーガン(tp)
      カーティス・フラー(tb)
      ウェイン・ショーター(ts)
      ボビー・ティモンズ(p)
      ジミー・メリット(b)
 ソング;1.ア・ラ・モード
     2.インビテーション
     3.サーカス
     4.ユー・ドント・ノウ・ワット・ラヴ・イズ(君は恋の何かを知らない)
     5.アイ・ヒア・ア・ラプソディー
     6.GEE BABY, AIN'T I GOOD TO YOU
 以上の情報があれば、どういう傾向のジャズで、どういうレベルのアルバムかが分かるだろう。
 「君は恋の何かを知らない」は、聞いているとしんみり。
 でも、暗くはならない。溌剌と若々しい音もする。
 3つのホーン、それぞれに個性があって、楽しめる。
 それぞれに光るスターたちをまとめていくアート・ブレイキーは、ほんとうに素晴らしい。

 


“W.K.枯葉”

2022-11-20 | 【断想】音楽

 日本でウィントン・ケリーの「枯葉」と言う名前で売られているアルバム、ジャケットを見ると「WYNTON KELLY!」(Vee Jay)とあるだけである。
 1961年の7月20日、21日にレコーディングされたもので、確か完全盤ということで、2枚組みのものがある。
 1枚のものでは、盤によって選曲が異なるようだ。
 わたしが持っているCDでは、以下の曲が収録されている。
 1.降っても晴れても
 2.愛を仕掛けて
 3.枯葉
 4.飾りのついた四輪馬車
 5.ジョーズ・アベニュー
 6.サッシー
 7.わたしの愛は
 8、風と共に去りぬ
 9、チャーズ・ブルース
 古いガイド・ブックには、「W,K,ブルース」、「いつか王子様が」の曲名が見られる。
 聞いて、ハイレベルなアルバムだなと感じる。
 申し分がない。
 幅広いジャズ・ファンの人気を得て当然だろうと思えるアルバムだ。
 とても、聞きやすく、嫌味がない。スマートである。
 わたしは、へそ曲がりなので、もっとクセがあってもいいんじゃないかと言いたくなる。
 〈パーソネル〉
 ウィントン・ケリー(p)
 ポール・チェンバース(b)
 サム・ジョーンズ(b)
 ジミー・コブ(ds)


A.T.'s デライト

2022-11-19 | 【断想】音楽

 アート・テイラーのリーダー・アルバム「A.T.'s デライト」(1960 Blue Note)
 〈delight;大喜び。大好きなこと。〉
 演奏メンバーにスタンリー・タレンタイン(ts)がいる。
 ピアノはウィントン・ケリー、ベースはポール・チェンバース。
 気になるアルバムだ。
 他に、ディヴ・バーンズ(tp)とパタート・ヴァルデス(conga)の二人。
 演っているのは、次の6曲。
 1.シーダス・ソング・フルート
 2.エピストロフィー
 3.ムーヴ
 4.ハイ・シーズ
 5.クークー&フンジ
 6.ブルー・インタールード
 「シーダス・ソング・フルート」、「エピストロフィー」あたりがいいな。
 アート・テイラーのソロ・ドラミングが、あちこちで聞ける。

 


“ブルースニク”

2022-11-18 | 【断想】音楽

 ジュッキー・マクリーンの「ブルースニク」(1961 Blue Note)
 ジュッキー・マクリーンの魅力であるブルージーで奇妙な調べを愉しめるアルバムだ。
 奇妙な調べと言ったが、それではなんだかわからない。
 どのように表現したらいいものだろうか。
 泣きべそ風、泣き虫のごっつい奴。
 いずれにしろ、ジャズのかっこよさを感じさせる。聞いていると、自然にからだが動く。
 マイナーであっても、落ち込まない。
 どんなに深刻な事態でも、笑い声は聞こえるような。
 そこがジャズのよさ。
 〈パーソネル〉
 フレディ・ハバート(tp)
 ジュッキー・マクリーン(at)
 ケニー・ドリュー(p)
  タグ・ワトキンス(b)
 ビート・ラ・ロカ(ds)
 〈ソング・リスト〉
 1.ブルースニク(ジュッキー・マクリーン)
 2.ゴーイン・ウェイ・ブルース(ジュッキー・マクリーン)
 3.ドリューズ・ブルース(ケニー・ドリュー)
 4.クール・グリーン(ケニー・ドリュー)
 5.ブルース・ファンクション(フレディ・ハバート)
 6.トーチン(ケニー・ドリュー)
 持っているCDでは、2と6に別テイクがあり、8トラック。
 ここのところ、次々と気に入るアルバムに出会っている。


“ラ・ノート・ブルー”

2022-11-14 | 【断想】音楽

  CDに付いているパンフに、NOW ON SALEとして一連のアルバムの宣伝が載っている。
 IDA RECORDS/ALFA JAZZが売っているものである。
 以下の5枚のアルバムのジャケット写真が載っているる。
 1.ラ・ノート・ブルー(1986)
 2.フレンチ・バラッズ(1987)
 3.ワイルド・ドッグス・オブ・ザ・ルウェンゾリ(1988)
 4.フレンチ・ストーリー(1989)
 5.パリス・ムード(1990)
 「ラ・ノート・ブルー」は、この一連のアルバムのトップをきったもの。
 バルネ・ウィランのカムバック・アルバムと言われている。
 CDは、16トラックで成っている。
 全体にムード・ジャズ。妖しさをただよわせているのもある。
 とりわけ、3つめの「ポーリーヌ」、これは果たしてジャズだろうか。
 フルボディの赤ワインが飲みたくなるな。
 気遣いなしの友だちと。


“ロード・ソング”

2022-11-11 | 【断想】音楽

 「ロード・ソング」(1968 CTI)
 ウェス・モンゴメリーの最後のアルバムだ。
 このレコーディングから、1ヶ月後、ウェス・モンゴメリーは、心臓麻痺で急逝。
 43歳だった。
 アルバムには、9曲収録されている。
 うち、「ロード・ソング」と「セレーヌ」の2曲がオリジナル。
 他は、耳になじみのヒット・ソング。
 「グリーン・スリーブス」、「フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン」、「スカボロー・フェア」、「アラモ」、「花はどこへ行った」、それにビートルズの「イエスタディ」と「アイル・ビー・バック」の2曲。
 自然体で、美しいジャズを愉しめる一枚。

 


“オータム・リーブス”の季節へ

2022-11-09 | 【樹木】エッセイ

 もうすぐ、本格的な紅葉・黄葉の季節となる。
 それが過ぎれば、木の葉は小枝をはなれ、枯葉が舞う。
 時の流れは速い。
●男の胸を焦がさせる
 某日、国会の議員会館の廊下で、数十年間を秘書仲間としてともに過ごした美女と出会う。 かつて民社党に集った仲間のひとりだ。皆、仲が良かった。
 彼女は、多くの男性諸氏の胸を焦がさせてきた美形の方。過去形で言うのは失礼か、今なお素敵な方だ。
 立ち話で、「元気にしてますか」と聞くと、「立憲民主党でやってます」と言わずもがなの返答。
 なんともつまらないやりとりをした。以前なら、アフロディテの愉しみを唆したり、それをにおわせたり、もっと互いの琴線を刺激するやりとりをしていたはずだ。
 振り返れば、よく一緒に、秘書仲間のさまざまな集まりをセットしたりした。誕生日や結婚の祝う会、亡くなった友の偲ぶ会等々。集まれば、気心をゆるしあう楽しい時となった。
 それらが、懐かしい過ぎし日のことになりつつある。
 それに、政党の再編などで、立場が変わるなど、つきあいの間に夾雑物も多くなってしまった。いくらか距離ができたことで、それまで気づかなかった側面が気になるようにもなった。
 齢も重ねてしょうがない面はあるが、“僕たちが楽しくやった時代は過ぎ去ったのか”とさみしく感じる。
●恋をしていた季節
 さて、ジャズのスタンダード・ナンバーともなっている「オータム・リーブス」の美しい演奏でも聞いて、少しばかり冷えた心を慰めようか。
 「オータム・リーブス」は、英語名あって、日本語では「枯葉」として親しまれている。
 「枯葉」は、もともとはシャンソンの名曲。1945年にジョゼフ・コスマがバレエ音楽として作曲し、映画「夜の門」の中で、イブ・モンタンが歌って広く知られるようになった曲だ。
 詞は、フランスの詩人ジャック・プレヴェールによるもので、「ああ思い出してくれないか ぼくらが恋していた幸福な時代を・・・」(小笠原豊樹訳)と、過ぎしよき日を回想する曲だ。
 その後、1950年にジョニー・マーサーが英語の詞をつけた。そして、「オータム・リーブス」とのタイトルで、ナット・キング・コールが歌って、より広く知られるようになった。
 ヴォーカルでは、何と言っても、ナット・キング・コールなんだろうが、娘のナタリー・コールのもしっとり歌い上げていて素晴らしい。
 ジャズの女性ヴォーカリストで、人気・実力ナンバー・スリーにはいるサラ・ヴォーンには、「枯葉」なるアルバムもある。ここで歌われている「枯葉」は、ジャズ化はなはだしく、スキャット・オンリー、原曲のもつ哀愁に浸るにはふさわしくない。
 ニューヨークのため息と言われ、ハスキー・ボイスで日本人好みのヘレン・メリルも英語で歌っている。
 男性では、メル・トーメがフランス語でも歌っていて、これは情緒たっぷり。
 インストゥルメンタルでもマイルス・ディビス、バルネ・ウィラン他に多くの名演がある。
 秋の日、「オータム・リーブス」の聞きくらべをして愉しむのは如何ですか。
(月刊誌「改革者」2022年10月号)


“メイキング・ラヴ”

2022-11-03 | 【断想】音楽

 マリーナ・ショウは、1942年の生まれだ。
 ちょっと年上だ。
 その歌は、メロウだと解説にあった。
 「フー・イズ・ジス・ビッチ、エニウェイ?」(1974 Blie Note)
 11曲収録されていて、その中の「フィール・ライク・メイキング・ラヴ」が一般に人気があるらしい。
 以前、油井正一著「ジャズ・レディース・ヴォーカル」(主婦の友社)に付いていたCDで、マリーナ・ショウを聞いたことはあったが、特に印象が残らなかった。
 でも、改めて聞くと、わるくないなあと感じる。


“スターブライト”

2022-11-03 | 【断想】音楽

 デューク・ジョーダンの「フライト・トゥ・ジョーダン」から、「スターブライト」を聞く。
 僕が、夜に聞くジャズの曲・演奏として選んだもののひとつだ。
 ディジー・リースの伸びやかにしてしぶいトランペット、スタンリー・タレンタインのブルージーなテナー・サックスが、くつろぎ・癒やしを誘い、のびやかな気分にさせてくれる。
 これから、ベッドへというときにいいのだ。