どんぐり凶作

2006-11-30 | 【樹木】ETC
 熊の出没を報じるニュースがあいついでいる。全国農業新聞(10月27日付)によると、「今年の傾向としては、東北と関東甲信地方での出没が目立っている。里に降りてきたクマを危険防止のために捕まえる『有害捕獲』の数は、岩手県や長野県など9県で過去最高を記録している」ということである。
 そして、大量出没の原因のひとつとして、ブナの実の凶作があげられている。確かに、今年は、ドングリをほとんど見かけない。東京の多摩に住む私が、日頃よく目にするブナ科の木は、コナラ、カシワ、クヌギ、アラカシ、シラカシ、スダジイ等であるが、いずれもほとんど実をつけていないようだ。
 1ヶ月くらい前、多摩動物公園を歩いていて、落ちているクヌギの実を少し見かけた。これからもっと多くなるのだろうと思っていたが、それっきりである。
 昨秋には、クヌギの実を拾い、それを植えたりもしたが、今年はそれどころではない。大凶作という様相である。ブナの実は、豊作の翌年は不作になるということだが、かなり極端である。
 住まいの窓の外に見えるブナ科のクリも、実をつけなかった。そのクリの木は、陽当たりのせいもあるのか、いつもの年も実はあまりつけないのだけれど。
 クマだけでなく、困っている動物も多いことだろう。そして、人間もクマの出没に困っているという次第だ。

小さな森

2006-11-29 | 【樹木】ETC
 私の住まいの隣に小さな神社がある。社は無人である。それでも、杉、檜、樫類、楢、欅、そして銀杏等の木々があって、小さな小さな森となっている。日本の神社のこんな姿は素晴らしいものだと思う。
 柏手の音をよく聞く。小さな神社は生きているのである。
以下は、単なる思いこみかも知れぬが。
 信仰を持つ人は美しい。信仰による洗練というものを感じる。本人一代だけでなく、長い信仰との関わりのある人ほど、洗練されているように感じる。その教義がどうかというより、信仰の時間の長さが、人にもたらすものが大きいように思われる。
 また、時折、聖職にある人の中に、なんと品格が欠落していることかと思わせる人がいる。崩れかかっている人もいる。がっかりすることである。どうしてだろうか。宗教という名のもとの甘えか。甘えを許容してしまう環境のせいか。
 信徒の中に、聖職者とは較べられないほど、美しい人が案外よくいる。ほとんどお婆さんである。お婆さんというのは、鬼になれたり、幼女のようになれたり、すっきり美しくなれたり、総じて老いた男より魅力がある。

ちちみこみたま

2006-11-28 | 【断想】神々
 キリスト教でいう「三位一体」であるが、これは、聖書に書いてあるわけではない。のちにつくられた概念である。
 父(神)、御子(イエス・キリスト)、御霊(聖霊)について、液体、蒸気、氷と、時に応じて姿をかえる水に喩えらることがある。
 使徒信条には、イエスについて「全能の父なる神の右に坐したまへり」とある。
 三つの位格(ペルソナ)とひとつの神。三つの関係が気になる。どうも、よく分からず、どういことかと思い続けている。

蛇と三位一體

2006-11-27 | 【断想】神々
 ギィヨーム・アポリネールの詩に「69」というのがある。アポリネールは、きっと蛇のことをよく知っていたのでないだろうか。からまりあうということ。蛇の性交は、時間的にも長く、エネルギッシュであること。
 蛇と言うと、脱皮、再生、生命、子孫、、豊饒等の言葉が連想される。
 以下は、堀口大學訳です。

6と9との顛倒が
怪しき數字と現れ出たのが
69であり
宿命の二匹の蛇であり
二匹の蚯蚓である
好色なさうして神祕な數
6は3と3
9は3と3と3
即ち三位一體だ
到る處三位一體だらけ
さてまた三位一體は
兩性論と一致する
何故なれば6は3の二倍であり
三位一體の9は3の三倍だからである
されば69は兩性の三位一體である
・・・・・(略)・・・・・
鼻っつぶれの死の向こう岸の
無窮であるかもしれぬのだが
・・・・・(略)・・・・・

もっとモミの木

2006-11-26 | 【樹木】ETC
 つぎの日曜から、アドベント。クリスマスと言えば、モミの木。クリスマスツリーで使われるヨーロッパのモミは、日本のウラジロモミに近いと言われる。
 小さい頃、行っていた金沢教会の前庭には、ヒマラヤスギがあった。いつも、あれがモミならなと思っていた。モミはマツ科、マツ科の木々は、明るい感じがして好きだ。枝々の間に空が見えるからだろうか。葉もスギなどに較べて、じめじめした感じがない。もっと、あちこちにモミの木があってもいいのに。

虎・訃報

2006-11-25 | 【断想】ETC
 多摩動物公園のアムールトラのオス「イチロー」が死んだ。係員に「きのう?」と聞いたら、「きのう」と言っていた。一昨日、激しく痙攣をおこしていた。あのまま死にいたったのか。
 「イチロー」は2004年8月8日生まれ。2歳3ヶ月ばかりの命だった。生まれたときから、ずっと見続けてきた。死んだと聞いて、「ああそうか」と思い、胸が詰まる感じがした。「イチロー」は、おそらく不快な生から、死によって解き放たれた。

森があって牡蠣

2006-11-24 | 【断想】牡蠣
 豊かな森があって、おいしい牡蠣が育つという。
 今、英語で末尾にRがつく月。牡蠣がおいしく食べられる季節。
 なるべく牡蠣を見つけたら食べるようにしている。この前、居酒屋で酢牡蠣、それから湯通しした牡蠣を食べた。よく行く焼き肉屋に生牡蠣があった。殻つきので、真牡蠣。美味かった。トンカツ屋で牡蠣フライも食べた。家で鍋物を食べるときは、牡蠣をいれるようにしている。
 以前、読んだサバイバルの本に、亜鉛が含まれる牡蠣は、体力が弱って感染症にかかりやすくなっているときに効くとあった。精子の補給に効果的とあった。

秋の午前

2006-11-23 | 【断想】ETC
 朝、窓のカーテンをサッと開けたとき、紅葉したイヌシデとケヤキがそこにあった。いつも見ている風景なのだが、美しくなったなあと感動した。いつもは、外が暗い時間から見ているものを、今朝は明るくなってから起きて、一気に目にしたせいだろう。
 イヌシデの葉は、赤みをおびた黄、ケヤキの葉は茶をおびた赤、傍らのコブシは緑っぽさを残した黄色に染まっている。
 枯葉を踏みながら、多摩動物公園を散歩した。イロハカエデはうえの方から赤くなってきだしている。トチノキの葉はあらかた落ちて、地に貼り付いたようになっていた。アカシデも紅葉していたが、まだ赤みがうすかった。
 動物園に行くと必ずヨーロッパオオカミとアムールトラのところに行く。ヨーロッパオオカミとは顔なじみである。6匹いるが、いつも見ていると、それぞれの性格の違いが分かってくるものだ。おっとりした奴、好奇心旺盛ではしっこい奴。
 アムールトラは4匹いる。父と母、その子であるオストラとメストラ。今年生まれたメストラはとても元気で、いつもお母さんにじゃれついている。オストラもまだ二、三歳だ。だけど、もう躰はかなり大きくなっている。イチローと名前がつけられている。そのイチローはいつも屋内の檻の中にいる。もうずっと屋外には出してもらえないままだ。
 小さい頃、耳の片方がたれた。歩き方がふらふらしている。前足の片方を痛めているようである。視力も落ちているようだ。イチローは、病気である。てんかん持ちである。足がおかしいのは痙攣によって引き起こされたものかもしれない。狭い檻のなかを足を滑らしながら、よたよたしているのを見るといたわしい。野生にあったら、とっくに死んでいるだろう。
 今日、屋外には、母娘が出ていた。イチローはどうしているだろうかと、檻のある建屋の方にまわると、本日は入れないと表示してあった。何かあったのかなと、外から建屋のなかをうかがった。中は薄暗くてよくは見えないのだが、足を突っ張らせ全身転げ回らせて痙攣に苦しんでいるイチローの姿が見えた。以前にも一度、痙攣を起こしているところを見たことがある。
 かわいそうなものだ。みんな、健康でありたいものだ。

庭の蛇と枇杷

2006-11-22 | 【断想】蛇
 縁側で、蛇が庭を横切るのを見ていたことがある。
 蛇は、数メートルもあったと記憶にある。
 その長さは、おそらく間違いであろう。
 ただ、まだ小学校にも行かぬ私の背丈よりは、あったのかも知れない。
 その庭の黒い土に穴を掘って、枇杷の種を埋めたことがある。
 そこに、木が生えてきたとき、私は、おいしい枇杷の実のことを思っていた。
 ある雨降りの日、妹が泣き、母が泣いていた。
 私は、縁側で、無性に悲しかった。
 悲しくてたまらなかった。

「理想郷」とは

2006-11-21 | 民社
 政治や社会のことを考え出した頃、思っていたことがある。
 生命体としての人間のもつリズムと人間のつくりだす社会のシステムが人間にもたらすものは、必ずしもしっくりとはしていないということだった。

八幡宮の大銀杏

2006-11-20 | 【樹木】ETC
 大銀杏の樹のかげに隠れていた別当公暁に殺された鎌倉第三代将軍・源実朝。建保7年正月27日、鶴岡八幡宮拝賀の帰り、白雪のつもる石段の砌にて襲われ、28年の生涯を閉じたと言われる。そして、源氏は滅亡した。
 建保7年というと、西暦1219年。787年前である。今、鶴岡八幡宮の社殿にのぼる左手の大銀杏は、推定樹齢は800年。
 実朝は歌人でもあった。その金槐和歌集より、秋の一首。
 「木の葉ちる秋の山べは憂かりけり堪えでや鹿のひとり鳴らむ」

メイプルリーフ

2006-11-19 | 【樹木】楓
 カナダの国旗になっているのは、赤いメープルリーフ。あれは、北アメリカ原産で、カナダを代表する木であるサトウカエデの葉をもとにデザインされたものである。
 ちなみに、サトウカエデはsugar mapleであって、蔗糖(メープル・シロップ)が採れる。

「紅葉(もみじ)」

2006-11-17 | 【樹木】楓
 今の小学生は、歌っているのだろうか。明治44年6月の尋常小学唱歌、高野辰之作詞・岡野貞一作曲の「紅葉(もみじ)」。私の小さい頃は、小学2年での文部省唱歌であった。思い出してみるのもいいだろう。それは、日本の和歌の伝統があってできている。そして、この歌を知って、いにしえの歌にもさかのぼれる。
 一 秋の夕日に照る山紅葉、
   濃いも薄いも数ある中に、
   松をいろどる楓や蔦は、
   山のふもとの裾模様。
 二 渓の流に散り浮く紅葉、
   波にゆられて離れて寄って、
   赤や黄色の色様々に、
   水の上にも織る錦。

「モミジ」とは

2006-11-16 | 【樹木】楓
 モミジとは、どれか。カエデ科カエデ属は種類が多い。それに、樹木の呼び名というのは、一種にもいろいろあって、まぎらわしい。漢字で書く場合は、同じ字で、別の種類だったりすることもある。
 普通、モミジというと、それはイロハカエデである。しかし、このイロハカエデには、以下の名前がある。
 イロハカエデ(いろは楓)
 イロハモミジ(いろは紅葉)
 タカオカエデ(高雄楓)
 タカオモミジ(高雄紅葉)
 コハモミジ(小葉紅葉)
 クサモミジということもあるようだが、草紅葉と書いて、草が紅く色づいたのを指したりする。また、盆栽の世界では、カエデというと、トウカエデだそうだ。
 多摩テック近くのトウカエデ並木は、ところどころ紅く黄色く色づきだした。多摩動物公園散歩道のイロハカエデは、多少は色づきだしているのかな。いずれも、私の住まい近く。どうも、世界が狭いね。