今年、一番よく聞いたのは、ケニー・ドリューだな。
いわゆるヨーロッパ三部作あたりをはじめに、多くのアルバムに接した。
こまやかな感情の反映に共鳴し、それは、さみしさや哀愁をともない、聞くうちに癒やされるのだ。
さあ、今年も残す時間がすくなくなった。
今年の僕を慰めてくれケニー・ドリューを。
「エクスプレションズ」(ALFA JAZZ)から、「旅の終わりに」。
西脇順三郎の「旅人かへらず」の1と168から。
はじめと終わりである。
旅人は待てよ
このかすかな泉に
舌を濡らす前に
考えよ人生の旅人
汝もまた岩間からしみ出た
水霊にすぎない
・・・・・・
枯れ枝の山のくづれを越え
水茎の長く映る渡しをわたり
草の実のさがる藪を通り
幻影の人は去る
永劫の旅人は帰らず