“旅人かへらず”

2022-12-31 | 【断想】音楽

 今年、一番よく聞いたのは、ケニー・ドリューだな。
 いわゆるヨーロッパ三部作あたりをはじめに、多くのアルバムに接した。
 こまやかな感情の反映に共鳴し、それは、さみしさや哀愁をともない、聞くうちに癒やされるのだ。
 さあ、今年も残す時間がすくなくなった。
 今年の僕を慰めてくれケニー・ドリューを。
 「エクスプレションズ」(ALFA JAZZ)から、「旅の終わりに」。
 西脇順三郎の「旅人かへらず」の1と168から。
 はじめと終わりである。

 旅人は待てよ
 このかすかな泉に
 舌を濡らす前に
 考えよ人生の旅人
 汝もまた岩間からしみ出た
 水霊にすぎない
 ・・・・・・
 枯れ枝の山のくづれを越え
 水茎の長く映る渡しをわたり
 草の実のさがる藪を通り
 幻影の人は去る
 永劫の旅人は帰らず


“グッドバイ”

2022-12-31 | 【断想】音楽

 今日で今年にさようなら。
 今年も多くの人がこの世にさようならをしていった。
 人はそれぞれに生きる。
 翼が傷つくこともある。
 心が傷つくこともある。
 無惨なこともある。
 チェット・ベイカーで、GoodbyeやBroken wingを聞く。
 キャノンボール・アダレイとビル・ウヴァンスで、Goodbye。
 浅川マキの歌に「グッドバイ」と言うのがある。
 ・・・闇を馳ける さすらいびと・・・・


“ダニー・ボーイ”

2022-12-31 | 【断想】音楽

 「ダニー・ボーイ」は、もともとはアイルランド民謡「ロンドンデリーの歌」に歌詞をつけたもの。
 作詞したのはフレデリック・ウェザリーで、1913年発表。
 戦地に赴くことになった子や孫に、「きっと帰ってこいよ」と送り出す親などの心境を歌っている。
 また、女性の方から、男性に別れを告げる歌とも言われている。
 ハリー・ベラフォンテ、アンディ・ウィリアムス、マヘリア・ジャクソンの歌で。
 ジョニー・グリフィンのテナー・サックスで。
 やっぱりこれは、ハリー・ベラフォンテ。
 兵を招集するバグパイプ(?)の響きからはじまっている。


ロルカの「死」

2022-12-31 | 読書

 昨日、ショスタコビッチの「死者の歌」を聞いたとき、ロルカ詩集を開いた。
 長谷川四郎訳、みすず書房、1967年発行。
 かつて読んで、ページのはしを折り曲げたところがある。
 そこらをいくつか読んだ。
 死がよく登場する。死が散乱している。孤独な死。
 死は、神がともにあるように、いつもともにある。
 そのイメージを訳をもとに以下、勝手に書きならべてみた。
 〈不意打ち〉
 街路に胸に短刀をさされた男がころがっていた。
 死んでいた。
 誰も彼を知らなかった。                                           
  〈おとむらいの鐘の音〉
 一本道。
 「死」が胸に萎れたオレンジ色の花をつけて、歌いながら歩いて行く。
 〈騎馬行〉
 コルドバの塔のうえから、「死」が僕を見ている。
 「死」が僕を待っている。
 コルドバに着くことはないだろう。


“ドミノ”

2022-12-30 | 【断想】音楽

 ローランド・カークの「ドミノ」(1962 MERCURY)
 このアルバムで、ローランド・カークが奏しているのは、テナー・サックス(ts)、フルート(fl)、マンゼロ(manzello)、シュトリヒ(strich)、サイレン(siren)。
 演奏している他のメンバーは、ウィントン・ケリー(p)、アンドリュー・ヒル(p,celeste)、ヴァーノン・マーチン(b)、ロイ・ヘインズ(ds)、ヘンリー・ダンカン(ds)。
 きっと、ヘビーな曲、演奏なのだろうと思って接したら、案外サラッとしていて、なんとなく聞き流してしまった。
 収録曲は、「ローランド」、「ドミノ」、「やさしき伴侶を」、「タイム」等の14曲。


死《マラゲーニャ》

2022-12-30 | 【断想】音楽

 気まぐれで、ドミトリー・ショスタコビッチを聞いてみようかと思った。
 たまたま見ていたテレビ番組で、古い時代の映像に、ちらっとショスタコビッチが映っていたのに刺激された。
 CD棚を前に、どの曲にしようかと迷った。
 交響曲第7番「レニングラード」で、“チチン、プイ、プイ”にしようか。
 やめとこう。
 今年は、「死」が周りに多かった。
 交響曲14番「死者の歌」にしよう。
 ガルシア・ロルカ、ギョーム・アポリネール、リルケらの詩を題材に11楽章で構成される異例の交響曲だ。
 どこかの部分だけ聞こう。
 第2楽章「マラゲーニャ」が短くていい。
 これは、ガルシア・ロルカの同名の詩を基にした曲である。
 声も入る。
 ロルカの詩は、次のような内容だ。
  「死」が居酒屋に入ったり出たりする。
  黒い馬、黒い魂が通り過ぎる、ギターの音のあいだを。
  潮の匂い、女の潮の匂いがただよう、海辺の萱草のあいだに。
     「死」が居酒屋の周りをうろうろしている。
 いささか、勝手な訳。
 ルドルフ・バルシャイ指揮、モスクワ室内管弦楽団で、第2楽章「マラゲーニャ」


ユーロ・アメリカン・オール・スターズ

2022-12-29 | 【断想】音楽

 「オールド・モンマルトル」(1996 / MELDAC JAZZ) ドリーム・セッション'97 
 演奏のユーロ・アメリカン・オール・スターズの顔ぶれ写真があった。
 アート・ファーマー、ジョニー・グリフィン、チャーリー・マリアーノ 、ホレス・パーラン、マッズ・ビンディング、エド・シグペン


“God Bless The Child”

2022-12-29 | 【断想】音楽

 God Bless The Child を聞く。
 キース・ジャレットのピアノ・トリオで。
 ホレス・パーラン、ジョー・バン・エンクハウゼンらのカルテットで。
 マル・ウォルドロン、ジャッキー・マクリーンらのカルテットで。
 エリック・ドルフィーのバス・クラリネット・ソロで。
 ソニー・ロリンズ、ジム・ホールらで
 僕が一番いい気分で聞けたのは、パーラン盤かな。
 久しぶりのロリンズの音もよかったが。
 マクリーンの少し高めのアルトもよかったが。
 キース・ジャレットのは、もっとも親しめなかった。


“オールド・モンマルトル”

2022-12-29 | 【断想】音楽

 モンマルトル・ジャズハウス(モンマルトル・ジャズクラブ、カフェ・モンマルトル)と聞くと、何人ものミュージシャンが思う浮かぶ。
 ケニー・ドリュー、デューク・ジョーダン、エリック・ドルフィー、ジャッキー・マクリーン・・・・・。
 CDケースの帯に、このアルバムは、次のように紹介されている。
 「スイングジャーナル誌リーダース・プロデュース モンマルトルに想いを寄せヨーロッパにゆかりの深いトップアーティストのセッション」
 アルバム名「オールド・モンマルトル」(1996 / MELDAC JAZZ)
 〈演奏者〉
 ドリーム・セッション'97 ユーロ・アメリカン・オール・スターズ
 アート・ファーマー
 ジョニー・グリフィン
 チャーリー・マリアーノ
 ホレス・パーラン
 マッズ・ビンディング
 エド・シグペン
 〈収録曲〉
 1.「シャンゼリゼの夜」(死刑台のエレベーター)
 2.懐かしのストックホルム
 3.褐色のブルース
 4.ハッシャ・バイ
 5.ワナ・ビー
 6.想い出の夏
 7.黒いオルフェ
 8.スターダスト
 9.オールド・モンマルトル
 安心して楽しめるアルバム、なんだか心が温かくなる。
 久しぶりに聞いたアート・ファーマー、ウォーマーでいいね。


“マルサリスの歌心”

2022-12-29 | 【断想】音楽

 ウィントン・マルサリスのコンサートが、3月に東京で行われると言う前宣伝を新聞で見た。
 前に、「スターダスト:HOT HPOUSE FLOWERS」と言うアルバムで、ウィントン・マルサリスの奏でるトランペットを聞いたことがある。その後、アート・ブレイキーの「フューチャリング・ウィントン・マルサリス'81」でも聞いた。
 彼が、ジャズ・シーンに登場し、いかに高い評価を得たかについては、本でも読んだ。
 これまでに、聞いた限りでは、とても巧みな奏者であると言う印象をもった。
 ただ、なんだかハートを感じない。とても上手に演奏してるだけでないかと思って聞くと、そうなのだ。
 それは、偏見かも知れない。
 少し落ち着いて、聞いてみるのもいいだろうと思った。
 それで、「スタンダード・タイムVol.1」(1986 CBS)。
 このアルバムからは、彼の歌心が感じられるとの解説を見た。
 〈パーソナル〉
 ウィントン・マルサリス(tp)
 マーカス・ロバーツ(p)
 ボブ・ハースト(b)
 ジェフ・ワッツ(ds)
 ワン・ホーンのカルテットでの演奏である。
 トランペットをよく聞くには、バックにオケ的なものがない方がいい。
 〈収録曲:12曲〉
 1.キャラバン
 2.パリの四月
 3.チェロキー
 4.グッドバイ
 5.ニュー・オリンズ
 6.スーン・オール・ウィル・ノウ
 7.フォギー・ディ
  8.ザ・ソング・イズ・ユー
 9.メモリーズ・オブ・ユー
 10.イン。ジ・アフター・グロウ
 11.枯葉
 12.チェロキー
 CDを聞き出したのに、他のことに気をとられてしまって、いつしか5曲目。

  1961年生まれのウィントン・マルサリスは、確かに申し分なく上手い。
 でも、どこかのっぺりした感じがある。
 かつての黒人ミュージシャンにあった情念がないような。
 それは、彼のせいと言うより、時代のせいのように思う。


神は幼子を祝福したもう

2022-12-29 | 【断想】音楽

  ケニー・バレルの「ゴッド・ブレス・ザ・チャイルド」(1971 CTI)。
 ドン・セベスキーのアレンジがあって、CTIからのもの。
 これで、曲調の基本が察せられるだろう。
 都会的で、ブルージーで、グルーヴィで、小気味いい。
 演奏には、フレディ・ハバード(tp)、リチャード・ワイアンズ(p)、ロン・カーター(b)等。
 4曲収録されている。
 1.ビー・ユアセルフ
 2.ラブ・イズ・ジ・アンサー
 3.ドゥ・ホワット・ユー・ゴッタ・ドゥ
 4.ア・チャイルド・イズ・ボーン
 5.ゴッド・ブレス・ザ・チャイルド
 「ゴッド・ブレス・ザ・チャイルド」は、ビリー・ホリディの作曲。
 お母さんに叱られたビリー・ホリディの口答えが曲になったと言うエピソードがある。
 ビリー・ホリディのヴォーカルで聞いたことがあるはずだが、どうだったか覚えていない。この機会にと、聞いたが、やっぱり、その声質になじめないものを感じる。
 器楽では、エリック・ドルフィー、ソニー・ロリンズ、ジャッキー・マクリーンとマル・ウォルドロン、ホレス・パーラン、キース・ジャレット等で聞いている。


“ジーザス:JESUS”

2022-12-25 | 【断想】音楽

 ジーザスは、イエスの英語読み。
 今日は、12月25日、アルバート・アイラーの「ジーザス」を聞こう。
 1966年、ドイツのレラッハでのライブの録音。
 SIDE2 に、「ゴースト」と「ジーザス」。
 Jazz Galore / MADE IN ITALYとアルバムにある。
 録音の質悪し。MADE IN ITALYと見て、そうかと思ったが。
 同じライブの録音盤のhat MUSICSの2枚組アルバムの出来はどうなのだろうか。


スティット・プレイズ・バード

2022-12-24 | 【断想】音楽

 ソニー・スティットの「スティット・プレイズ・バード」(1963 ATLANTIC)
 アルバム名が示す通り、ソニー・スティットがチャーリー・パーカーの作品やよく演奏した曲を演っている。
 〈パーソネル〉
 ソニー・スティット(as)
 ジョン・ルイス(p)
 ジム・ホール(g)
 リチャード・ディヴィス(b)
 ニー・ケイ(ds)
 〈収録曲〉
 1.ナウズ・ザ・タイム
 2.マイ・リトル・スエード・シューズ
 3.パーカーズ・ムード
 4.コンステレーション
 5.オウ・プリヴァーヴ
 6.フーティ・ブルース
 7.コンファーメイション
 8.コ・コ
 9.ヤード・バード組曲
 10.スクラップル・フロム・ジ・アップル
 11.オーニソロジー

 ソニー・スティットは、日本でも人気を博した。
 その音は、チャリー・パーカーを思わせる。
 その彼が、“パーカーもの”を演奏。
 快適である。なめらかに踊る。
 わたしの好みからは、ちょっとはずれている。
 だけど、パーカーのよさをソニー・スティットを通して感じ直したかも。
 パーカーを聞き直してみようかなと思わせる。