3ヶ月齢の子馬が重度の跛行を示していて、尺骨骨折が確認された。
尺骨骨折の痛がり方はいろいろで、”ひび”程度だと負重できるのもいる。
しかし、この馬はほとんど負重できない。
馬の尺骨骨折は、成書や、海外の馬外科医の意見では、内固定手術が必須、とされることが多いが、
変位がひどくならない症例だと温存で治っていった症例を何例も経験している。
しかし・・・・
この子馬は症状だけでなく、折れ方もひどい。
粉砕骨折で、骨折線はかなり開いている。
肘関節の anconeal process は大丈夫か?
不安定な骨折を固定するにはLCP/LHSが利点があるが・・・・
この症例では、尺骨頭部の割れていない部分にscrew を入れるためには自由度があるDCPの利点も大きい。
7孔のナローDCPを当ててみる。
尺骨頭へのscrew2本は、ここへこう入れたかった、という所へその角度で入った。
LCP/LHSはこういう入れ方はできない。
最遠位にload position でscrewを入れてcompression をかけようとしたら、尺骨が「へ」字に変位し、骨折線が広がってしまう。
仕方がないので、先に浮いている長い骨片を lag screw で押さえることにした。
遠位部のscrewは neutral position で入れる。
橈骨と尺骨は別々に成長する必要があるので、橈骨へは届かさない。
骨折線は寄せられたように見えるが、実際にはずれがあった。
しかし、粉砕骨折なので、完全に整復しようとしているとバラバラになって手に負えなくなる。
薄くめくりあがり、手に刺さるようなささくれもあった。
尺骨骨折のプレート固定では、頭ー尾方向撮影もして、内外にscrewがはみ出していないことの確認も必要。
手術の最後には、肘関節を動かしてみて、screwが肘関節の動きに干渉していない確認も必要。
手術後は、手術前よりも肢に負重できるようになって歩いて帰っていった。
大人しくしていて、順調に治ってもらいたい。
6-8週間でプレートは抜きたい。
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プンゲンス・ホプシー 若葉が最も白くなる季節。
Dr.Richardsonの見解を聞いてみたいような気もします。
もうそういう布陣ではないのかも知れませんけれど。
整復中のポジションも関節の可動域確保のための意識が必要そうですね。
なるほど。じゃあ遠位の2本は何のため?と思っちゃいました。
術後の確認のポイントですが、どの程度重要ですか?やり直すくらい大事でしょか?
3か月のサラブレッドを大人しく過ごさせるのはたとえ1週間でも自信ないな。ずっと鼻螺子というわけにもいかないだろうし、暴れないように足をつなぐやり方も怪我しているからかえってよくないだろうし、寝起きに問題ありそうだし。みなさんどうしてるんでしょ
プレートを抜くとき、良い結果でありますように
芯が立ってきたようで。この時期のホプシーちゃんは存在を主張しますね。柔らかにたくましい!
世界的には患肢を上にした横臥が推奨されています。私は仰臥での尺骨骨折手術を好みます。横臥でやることが、プレートを外よりに当てる、screwが内側へ突き出す、術中にプレートを落っことす、の要因になっていると思います。うちはホイストで肢を吊り下げているので、曲げて伸ばしてができます。
関節へ突き出していたり、橈骨へ届いているscrewがあったら短いscrewに差し替えます。screwの先が内側へ抜けてしまうなら、DCP固定ならドリリングし直せます。LCPには垂直にしかLHSを入れられないので、そこが尺骨骨折にLCPを使う難しさです。
プレートの位置が悪いなら・・・最初からプレート固定をやり直しですね。もちろんそうならないように手術を進めてるわけですけど。
親子の気性にもよりますね。でもほとんどの馬は大丈夫です。最初のうちは痛いですしね。
新芽が30cmほど伸びるようになってきました。たくましい姿になってもらいたいです。
DrRichardsonのお話出るにつけ圧倒的LCPなので氏ならやっぱりそうなるのかなと思いました。
そして、その選択が骨片に荷重を求めない構築力を理由にするならどこまでLHSだけで行くのかな、と思う訳です。
テキスト的には横臥なのですか。
整復終わったら思ったように伸びないのですけど、という1番初歩的なところでトラブルが起きそうでなかなかどうなんだろ、と思います。
横臥だとどこかに肢を載せて、必要なら固定することになりますから、ついつい動かしにくいです。
これもRichardsonに訊きました。仰臥でやるのはどう思う?と。ただ首を振っておられました;笑
やはりスクリューの自由度でしょうか。
固定力が過ぎるのでしょうか。
牽引短縮を凌ぐなら両端LHS中コンプレッションなんてのも考えてしまいますが。
牽引一本槍の整復ではないところ尺骨の機能の難しさを反映しているのかも知れませんね。
横臥で術中微動だに同じポジションを保持し続けるのは大変だろうなとも思います。
今回の症例でキモであった近位側2本のscrewはLCP/LHSではこうは入れられないのです。
LHSのネジ山の低さも、子馬の柔らかい骨では問題です。引き抜き強度は弱いですから。
馬用手術台にはたいてい横臥で肢を固定する台が付いています。しかし、乗せておくだけならともかく、縛ってしまうと途中で動かしにくいです。
今回の症例でキモであった近位側2本のscrewはLCP/LHSではこうは入れられないのです。
LHSのネジ山の低さも、子馬の柔らかい骨では問題です。引き抜き強度は弱いですから。
馬用手術台にはたいてい横臥で肢を固定する台が付いています。しかし、乗せておくだけならともかく、縛ってしまうと途中で動かしにくいです。
今回の症例でキモであった近位側2本のscrewはLCP/LHSではこうは入れられないのです。
LHSのネジ山の低さも、子馬の柔らかい骨では問題です。引き抜き強度は弱いですから。
馬用手術台にはたいてい横臥で肢を固定する台が付いています。しかし、乗せておくだけならともかく、縛ってしまうと途中で動かしにくいです。