馬医者修行日記

サラブレッド生産地の大動物獣医師の日々

盲腸便秘開腹の翌朝

2017-07-30 | labo work

3日前から軽い疝痛をしていた繁殖雌馬を直腸検査したら便秘のようで、下剤をかけようとしたら胃液が逆流した、との連絡で来院。

右腹が膨満している。

超音波では、結腸の肥厚はない。

直腸検査で、盲腸がつまめないほど膨満している。

PCV44%、乳酸値1.8mmol/l。

便秘を想定しても、胃拡張があるなら経口電解質や下剤を投与することはできず、輸液だけで便秘が解消するとは思えない。

ひどい疝痛ではないが、「開腹した方が良いです」。

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重度の盲腸便秘だった。

60cmくらい開腹したが、とても盲腸を創外へひっぱり出せない。

ガス抜きの針を刺しても固形の内容なので減圧できない。

盲腸はひどく膨満しているので、針穴から液が漏れてくる。

ビニルシートを縫い付けて、その一部を3cmほど切開し、太いシリコンチューブを差し込んで吸引した。

いくらか粥状の内容と液を抜くことができて、ようやっと盲腸を術創外へ出すことができた。

それで切開創を広げ、ホースを入れて内容を洗い出した。

腹腔を生理食塩液で洗浄して閉腹。

もう一頭疝痛馬が来て、全部終わったのは夜9時。

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翌朝5時半。入院厩舎へ診察に行く。

体温39.3度。

蹄葉炎と裂蹄がある馬だが歩いてはいる。

採血して血液検査する。

それで輸液計画を立てるのだ。

PCV54%、白血球2,600/μl。

腹膜炎だ・・・・もちろん想定内だ。

急患でも、入院畜でも、すぐ血液検査できる意義は大きい。

診断にも、治療でも、予後判定にもだ。

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おいしょっ!

 

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牛の白血球減少

2016-08-25 | labo work

今日は、午前中、競走馬の腕節chip fractureの関節鏡手術。

次いで2歳馬の疝痛が来院。

午後、繁殖雌馬の臀部の古傷。化膿が続いている。もう5ヶ月も・・・

中から牧柵の破片が出てきた。

それから、四肢突球の当歳馬の安楽殺。

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牛の血液検査のことで問い合わせ。

乳房炎で治療している牛なのだが、血液検査で白血球数が550μ/lなのだが・・・・という問い合わせ。

血球計数装置の粒度分布をグラフでプリントアウトしてみるときちんと測れているようだ。

EDTA血で塗沫標本を作って染めて観る。白血球はやはり少ない。

ただ、好中球がまったくなくなっているというわけではない。

EDTA血は遠心してみた。バフィーコートはひどく薄いというか少ない。

やはり、白血球減少症なのだろう。

おそらく、炎症巣、この症例の場合は乳房へ行ってしまっているのだろう。

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学生のとき、大学農場の子牛を研究目的で採血させてもらっていた。

ある日、そのうちの1頭が、血球計数で白血球がまったくない。

何が起きたのか研究室の学生で話し合ったが見当もつかない。

農場へもう一度行ってその子牛を採血しなおしたら、今度は正常な白血球数だった。

あの採血のとき、子牛の体の中で何が起きていたのかわからない。

あれは何だったのか、未だにわからない・・・・

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オラ、スイカは好き

でも、フードと一緒にくれたら、ちゃんとフードから食べるヨ

だって、スイカはおやつだからネ

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Rhodococcus equiの抗生物質感受性試験

2016-04-08 | labo work

今週、私は検査当番。

細菌検査で、気管洗浄液からほぼ純粋に培養されているのはご存知Rhodococcus equi。

忙しい中でも、きちんと気管洗浄して菌分離を心がける獣医師には頭が下がる。

推測と憶測で抗生物質治療していたのでは、中途半端で治療を止めることになる。

そして、しばしば再発する。

膿瘍を作る細菌なので、しっかり確定診断して治療にかかることが必要なのだ。

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こちらは抗生物質感受性試験。

PペニシリンもAMアンピシリンも効いているようだが、阻止円の中にも曇りがあり、発育している菌が居る。

こちらのGMゲンタマイシンの阻止円はクリア。

Eエリスロマイシン、CAMクラリスロマイシンもクリア。

FOMホスホマイシンは阻止円なし。

この仔馬の気管洗浄液から採れたR.equiは今のところペニシリンにも感受性があるものがほとんどだが、いずれペニシリンに耐性の株が増えるだろう。

ゲンタマイシンに耐性の株は含まれて居ないが、どの症例のR.equiもそうとは限らない。

エリスロマイシンは海外ではよく使われているが、日本の馬はどういうわけか腸炎を起こしやすいので、危なくて使えない。

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ひさしぶりに海岸へ行ったら

おおはしゃぎ

その無邪気さには

頭が下がるヨ

 

 

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血液塗沫標本

2014-12-24 | labo work

血液検査では、血液の1滴をスライドグラスに塗り広げて、乾燥・固定・染色し、顕微鏡で観て、白血球を分類して百分比を出すことも行っている。

白血球数は、ほとんど自動でやってくれる血球計数装置で数えられているので、百分比と掛け算をするとどんな白血球が増えたり減ったりしているかわかる。

これは好中球

ヒトやウマの末梢血の白血球の中ではふつう一番多い。

細菌などの外敵を貪食することなどで免疫の重要な部分をになっている。

しかし、対応しきれない炎症や感染が起こると末梢血中で減ってしまったりする。

これはリンパ球。

ウシでは末梢血中で最も多い白血球。

今は細かく分類されていて、外敵との戦争とも言える免疫において情報伝達したり、抗体産生に関わっていることがわかっている。

これは単核球。

外敵を貪食し、分解してその情報をリンパ球にわたす。(どうやって?;学生さん、勉強してね)

免疫の最初の情報戦を受け持つわけだ。

体の各組織の中ではマクロファージと呼ばれる。

これは馬の好酸球。

馬の好酸球は大きなピンク色の顆粒を持ち、とてもハデ。(ホントは染めているだけで、赤い酸性色素に染まるので”好酸”)

(美しいと思うか、ケバいと思うかは好みだな;笑)

アレルギー疾患とか寄生虫疾患に関係している。

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うちの検査室では獣医師が顕微鏡をのぞいて白血球百分比を出している。

最近では白血球の分類までやってくれる血球計数装置があるが、やはり古典的な方法の方が精度は良い。

赤血球に寄生するピロプラズマを検査したり、

異常なリンパ球に気づいて白血病を疑ったりも、顕微鏡で観ているからできる。

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私は学生のとき内科学教室に居たため、さんざん血液塗沫標本を作ったので上手に塗沫標本を作れる。

恩師の一条先生は獣医血液学も専門にしておられ、イヌやネコのパルボウィルス感染症も研究しておられた。

それで、先輩の骨髄液の採取や、骨髄の塗沫標本のカウントも手伝った。

まれに末梢血中にも骨髄球が出てくるが、学生の頃の経験のおかげで骨髄球に驚かずに済んでいる。

白血球百分比を上手に数えるためには骨髄液の塗沫標本も見てみると、骨髄でできてくる白血球の成熟と分化が観察できるので役に立つ。

「あの頃」やったことの価値を思い、今になって感謝している。

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 今日は、朝かなりの降雪。

湿った重い雪を除雪。

午前中、当歳馬の飛節OCDの関節鏡手術。

Tieback&cordectomyの再検査。

午後、鼻の粥腫の切開。

競走馬の腕節骨折の関節鏡手術と蟻洞の処置。

夕方、繁殖雌馬の食道梗塞。

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冬至を過ぎて、朝6時半でも暗い。

日が長くなるのが待ち遠しい・・・・ああ、でもまた忙しい春が来る・・・・暗くてもイイか;笑。

 

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乳房炎から分離されるStreptococcusの同定

2014-12-18 | labo work

この季節、細菌検査はほとんどが牛の乳房炎の材料。

Staphylococcus aureus 黄色ブドウ球菌も問題だが、Streptococcus spp.も多く分離される。

左はコロニーを塗沫してグラム染色した顕微鏡写真。

典型的な連鎖球菌Streptococcus.

これは長くは連鎖していないが、これもStreptococcus.

このような形態だけだと菌種までは同定できない。

以前はStreptococcus agalactia とそれ以外のStreptococcus としか鑑別していなかったのだが、

最近、Streptococcus uberis をはじめ、いくつかのグループ分けを判定するようにした。

以前から同定キットはあったのだが、とても高くて使えなかった。

簡易なこの方法やキットを開発された先生と会社に感謝。

Streptococcus による乳房炎は治りにくく、とくにStreptococcus uberis の乳房炎は治りにくいらしい。

Streptococcus は基本的には抗生物質耐性を持ちにくく、薬剤感受性は悪くはないのだが、乳房炎軟膏を注入しても抗生物質が病巣まで到達しにくいのだろう。

そして、治療法の選択だけでなく、乳房炎を減らすための指導に生かしてくれると良いのだが。

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今日は朝から除雪。

風で締まった雪だった。下に氷があり除雪しにくい。

それでも気温は低くなく午後にはすこし溶けた。

これから冷え込むのだろうけど。

これは荒天前。

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