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馬医者残日録

サラブレッド生産地の元大動物獣医師の日々

ちゃっちゃと!

2012-12-31 | How to 馬医者修行

 今年を振り返って・・・・

 やらなければいけないことと、やりたいこ とが一致していると良いのだけれど、

なかなかそうはいかない。

どちらを優先するかとなると、やらなければいけないことを片付けてしまわなければならないのだが、

気乗りのしない、面倒な手ごわい仕事だとなかなか進まず、

やりたいことまで手が出せなくなってしまう。

 今年はそんな年だったかもしれない。

しかし、そんなときは意外にやりたいことに手を出してみると、やらなければならないことをこなして行く気力が湧いたり、やならければいけないことのアイデアが湧いたりして、飛躍的に進めたりする。

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 自分の仕事が忙しいときほど、人のためにも働くと良い。と言う言葉もある。

これは「そんなはずはない」「何を馬鹿な」というような言葉だが、

現実に、自分の仕事より先に頼まれ仕事をしていると、自分の仕事が解決したり、作業がすすんだりすることがある。

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 「すこしのんびりしていれば自分にやる気や活力が湧いてくるはずだから、すこし休んだり、リフレッシュしたり、気分転換したりしたい。その方が、結果的に早く前へ進める。」という考えもある。

しかし、少しでも前へ進むためには休まず、離れずやるしかないこともある。

抱えている仕事の性質も、分量も、こちらの年齢的にも、そのうち気力がみなぎって一気に進めるというものではなくなっていることを感じた年でもあった。

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 今年は胃潰瘍でヘリコバクターの除菌をしたり、不整脈でホルター心電図をつけたり、体調もいまいちだった。

年齢的な体調や生活の変わり目が起こり易い年を古来から厄年と呼んで来たのなら、私にとっては今年がそうだったかもしれない。

 30代や40代のあの気力、体力、余裕のある生活、希望や野心のある精神的展望に戻れるとは思えないし、今まで身につけたものを捨ててでも戻りたいとも思わない。

今の自分を見つめて、できることを「ちゃっちゃと」やっていきたい。

粛々と。などと言うほどのことでもないし、

サクサクと。などとも言いたくない。

テキパキでもないし・・・

私的には「ちゃっちゃっと。」なんだな。これが;笑。

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ひと月後に頼まれている症例報告の原案は作った。

来月の研修会の講義準備もなんとかめどが立った。

後は内部の発表会の準備をして、抄録を書いて・・・・

抱えている大仕事を進めよう、ちゃっちゃと;笑。

ぜんぜん正月じゃないな。 

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きのうは、雪から雨。

相棒も一日小屋でお休み。

私は年末休暇に入っていて、届いたEquine Veterinary Education と Equine Veterinary Journal を拾い読みしていた。

興味深い、取り入れたいアイデアや知見がいくつもある。

それに刺激されながら、今年一年を振り返って思ったことでした。

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最後の大物

2012-12-28 | 関節鏡手術

今日は金曜日。

週末が29,30日になったので、今日で仕事納めということになった。

予定の手術は午前中の関節鏡手術で手術納め。

競走馬の腕節の骨折だったが、最後の症例にふさわしい大物だった。

Pc283539 橈骨遠位外側関節面の骨片なのだが、

近位部方向へも大きく割れていた。

ビロ~ンと関節滑膜もくっついて取れてしまっている。

骨片の関節包側には丸っこいでっぱりがいくつか付いている。

変形性関節症DJDが起こるとこういういわゆる「骨膜」が関節の中にも現れてくる。

 この症例は、橈骨内側関節面、橈側手根骨近位、中間手根骨近位も折れていた。

そして、橈側手根骨、中間手根骨も骨増勢していて、削ることになった。

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入院厩舎には結腸捻転の馬が入院しているし、

安心はできないが、これで一応、手術納め。

私は明日から元旦まで年末年始の休み。

もう年明けの手術の予定も入れてしまったが、それでもやっぱりなんだか、ホッとする。

                      


熊嵐

2012-12-26 | 図書室

Pc263533 量はそれほどでもないのだが、

風が強くて風下では吹き溜まりのようになってしまった。

日中も陽も照らず、気温も低いのでまったく融けなかった。

パウダースノーで、スキーするには良いのだけれど・・・

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1歳馬の大腿骨内顆の軟骨下骨嚢胞のステロイド注入治療。

続いて、2歳競走馬の腕節剥離骨折の関節鏡手術。

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ぼちぼち今年も仕事納めが見えてきた。

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Photo 二晩に分けてこの本を読んだ。

たぶん高校生のときに初めて読んでなかなか衝撃的だった。

読み返してみたいと思っていて、やっと実現した。

描かれているのは、ヒグマの恐ろしさもだが、

開拓農民の生活の厳しさ。

そこで生きていけるかどうか、ぎりぎりの暮らしをしているがゆえの緊迫感。

今の時代の日本人が失くしてしてまっている懸命さ、必死さ、それが餓えた凶暴なヒグマの襲撃で一気にまさに嵐のように吹き荒れる。

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ヒグマに襲われた事件としてはとても特異的な事件だった。

何人もが襲われて殺された事件は、これ以外には日高山脈で登山中の大学生が殺された事件だけだろうと思う。

苫前の事件では殺された女性の死体を回収したことになっている。

日高の大学生はクマに奪われたザックを取り返している。

一度クマのものになったものを、クマを殺さず取り返してはいけないんだろうな・・・・・


新版「馬の医学書」

2012-12-25 | インポート

朝、除雪。

日中も何度かに分けてけっこうな量が降った。

White Christmas.

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今日は、午前中当歳馬の大腿骨滑車のOCDの関節鏡手術。

午後は1歳馬のTieback&Cordectomy.

当歳馬のOCDも、1歳馬の喉鳴りも、急いで手術するのはお勧めしないが、

やるべき症例はやった方が良い。

                       ///////

Pc243530JRA刊行の「馬の医学書」の新版が出ている。

「オールカラー完全版」となっている。

オールカラーはわかるとして、「完全版」って何だ?

馬の臨床の教科書ではないし、

馬の医学の解説書でもない。

そもそも「医学書」と名乗る医学書ってない。

しかし、内容は非常に多岐にわたり、読み物としても面白い本だ。

このようなオリジナルの本が日本で書かれて出版され市販されていることを評価し感謝する。

JRA、そしてJRA総研あればこそだろう。

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ただ残念なことに、ざっと見ただけでも間違いが散見される。

まあ、本なんてそんなもんだ。

と思えるだけ、オレも大人になったナ~;笑。

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Pc243524 シカのウンチ食べても良いけどさ。

そのあとでとうちゃんの顔なめるなよな。


風が吹けば手術台の修理が遅れる

2012-12-24 | 日常

11月末から数回にわけてひどい風が吹いた北海道。

屋根や車庫や鉄塔や看板やいろいろなものが飛ばされて、鉄工所も忙しかったようだ。

おかげで手術台修理の予定がずれこんだ。

 「風が吹けば桶屋が儲かる」という言い回しがある。

諸説あるようだが、

大風が吹くと、砂塵が舞い、眼病で失明する人が増える。

(馬も実は創傷性角膜炎が多い動物で、適切な処置をしないと角膜穿孔で失明しかねない)

盲人が増えると三味線を弾く人が増える。

三味線を作るためにネコが使われ、ネコが減るとネズミが増える。

ネズミが増えると桶をかじって桶屋の仕事が増える。

というのがつながりのようだから、けっこう獣医学的事象と言えるかもしれない。

 北海道バージョンとして、大風が吹くほど寒気がやってくると凍結で水道やら、桶やら、カメやら水周り品が壊れて桶も買い替え需要が増える。というのもあるそうだ。

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Pc243517 北側の台所の窓に付けている屋外気温計。

今朝は夜が明けてもマイナス10℃ほどだった。

この冬一番の冷え込みだった。

そろそろ本格的な冬のようだ。

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ゴールドシップ、強かったね~

おめでとう!!

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すっかりモコモコになった相棒。

都会の室内で飼われてトリミングとシャンプーされているゴールデンとだいぶ毛並みが違うようだ。

とうちゃんは、君の方がかっこいいと思うゾ。

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