先週末、去勢しようと思って全身麻酔したら陰嚢がない。
「陰睾だって言われてました・・・・・」と飼い主さん。
急遽、吸入麻酔して陰睾の手術をすることにした。
右鼠径部を切皮するが鞘状突起もない。
鼠径から腹腔へ手を入れて、発育の悪い精巣を引張り出した。
左鼠径部も、本来陰嚢がある部分へは鞘状突起もない。
こちらは鼠径のすぐ内側に鞘状突起があった。
しかし、精巣とつながっていない。
やはり手探りで精巣を引っ張り出した。
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週明け、顆粒膜細胞腫の異常卵巣の摘出手術。
以前は横臥で膁部を切開していたが、
卵巣が大きくても馬の膁部は狭いのであまり創を拡大できない。
膁部は歩くたびにかなり引張られるらしく術後に馬が痛がる。
馬が伏臥姿勢になるとちょうど後膝が傷に当たる。
それで最近は、仰臥位で鼠径と膝ヒダの間くらいを切開して卵巣を摘出している。
(右;写真は別症例)
この部位から切開しても卵巣を引っ張り出すのに苦労するのは変わらないように思うが、私はこちらの方が気に入っている。
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馬の鼠径ヘルニアはたいてい鼠径を経て陰嚢へ腸管が脱出している。
成馬だと陰嚢を切開し、腸管を腹腔内へ押し戻し、
去勢し、
そこから鼠径輪を縫って閉鎖することにしている。
しかし、仔馬では陰嚢もまだ小さいので、そこから鼠径を閉じることはできないだろうと考えた。
傷はあまり大きくしたくない。
それで、鼠径の上を切皮し、鼠径を縫い縮め、総鞘膜は陰嚢皮膚から剥がして腹腔内へ押し戻しておいて鼠径を閉じた。
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年に80-100頭ほど開腹手術をするが、内股や鼠径を触る手術は数頭しかない。
慣れない手術は神経を使う。
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今朝は突然寒くなった。
北海道のテレビでは「もう暖房つけましたか?」とやっていた。
氷点下の町もいくつかあったらしい。
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