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馬医者残日録

サラブレッド生産地の元大動物獣医師の日々

調査研究発表会ならびにウマ科学会学術集会

2016-11-30 | 学会

明日、夜6時から、静内エクリプスホテルで、

Dr.Ducharmeの講演が行われます。

馬の上部気道(鼻、咽喉頭)の世界的権威のお話です。

馬関係者のために話してくれます。

どうぞ獣医さん以外の方もお聴きください。

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JRA調査研究発表会とウマ科学会学術集会に参加してきた。3年ぶり。

ウマ科学会臨床委員会では、今年はコーネル大学のDuchame教授を招聘している。

生産地でのプログラムを担当するので、東京での話も聴いておかないといけないと考えた。

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27日ジャパンカップ。キタサンブラックおめでとう!

北島三郎オーナーおめでとうございます!

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28日午前中は調査研究発表会。

たいへん勉強になったし、刺激になった。

昼、理事会・評議員会。

午後、企業展示をのぞく。

出展企業の出費で毎年高名な先生を招聘している。

企業の方にとっても馬の獣医師に自社製品を紹介できる良い機会なのだろう。

こういう機会がなければ、製品とパンフレットを持って全国を回らなければならない。

誰かの紹介がなければ、職場をまわれない。

午後はウマ科学会学術集会を聴いた。斬新で興味深い。

夜は、懇親会。

そのあと、ウマ科学会臨床委員会。

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29日は午前中、Dr.Ducharmeにコメントをもらう症例検討会。

朝、Dr.Duchameに挨拶する。

私を覚えていてくださった。4年前に香港で教そわって以来。

ときどきメールで症例についてコメントをもらってはいた。

Dr.Ducharmeの知識、経験、手持ちのデータ、は素晴らしい。

上部気道についての研究はすべて知っておられる。

私ももっとまじめに文献を読まないと、と思わされた。

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午後はウマ科学会の授賞講演を聴いて、

Dr.Ducharmeの特別講演。

飛行機の時間が迫ってきたので、最後までは聴けなかった。

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きょうは、

1歳馬の飛節のOCDの関節鏡手術。

ポニーの膝蓋骨上方固定の内側膝蓋靭帯切断手術。

 午後、血液検査をして、

3歳競走馬の腕節骨折の関節鏡手術。

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やっぱり、わたしは東京のひとごみより、北海道で馬とワンコと居る方がいいな。

 


子牛の脛骨骨折内固定のデモンストレーション

2016-11-26 | 講習会

先日の、十勝獣医師会の講習会では、最後に子牛の脛骨骨折の内固定のデモを観ていただいた。

写真をもらったので、紹介しておく。

持っていった実習用の使い古しの3.2mmドリルビットがあまりに切れなくて、手こずった。

よく切れるドリルビットを使えば、子牛の骨に穴を開けるのは苦労しません。

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私と豆作先生は同級生で、一緒に日高へ臨床実習に行ったりもした。

30年、私の頭は薄くなり、豆作先生の頭はすっかり白くなった。

無くした若さの代わりに、ベテランになったか・・・・

思えば遠くへ来たもんだ。

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いっきに寒くなった。

さらに寒くなって・・・・

そのせいでもないのだろうけど、相棒は胃腸炎? 嘔吐と軟便になった。

何かヘンなものでも食べたかと心配したが、それはいつものことだし・・・・

一晩、吐いたのと、次の朝食欲がすぐれなかっただけで回復した。

やんちゃで、丈夫で、無邪気なだけが取り柄だもんな。

 


十勝獣医師会 サラブレッド生産地のmedicine and surgery

2016-11-19 | 講習会

日高山脈を越えて・・・(なっが~いトンネルでくぐって)帯広へ向かった。

十勝の風景は私には懐かしい。

広々としていて、空気が澄んでいて、木々の種類が少しちがう。

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十勝獣医師会の主催の講習会で、「サラブレッド生産地のmedicine and surgery」と題して講演させていただいた。

タイトルの示すところは・・・・

32年を振り返れば、私がやってきたことは、馬臨床先進国の馬臨床獣医学を日本に持ち込んで実践すること、だったということ。

そして、今日は繁殖reproduction の話はしません、ということ。

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ただ、私が話すと、全身麻酔しての手術が中心になってしまう。

吸入麻酔機が無く、馬の数がそれほど多くない、それも重種馬の地域の獣医さんにそのまま話しても役に立たないと考えた。

しかし、少なくとも馬も診療することがある獣医さんたちなので、初歩のHow toは職場の中で学んだり伝承できるはず。

それで、サラブレッド生産地では馬はどのような病気や事故で死んでいて、それを助けるためにどうやってきたか、この30年の推移がわかっていただけるように話の内容を考えた。

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腸捻転、骨折、分娩事故が生産地の馬の3大死亡原因だ。

保険加入前だが、これに仔馬の死亡が加わる。

どうしようもない事故のように思われるが、どれも治す方法はある。

具体的にはどうする?どうやってきた?をお話したつもり。

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ついでに、馬はこうやってますけど、牛はどうですか?ということで、輸液の話や骨折内固定の話もした。

時間が押してしまったが、子牛の脛骨骨折内固定のデモンストレーションも観ていただいた。

皆さん興味はあるようで、あとは正しくAO法を取り入れていくだけだと思う。

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カシワ林の赤銅色。

カラマツ防風林の黄金色。

行き帰りの道すがら、倒れている樹があったり、沢沿いが崩れていたり、台風の被害のあとが散見された。

倒木や流木がさかんに片付けられていた。

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来年の牛馬の飼料不足を心配する声も聞いた。

豊かな食糧生産地になっている十勝地方だが、天候に左右され、天災に打撃をうける農業畜産であるのは今になっても変わらない。


1歳馬の蹄骨骨折

2016-11-16 | 整形外科

今日は、

1歳馬の腐骨・骨柩の手術。

準急患で、きのう馴致のためのロンギ運動中に跛行するようになり、数時間後には負重不能になった1歳馬の来院。

たしかに右前肢にほとんど負重できない。

しかし、大きく腫れているところはない。

腕節は少し腫れている。

肩周りを動かしてみても、ひどく痛いところはない。

肘、肩、腕節、球節とX線撮影して、はっきりとした異常はなし。

わかりにくい亀裂骨折があるのかもしれない。

こういう症例は神経ブロックしない方が良い。痛みを感じなくなったらボッキリ折れるかもしれない。

念のために蹄骨も撮影してみた・・・・症状は蹄骨骨折とは違う・・・・あまりに痛くて、肢を前へ出せないように見えるから・・・・

蹄骨骨折だ。

関節までは到達していないように見える。

蹄骨は放射線状に穴がある骨なので、必ず角度を変えて撮影する。

さらに鮮明な画像を得るには、蹄叉傍溝を粘土で埋めて撮影すると、溝による透過域をなくせるので判読しやすい。

この症例はそこまでしなくても大丈夫だ。

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hoof cast を巻いて蹄機が働かないように固定することにした。

蹄壁に蹄修理材のsuper fast を塗ってからキャスト材を巻く。下巻きはしない。

蹄負面もsuper fastで補強した。

これで痛みも消え易いし、骨癒合し易いはず。

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午後は血液検査に、

2歳競走馬の球節chip fracture の関節鏡手術。

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これは数日前の夕暮れ。

 

 


飛節での外反の矯正

2016-11-15 | 整形外科

飛節でかなり外反し、歩様もよくない当歳馬。

左の飛節には大きなOCDも見つかった。

術者ふたりがかりで、左右飛節の成長板抑制と関節鏡手術をした。

飛節の肢軸矯正は秋になってからの手術でも効果が出るはず。

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今日は、他に繁殖雌馬の臼歯摩滅異常の鑢整。

臼歯の根元に隙間があり、そこに草が詰まって歯肉炎をおこしている。

斜歯もあり、カケスもひどい。

全身麻酔して、斜歯を削り、臼歯の隙間を広げ、上顎切歯を切断した。

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CRもDRも調子が悪かった。

コールセンターに電話して対応を訊いた。

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日曜日、ずいぶん雪虫が飛んでいた。

明日から冷え込むらしい。

山はもう白くなるだろう。