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馬医者残日録

サラブレッド生産地の元大動物獣医師の日々

サッカーワールドカップ・ロシア出場決定!

2017-08-31 | 日常

ひゃ~終わってみれば快勝だったが、不安でいっぱいだった。

フランスW杯予選で、マスコミが「ほとんど可能性はなくなった」などと騒いでいたときも、私は「まだまだ」と思っていた。

さらに、もたついたけど、ジョホールバルの歓喜は最高だった。

しかし、この予選は残り2ゲームになって、「厳しいな・・・」と思っていた。

今晩、勝てなければアウェーでのサウジアラビア戦。

異常な気候の中で、異様な雰囲気の中で、とんでもないプレッシャーのかかった試合を闘うことになる。

いや~勝って良かった。

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この予選、原口や、久保や、浅野、井手口といった若手が交代で活躍してくれた。

そして、ベテランも役割を果たした。

最上の世代交代だったかもしれない。

新しい力を信じよう、と思わせてくれた。

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鼠径部陰睾の去勢を取り巻いて観ている実習生たち。

君たちが新しい力になるんだからね。

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きょうは、

1歳馬の飛節OCDの関節鏡手術。

1歳馬の腰痿のX線撮影。

4歳競走馬の腕節骨折とDJDの関節鏡手術。

当歳馬の第一趾骨骨嚢胞の跛行診断とX線撮影。


獣医さんのイタい恋

2017-08-30 | 図書室

これは読まねばなるまい、と思って新刊書をamazonで注文して読んだ。

獣医さんのイタい恋
清水 秀茂
文芸社

とても面白かった。

小説としては、ちょっとアラが見える部分もあるし、タイトルもどうかとは思うが、一般の小説としてもよくできていると思う。

著者は現役の獣医さんだそうだ。

経験豊富な腕のよい獣医さんでもあるのが、診療の細部の表現などからわかる。

そんな獣医さんが書きながら、恋愛小説になっているのが面白い。

イタい話になっているのだけれど、主人公を応援してやりたい気持ちになった。

そう思わせたら、この小説は成功じゃないか。

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業界の人は身につまされる話や登場人物のキャラクターが面白いし、

業界外の人には、牛の臨床の世界が覗けて面白いと思う。

多くの方に読んでいただきたい。

続編を書いて欲しいな。

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きょうは、鼠径部陰睾の去勢。

2歳馬の下顎切歯がめくれた症例。乳歯を取った。

1歳馬の腰痿のX線撮影。

午後、

側頭骨舌骨関節症の喉嚢内視鏡検査とX線撮影。

この1年で9症例目。

来週、手術することにした。

1歳馬の飛節OCDの関節鏡手術。

きょうは、私は執刀なし。

とても楽だった;高笑


SHCカンファレンス2017

2017-08-29 | 講習会

先週、金曜は社台ホースクリニック・カンファレンスだった。

症例から学ぼう、という主旨の症例検討会。

もう今年で10年になるそうだ。

素晴らしい機会を与えてもらってきたことに感謝する。

この10年間の発表演題の一覧をもらった。

私は、8回参加し、10回症例発表していた。

たぶん、SHCの先生以外では一番多いだろう。

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今年も2題症例報告した。

1題は、側頭骨舌骨関節症の新たな8症例の経験について。

この病気は、多くの獣医師が思っているより多いのではないか?

なんかへんな馬だと思っていても、獣医師に相談されないままの馬も居るのかもしれない。

獣医師が診せられても、この病気のことを知っていて、この病気を疑わないと、「なんでしょうね」で済まされる症例があるのかもしれない。

Tag先生は、「Hig先生が呼び寄せたんじゃないか」とおっしゃる;笑

たしかに、今まで経験した11症例のうち3例は本州から治療に来た乗馬2頭と競走馬1頭だった。

でも、それ以外は生産地で普通に飼養されていた馬だ。

私、超能力者ぢゃありませんから;笑

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もう1題は、8日齢のサラブレッド雄仔馬の中足骨骨折のLCP固定。

私は、このSHCカンファレンスで、サラブレッドの骨折内固定について何例も報告してきた。

うまく治った例も、うまくいかなかった例も。

そして、今、

販売して競走馬にしなければならないマーケットブリーダーの雄仔馬でも内固定手術の対象になるのではないか。

もちろん確実に治るとか、うまく治るという保証はない。

しかし、骨折治療がうまくいけば競走馬になることもあきらめたものではない。

 昨年のAAEPでの講演で、ペンシルヴァニア大学Richardson教授は述べている。

it (euthanasia) should not be done if you are even slightly uncertain about the "fixable" nature of the injury.

その骨折が治療できるのではないかと少しでも思うなら、すぐに安楽殺すべきではない。

 また、こうも述べている。

In today's information-rich world, it is both possible and undesirable to have an owner find out after a horse has been euthanaized that there have been other horses with the same injury successfully treated.

今日の情報にあふれた社会では、馬が安楽殺された後になってオーナーが、同じ骨折をした馬たちが治療してうまく治っていることを知る可能性もあり、まずいことになりかねない。

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きのう月曜は、

1歳馬の飛節OCDの関節鏡手術。

午後、Tieback&Cordectomyの再検査。

ついで、競走馬の腕節chip fracture の関節鏡手術。

夕方から、1歳馬の足根骨盤状骨折のスクリュー固定・・・と思ったが、足根骨崩壊があり、骨関節症が進行していたので手術は取りやめた。

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もう赤くなっている葉がある。

今年は、7月前半が一番暑かった。

あれが夏だったんだな・・・・・

 

 

 


神様たちの遊ぶ庭

2017-08-28 | 図書室

北海道の新得町トムラウシに1年間山村留学した家族の生活について書いたエッセイ。

紹介をみて、読んでみたい、と数年前から思っていた。

新刊の単行本は高いし、そのうち図書館で読めるかな・・と思っていたら、文庫本が出たので思い切って(笑)amazonで取り寄せた。

神さまたちの遊ぶ庭 (光文社文庫)
宮下 奈都
光文社

文庫本が好きなのさ。

安い。

どこへでも持っていける。

寝転んで読める。

所蔵に場所をとらない。

今のところ、裸眼で読めるし;笑

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この本はとても面白かった。

長編エッセイというよりは、日記風。

子供3人を抱えての、僻地への山村留学(家族ぐるみでも留学って呼ぶのか?短期移住だろう)はドラマではあるけど、

そのこと自体以外に大きなドラマは起きない。

トムラウシには筆者は登らないし、クマにも遭わない。

それじゃあ退屈という人には向かないかもしれないが、子供たちとのやりとりが愉快だし、

筆者の感性や価値感が素敵だ。

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北海道好きで、職を棄てて家族を引き連れて(それも長男は受験生)トムラウシへ移住してしまう”夫”が不思議で興味が湧く。

世間離れしている、と書かれているが、そんなもんじゃ済まなさそうだ。

カラスを知らなかったみたいだし;笑

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私も、「風景がきれいな所で暮らしたい、というのがあったんですか?」と訊かれたことがある。

意識したことはなかったが、それはたしかにあったかもしれない。

海や、あるいは山が見えるとか、ときどき美しい朝陽か夕陽が見えるとか、大きな樹が身近に生えているとか・・・・

そんなことに価値を認めない人も多いかもしれないが、そうでない人も多いのだろう。

                        -

次に読む本も買ってあったのだが、読み終わったこの本をまた読み直した。

「羊と鋼の森」で本屋大賞を受賞し、注目されている小説家宮下奈都さんなのだが、先に出たエッセイ「はじめからその話をすればよかった」

も読んでみることにした。

”夫”がどんな人か少し書かれているようなので、楽しみ;笑

はじめからその話をすればよかった (実業之日本社文庫)
宮下 奈都
実業之日本社

 


新生子馬の中足骨骨折のLCP固定 2

2017-08-17 | 整形外科

この仔馬は雄だった。

競走馬になってもらわないといけない。

馬主が居る馬ではない。販売したい。

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骨折と手術から8週間後。

仔馬は9週齢。

なんとか、ここまでもった。

でも、まだ安心できない。が実感だった。

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またRichardson教授に画像を送って、アドバイスをもらった。

”まだ50日は馬房内管理した方が良い。

その後、少しずつ運動させてそれからプレートを抜く。

競走馬にしないならプレートは抜かない。”

というアドバイスだった。

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骨折と手術から4ヶ月後。

もう親子で夜間放牧されている。

ほぼ完全に骨癒合した。

minimally invasive 手技でスクリューを抜いて、プレートを引っこ抜いた。

プレートを囲むようにできていた贅骨が一部割れたので、それも取り出した。

肢の外反内反はない。

骨に穴がいっぱい(11!)空いているのでもう1ヶ月はおとなしくしておいてもらう。

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きょうは、

3歳競走馬の球節chip fracture の関節鏡手術。

Tieback&Cordectomyした2歳馬の術後1ヶ月検査。

午後、肢軸異常のスクリュー抜去が2頭。

当歳馬の腰フラ?の診察。

おそらく十二指腸狭窄の当歳馬の胃内視鏡検査。

夕方、繁殖雌馬の疝痛の来院。ひどい胃拡張・・・なんだ??

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もう1頭じゃなく、1羽。

解剖場のボロ棄て場所のカラス避けの網にひっかかった・・・なんだろう、ハヤブサの類だ。

幼鳥のように思う。

チゴハヤブサかと思うが、目の下につづく黒いクマがない。

軍手と皮手袋をはめて網を切って救出したが、長い爪は軍手を貫通した。

弱っていたが、飛べたのでそのまま放鳥した。