Cancer 癌。から来ているのだろう。
紙縒り(こより)状の異常な組織が蹄底や蹄叉に増殖し、
切除しても、消毒しても治まらず、馬は跛行し、治せない。
それゆえに蹄癌と呼ばれている。
左の写真は競走馬で、切除と消毒を行ったが良くならなかったので、
Maggot therapy ウジ虫治療を行っている経過中の写真。
蹄癌の組織にはtreponema様の螺旋菌が見つかり、その感染がこの特徴的な病態を作り出すのではないかと考えられている。
できるだけ外科的に異常組織を切除すること。
有効な抗生剤を使うこと。
Maggotに病原菌を食べてもらうこと。
が、現在の最も有効な治療ではないかと考えている。
しかし、最近、蹄癌が牛パピローマウィルスに関係しているのではないかとの研究発表・報告が行われている。
Franのブログにも紹介されている(とても重いブログなので、ネット環境が良くないなら覗かないほうが良いです。英語ページです。)
馬の皮膚に多い馬類肉腫 Equine Sarcoid は牛パピローマウィルスが引き起こすことがほぼ証明されている。
蹄癌も。となると、頚をかしげてしまう。
牛でもフリーストール(乳牛をつながず、広いコンクリート床の牛舎で飼う)で、趾間に肉芽を形成する病気が問題になり、螺旋菌の関与が疑われている。
そんなこともあって、馬の蹄癌も螺旋菌が病原体だと思っていたのだが・・・・・
馬の蹄癌に牛パピローマウィルスが関係していると報告したグループは、馬Sarcoidにも使う化学療法剤を使って、蹄癌に効果があったことも報告している。
蹄癌の治療もまた考え直す必要があるかもしれない。
馬の蹄癌は、蹄を不潔な状態にしておくと起き易いので、清潔にすることで予防するのが一番なのは間違いない。
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新ひだか町周辺の方は、こちらのHPはぜひ今晩覗いてみていただきたい。