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馬医者残日録

サラブレッド生産地の元大動物獣医師の日々

日本獣医師会学術学会・年次大会2017 2日目

2017-02-27 | 学会

金沢での学会2日目。

産業動物といっても牛と豚の発表ばかりなので、小動物の市民公開講座「人と動物の高齢化を考える」を聴く。

講演者が、ペットフード協会、ペットの医療保険会社の顧問、小動物臨床獣医師、だったのは気になった。

小動物飼育数が減ると困る人たちだから。

しかし、動物は人にさまざまな有形無形の恩恵を与えてくれて、高齢者にだって、あるいは高齢者にこそそれは有益だと思う。

高齢だからといって動物と暮らすことをあきらめなければいけないのは社会の貧しさかもしれない。              

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午後は教育講演「消化管の外科手術」を聴いた。

われわれの馬の腸管手術は小動物外科に負けてないよ。

小動物の消化器外科に学ぶべきところがあるかと思ったがそれほどでもなかった。

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前田利家公の像。

奥方の「まつ」女を奉った尾山神社。

朝は武家屋敷の通りを歩いて学会会場へ向かった。

普通の民家といってもこんな家も並んでいる。

土塀の管理も手間がかかっている。

植木の雪吊りも金か手間かかかるだろうね。それも毎年のことだ。

金沢はおしゃれな街だった。

ヨーロッパの街っぽいのかもしれない。(ヨーロッパって行ったことないけど)

歴史があって、作り物(ニセモノ)ではないものがあって。


日本獣医師会学術学会・年次大会2017

2017-02-27 | 学会

平成28年度の日本獣医師会学術学会(学術学会ってヘンなんじゃない?学術集会っていうならわかるけど)に参加してきた。

北海道の地区学会長賞をもらったので、地方代表ということだ。

日本獣医師会の学術学会には馬の獣医師はほとんど参加していない。

馬関係の発表やシンポジウムや集まりがきわめて少ないからだ。

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23日午後の便で小松空港へ飛んだ。小雨。

学会が行われる金沢駅周辺のホテルは高いので、金沢の繁華街のAPAホテルをとった。

温泉がついていて快適だったが、狭い部屋に右翼まがいの本が置かれていて不愉快だった。邪魔だ。

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翌日は午前中に兼六園を観にいった。

金沢行きの一番の目的だな;笑

お約束の”ことじ燈篭”。

皆さんここで記念撮影していた。

正直、それほど広いわけでもないし、それほど特異的な庭園でもないと感じた。

小高い丘の上の庭園なのに川や池が造られているのはみごと。

大木にも百年以上の歴史を感じる。

しかし、みごとな建築物といっしょで、みごとな庭園を造るのも冨の偏在だ。

加賀百万石も農民が作った米の集まりだ。

その上に立って、年貢を搾り取っていた殿様の道楽に素直に感嘆する気にはなれなかった。

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金沢の町には古い趣のある和風の家がたくさんあった。

住み難そうだなとも思うが、それなりに手入れされて今も使われていた。

窓は開け閉めもたいへんそう。保温性は低そう。火事には弱そう。リフォームには金がかかりそう。地震には弱そう。間取りも使いにくそう。

でもちょっと住んでみたいね。

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一番最初に自分の発表を終えた私は、受賞発表の会場をあとにして、「人と馬の福祉を考える」市民公開講座へ移動した。

馬は人の福祉に貢献できるのか、その仕組みをどうつくっていくのか、がテーマだと思った。

馬は他の動物にない力と魅力をもっている動物だと思う。

日本でも馬がもうすこし身近な動物になってくれればイイのに、と思う。

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さて、兼六園も観たし、自分の発表も終えて、金沢へ来た目的は果たした;笑

あとは温泉で疲れをとって、カニかな;笑

 

 


馬の外耳、中耳、内耳

2017-02-21 | 馬臨床解剖学

きのうも忙しくて解剖体で勉強できなかったので、今朝は暗いうちから解剖場で外耳から中耳、そして内耳の勉強。

解剖の写真いっぱいなので、見たくない人はパスしてね。

外耳。耳介から耳の穴。

耳の周りには腺組織が取り囲んでいる。外から切り込める箇所ではなさそうだ。

破れてしまったが馬の鼓膜。

側頭骨を割って取り除くと、もう脳室と脳神経が見えている。

とても深く、危ない箇所だ。

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午前中、頭を傾げている2歳馬の角舌骨摘出手術。

鼓膜を切開して、耳管洗浄もしたかったのだが、鼓膜へアプローチできず。

どうやら子牛のマイコプラズマ内耳炎のようにはいかないようだ。

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急患で2歳馬の舌の外傷。

全身麻酔して縫合。

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入院している1歳馬、繁殖雌馬も調子悪い。

別な繁殖雌馬が疝痛で来院。

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午後、2歳馬の喉頭形成・声帯切除。

疝痛の3頭は全部だめだった。

1歳馬が腕節構成骨の骨折による腕節外反で緊急来院。

X線撮影して、フルリムキャストを巻いた。

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朝日が射しはじめた頃、相棒と散歩した。

まだ寒いが、陽射しの長さと力強さが冬とはちがう。

もう充分いそがしいしね。

 

 


新生仔脳症にプロペシアが効いた、かも

2017-02-20 | 新生児学・小児科

夜中0:05に生まれた子馬。

初産で、安産だった、とのこと。難産によるダメージの可能性は少ない。

後産は1時間ほどで落ちた、つまり早すぎない。すなわち早期胎盤剥離だったとは考えにくい。

そのうち自力で起きて、午前中も乳を飲んでいたとのこと。そこまでは異常なし。

ところが昼から立てなくなった。

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夕方、新生仔集中治療のために来院。

37.7℃とやや体温は低い。

口粘膜はやや赤い。

横臥しているが、眼も動くし、耳も反応する。

しかし、起立意欲はなく、吸引反射もない。

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どうやら新生仔脳症のようだ。

しかし、無反応ではないので、いまのところ重症ではない。

生まれてからどれくらい哺乳できていたかわからないので、持続点滴を始める。

脱水、低血糖、電解質異常、を警戒してのことだ。

60あまりとやや酸素分圧が低い。しかし、動くので押さえつけてまでは酸素吸入しなくて良いと判断した。

尿カテを留置した。2時間後、抜けたので再留置した。起立不能の仔馬は膀胱破裂を起こしやすい。

鼻カテーテルは留置しないで、その都度、カテーテルを入れて50-100mlずつ乳を投与することにした。

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プロペシア1mg錠を4錠すりつぶして乳といっしょに投与した。

新生仔脳症を引き起こしている異常な神経ステロイドを抑えてくれるのだそうだ。

この数年使っていて、良い感触を得ている。

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約3時間後、仔馬は自分で起立した。

夜中3時、別な入院馬の処置のため厩舎へ行って、ついでに様子を観たが、ぐっすり眠っていた。

朝、入院厩舎へ行ったら、自力で起きて、母馬のところへ行って乳を飲めていた。

プロペシア(フィナステリド;男性型脱毛症の薬)が新生仔脳症に効いた、と私は感じた。

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夜中、何度も起こされた翌日の今日。

2歳馬の喉頭形成・声帯切除。

急患で2歳の外傷。

もう1頭急患で2歳の外傷。

そこへ繁殖雌馬の疝痛の急患。

結腸捻転で、小腸の捻れていて、さらに小結腸の腸間膜が大きく破れて腸管のほとんどがそれをくぐっていた。

まだ2月というのにちょっと忙しすぎるんじゃないの?

えっ?もうイチゴが獲れてんの?

ならしかたないか・・・・・・

 

 


出張後

2017-02-19 | 日常

研修を終え、翌日は快晴。

日本の懐かしい里山の光景を眼下に観ることができた。

集落、水田、小川、雑木林、で成り立っているのだ。

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帰ってきた次の日は内部の発表会。

かつて団塊の世代の診療所長たちが始めた。

それは私たちの団体が誇れる伝統になっている。内側から見てればいろいろあるけど;笑

那須の研修でも、内部の発表会でも、聴いた獣医科学生に感想を尋ねると、「難しかった」「わかる部分が少なかった」。

大学で学んだことだけで務まるほど私たちの世界は簡単じゃないし甘くない。

日々勉強しないと着いて行くこともできない。

牛の繁殖は、もう私にはチンプンカンプン;涙

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夜は、装蹄師さんたちを主体にした勉強会。

うまく行ったKeratoma 角壁腫、蹄葉炎の深屈腱切断後の装蹄管理、脱蹄しても生き延びたポニー。

いずれもたいへん興味深く、勉強になった。

人の症例にあれこれ言うのはたやすいが、現在進行形で手当てしていくのは困難がつきまとい先は予測つかない。

その経験を披露してもらえることで、より多くの人が学ぶことができる。

感謝。

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まったく診療しない1週間が終わった。

嵐・・・というほどではなく、つむじ風のような1週間だった。

疲れた・・・というより飲みすぎか?;笑

来週後半は学会だ!

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きのうも今日も寒かった。

北海道より暖かいところへ行っていたせいや、数日暖かかったせいですっかり気も体もゆるんでいたようで寒さが身にしみる。

朝の海岸も寒かった。

波打ち際が砂ごと凍っていた。

今朝は波打ち際に近寄らなかった;笑