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馬医者残日録

サラブレッド生産地の元大動物獣医師の日々

膝、その複雑な構造と機能 比較解剖学的に

2025-04-14 | 馬臨床解剖学

膝についてだいぶ勉強した。必要があって・・・

先々月にも紹介したが、このYoutubeの動画はとてもよくできている。

Equine stifle joint

膝関節は、3つに分かれているし、

半月板という他の関節にはない構造物がある。

関節腔は、特に外側大腿脛骨関節には遠位に広がるrecessと呼ばれる腔がある。

recessとは、休み時間、奥まった所、(心の)奥(底)という意味だそうで、わかりにくいが床の間や彫刻をはめ込む壁の凹みもそう呼ばれると知るとなんとなくわかる気がする。

いずれにしても、構造が複雑でわかりにくい。

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動物種による差は少ない関節のように思う。

ヒトでも、牛馬の大動物でも、小動物でもわりと似た構造をしている。

たとえば肘関節は、ヒトと四足歩行動物はかなり異なった構造になっている。

肘関節は前肢であり、腕を器用に使うサル類と四足歩行の動物の違いかも。

足根関節(飛節)は牛と馬でも骨の形がかなり違う。

ヒトの膝が他の動物と大きく違っている点は、大腿骨と脛骨の角度だ。

ヒトはこの大きく伸展した膝関節の角度のおかげで、直立できる。

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ヒトは直立したまま歩いたり走ったりできるように進化してきた。

ヒトの運動能力が動物より劣っているとはよく言われることだが、必ずしもそうでもない。

例えばヒトは42.195kmを2-3時間で走れるが、こんな持久力はない動物も多い。

体操競技やバレエ、ダンス、水泳は、ヒトがサル類に属しているゆえの運動能力だが、短距離、中距離を走る能力もヒトはなかなかのものだと思う。

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ただ、ヒトは走る、走らないに関わらず、かなり膝に故障が起きる。

ヒトの運動器障害に膝がどれくらいを占めているかは、対象とする年齢層や生活様式にもよるので難しい。

ただ、高齢化社会になったこともあって「膝関節症クリニック」などが流行っているのはご存じのとおり。

直立歩行するようになったこと。足根関節以下をべったり地面に着けてほとんど膝だけでクッションをとって歩いたり走ったりするようになったヒトでは膝は大きな負担を受けていると言ってもいいだろう。

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馬でも跛行の中で膝が原因のものがどれだけあるか?は、ヒトと同じく対象とする馬によって大きく異なる。

一般には、馬の跛行の原因は前肢に多く、近位部よりは遠位部に多い。そして蹄による跛行も多い。

特別なことがなければ後肢の跛行であっても「膝を跛行の原因として疑わない」、という競馬場や乗馬の獣医さんもいる。

しかし、腫れや熱感がなくても膝に原因があって跛行をしている馬は少なからずいる。

膝の構造を知って、その機能について考えておくことは、各動物の膝について理解を深めてくれるかもしれない。

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シカはねえ~

走るというより跳んでるよね

故障は起きないのか?

起きていると思うな

大きな牡シカが跛行しているのを観たことがある

ひどくなったら・・・・・クマの餌になるんだろう

 

 


Equine Distal Thoracic Limb Palpation 馬の前肢下肢部の触診と解剖構造

2025-02-13 | 馬臨床解剖学

こちらはTexas M&A大学の解剖学の先生が提供してくれている動画

Equine Distal Thoracic Limb Palpation

2/10に日獣でやった実習と重なる内容だ。

まず、よく触ってみて触診の練習。

皮膚の上からでも関節、腱、靱帯、骨のでっぱり・凹み、を触知できる。

動画では皮膚を剥がして、解剖構造を説明している。

実習では、その間に、針を刺す、という操作をやってもらったので、もっと積極的に能動的に下肢の構造を認識することができた、はず。

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芭蕉と曾良。

これは宝珠山立石寺にある像。

芭蕉が旅に出たのは46歳だったそうだ。

旅から戻り51歳で亡くなった。

曾良は旅の後半に体調を崩し芭蕉と別れている。

 

 


馬の下肢についてのお勉強

2025-02-07 | 馬臨床解剖学

全国公営競馬獣医師協会の研修事業が始まる。

今年は、初めての試みで日本獣医生命科学大学を会場にして行われる。

私はお手伝いに行くだけなのだが、ちょっと予習しておこう。

この動画は以前にも紹介したことがあるが、私でさえいつ書いたか覚えていないし、簡単に検出できないのでもう一度。

Equine Distal Forelimb ,Tendons and Ligaments YouTube

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この動画も以前に紹介したことがあると思うが、もう一度。

Equine Anatomy - Flexor Muscles of the Digits

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下肢ではないが、後肢の膝の構造についての動画もある。

Equine stifle joint

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良い時代になったものだ。

このような動画が無料で観られる。

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山形県蔵王温泉スキー場へスノボしに行ってきた。

以前から行ってみたかったのだが、仕事をしている間は無理だった。

モンスター 樹氷

たしかにね。

北海道はこうはならないかな。

 

 


NASU2020 3日目 馬解剖筋学

2020-02-04 | 馬臨床解剖学

3日目、麻布大学大石先生の解剖学実習に参加させてもらった。

馬は立った状態に近いよう吊り下げられている。

この方が、寝かせているより筋肉の解剖を見やすい。

馬を吊すには特殊な器材とHow toが要る。

それも物江名誉会長や上田会長が準備してこられた。

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さてここからの記述は私の実習覚え書きだ。

獣医解剖学的に正しいかどうかわからないので、ご注意ください。

解剖は実習馬に黙祷を捧げてからスタート。

馬は体幹皮筋が他の動物にくらべて発達しているのだそうだ。

そして、広背筋と一緒になって、前肢の内側へ入り込んでいる。

肩甲骨を支える頭側の筋肉は、僧帽筋菱形筋

肩甲骨の裏(内側)には肩甲下筋があり、肩甲骨は鋸筋で胸に張り付いている。

というか・・・・肩甲骨から胸に伸びた鋸筋胸部をぶら下げている

鋸筋はまさに鋸のようになっている。

上腕骨から頭へ向かっているのは上腕頭筋

馬は鎖骨がないが、わずかに腱状になって残っていることもある。

その下にあるのが、鎖骨下筋。

胸骨頭筋(胸骨下顎筋)が頚の付け根では中央を走っているが、頭に近づくと左右に離れ、

正中近くには胸骨舌骨筋、胸骨甲状筋が走っている。

胸前に見えているのは胸筋。

胸筋の頭側は、尾側へ行った肩甲骨を前へ引張り戻すのに役立つだろう、とのこと。

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肩甲骨に張り付いているのは、三角筋、棘下筋、棘上筋。

小円筋は何している?要らないんじゃない?とのこと。

肩甲骨の裏側には肩甲下筋、大円筋。

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とても長くなるので”続く”。

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ワンコの中臀筋は腸骨前縁で終わっている。

しかし、馬はちがうんだな。

ワンコのハムストリングス、半腱半膜様筋は坐骨結節で終わっている。

しかし、馬はちがうんだそうだ。

同じ筋肉の起始・終止が動物で異なるなんて、面白い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 


馬の外耳、中耳、内耳

2017-02-21 | 馬臨床解剖学

きのうも忙しくて解剖体で勉強できなかったので、今朝は暗いうちから解剖場で外耳から中耳、そして内耳の勉強。

解剖の写真いっぱいなので、見たくない人はパスしてね。

外耳。耳介から耳の穴。

耳の周りには腺組織が取り囲んでいる。外から切り込める箇所ではなさそうだ。

破れてしまったが馬の鼓膜。

側頭骨を割って取り除くと、もう脳室と脳神経が見えている。

とても深く、危ない箇所だ。

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午前中、頭を傾げている2歳馬の角舌骨摘出手術。

鼓膜を切開して、耳管洗浄もしたかったのだが、鼓膜へアプローチできず。

どうやら子牛のマイコプラズマ内耳炎のようにはいかないようだ。

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急患で2歳馬の舌の外傷。

全身麻酔して縫合。

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入院している1歳馬、繁殖雌馬も調子悪い。

別な繁殖雌馬が疝痛で来院。

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午後、2歳馬の喉頭形成・声帯切除。

疝痛の3頭は全部だめだった。

1歳馬が腕節構成骨の骨折による腕節外反で緊急来院。

X線撮影して、フルリムキャストを巻いた。

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朝日が射しはじめた頃、相棒と散歩した。

まだ寒いが、陽射しの長さと力強さが冬とはちがう。

もう充分いそがしいしね。