昨夜は牧場関係者向けの講習会。
疝痛の発生状況と予防法について、が内容だった。
なんと370名以上が集まり、ホテルの椅子はすべて使い果たしたそうだ。
馬は疝痛が多い動物で、しかも死んでしまうことも少なくない。
それも、健康だった馬が突然そうなり、苦しみのうちに悲惨な死に方をする。
皆、それを経験しているからこんなにたくさんの人が集まったのだろう。
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この10-20年は疝痛馬を開腹手術で助けられるようになってきた年月だった。
われわれ獣医師はWhite先生が編集した名著「Equine Acute Abdome」でその勉強をしてきた。
馬の疝痛についての本は他にもあるし、馬外科の本にも疝痛の章はあるが、いまだにもっとも信頼され、用いられているのは「Dr.WhiteのAcute Abdomen」だ。
White先生は44歳のときに初版を出されたそうだ。
まだまだ馬の開腹手術が発展中の時代だったとはいえ、44歳の若さでの偉大な業績であり、功績だ。
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White先生は21年前に初めて来日され、馬の疝痛についての講演をされた。
私はそのときは会っていないし、講演も聴けなかった。
今回初めてお会いしたら、穏やかで優しい方のようにお見受けした。
海外の有名な先生に会うと人柄も素晴らしいのに感心する。
才能に恵まれ、努力を続けてこられ、業績を挙げられ、高い評価を受けている充実した人生がそこにあるからなのだろう。
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午前中は疝痛後の栄養管理について講演をいただいた。
疝痛後の馬にどのように餌をあたえるか、
餌を食べられない馬にどうやって非経口栄養投与するか、
結腸便秘をどう治療するか、
などを教えていただいた。
午後は持ち寄った症例や課題についてコメントやアドバイスをいただいた。
「検討会」のつもりだったが、知識や経験の量が違いすぎる。
教わることばかりだった。
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初版のEquine Acute Abdomenの最初にはWhite先生の言葉が書かれている。
「学び続ける人生の価値を教えてくれた両親に捧げる」
White先生にお会いして、目の前に「学び続ける人生」の具現を見た気がした。
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さて、明日から東京だ。
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オラも連れてけ~
ガジガジ