近位指骨・趾骨間関節、つまり第一と第二指骨(趾骨)の関節を傷めてしまった馬ではその関節を固定してしまう手術が治療方法となることがある。
Dr.Richardsonに相談したら、手引書を送ってくれた。
実にシンプルに書かれているが、どうしてそうしなければならないかも書かれている。
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Arthrodesis of the Proximal Interphalangeal Joint
近位指骨(趾骨)間関節の関節固定の適応には、難治性の骨関節症、重度の骨軟骨症、外傷性脱臼、繋の関節を含めた骨折がある。
この関節の動きは限られているので、関節固定により通常は跛行はなくなる。とくに後肢で、高いレベルで運動しない馬では良好な結果が期待できる。
いくつかの手法がこの関節の固定手術に用いられて成功してきた。
関節を貫く2本のスクリュー、3本のスクリュー、それに短いDCPを併用すること。
内固定は切皮しても行えるし、最小侵襲法でも行うことができる。
私の考えでは、現在最良の方法は特別製の3穴のLCP(ロッキングコンプレッションプレート)と関節貫通スクリューを併用する方法である。
骨関節症が進行したり、関節周囲の骨増殖がひどい馬では、この方法を最小侵襲法で行うことができる。
APROACH
蹄冠部から15mmのところを横に切開し、縦は第一指骨の中央近位までを切開した、逆T字型皮膚切開を行う。この切開は皮膚と皮下織だけにとどめ、伸腱を露出させる。新しいメスを使って、逆V字型に骨の表面まで切開する。メスで逆V字を剥がし、遠位へめくる。側副靭帯も関節の両側で切断する。関節軟骨をすべて除去する。私は関節の形状を保つようにボーンソウ(骨鋸)で表面を削るのを好む。露出した軟骨下骨を格子状に浅く削る。この格子状の刻みを入れることで3.2mmドリルを位置決めし、両側の関節面に浅く(1-3mm)8-10mm間隔で穿孔するのが容易になる。
FIXATION
正中にプレートを当てて、関節貫通スクリューが干渉しないことを確認する。ドリルは遠位の関節面の掌側から中央よりへ通さなければならない。そのことで、第二指骨の掌部を関節貫通スクリューが固定することができる。このことは2つの理由で重要である。1つは、関節の掌側をまず圧迫し、次いでそれに抵抗するように背側にプレートの牽引を働かせる。2つは、スクリューを掌側へ向けて挿入することで重大な失敗の一つである舟嚢組織へドリルしてしまうことを避けることができる。小型の馬では、2本の5.5mmスクリューが適しているが、大型の馬では私は3本か4本のスクリューを使うことを好む。全ての滑り孔を開けておいてから、ネジ山孔へと穿孔する。あまり正中へ向けてドリル穿孔しないように気をつけないとプレート固定のスクリューに当たるかもしれない(プレート固定用のスクリュー3本のうち2本は位置を変えられない)。ネジ山孔を開けて、測って、タップを切って、充分に締める。プレートの左右に少なくとも1本のスクリューを入れてからスクリューを締めるのが良い。
スクリューを締めたら、プレートを骨に沿うように曲げる。遠位の丸い孔用にドリリングして、5.0mmロッキングヘッドスクリューを入れる。プレートは鉗子か指で骨にしっかり押し当てて、注意深く締める。つまり、全力ではない!次のスクリューを入れる前にスクリューを目一杯締めるとプレートが回転してしまう。通常は5.5mm皮質骨スクリューをプレートの真ん中の孔にユニバーサルドリルガイドを使って最大負荷位置で入れる。このスクリューを最後に締める前に、遠位のLHSを完全に(あなたができる限り)締める。皮質骨スクリューを締めることで関節の背側を圧迫することができ、プレートを骨に押し付けることになる。プレートの近位の孔に5.0mmLHSを向こう側の皮質も貫くように入れる。
PMMAに抗生物質を混ぜて、プレートの孔とプレートの横や下のあらゆる空間を満たす。関節腔にPMMAが入らないようにする。全てのスクリューの締まりをチェックする。腱をVicryl1(あるいは同様のもの)で十字縫合かnear-far-far-near縫合で閉じる。逆T字の皮下織を縫ってから皮膚を2-0monocryl(あるいは同様のもの)でかがり縫いする。私はいつもはキャストを巻く間にリムパーフュージョンする。キャストはいつも通り正常に負重した肢勢で巻く。
馬がキャストに耐えられるようなら4-6週間着けておいてから除去する。もしキャストに問題があるなら、立位で巻き直すことができる。固定は非常に強固で安定しているので、もしキャストずれが起きたらたいへん早期にはずすことができる。ほとんどの馬で関節固定は3-4ヶ月で進行し運動を増やすことができる。普通は6-9ヶ月で使役に戻ることができる。
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練習した。
どこが肝心で、どこが難しいか、やってみるとわかる部分がある。
頭で考えているだけでは、実際には思うようにいかない。
そして、練習していても、本番は練習どおりにはいかない。
この年になっても初めてのことがあり、練習して上達できるなら楽しく嬉しいことだ。