馬の麻酔をしている診療施設では当たり前のように使われているのだけれど、意外に知らない獣医さんも居るので書いておこう。
デマンドバルブ、は酸素の配管や酸素ボンベから気管チューブへつなげると、自発呼吸で酸素を吸えるし、息を吐くこともできる。
そして、ボタンを押すと、酸素を押し込むこともできる。その場合もボタンを離せば、馬は息を吐くことになる。
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単純なつくりになっていて、
酸素の圧で膜が押し付けられて、排気できないようになっている。
呼気や吸気の圧で、その膜が開放されて、息を吐ける。
ボタンを押すと、酸素の圧がそのまま肺を膨らませる。
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人医療用で多くの機種が販売されている。
しかし、成馬には人用では流量が十分ではない。
それで、USAで販売されている馬用の流量を増やした機種を取り寄せている。
仔馬、子牛なら人用で大丈夫だろう。
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酸素ボンベ、気管チューブ、デマンドバルブ、を用意しておけば、麻酔中の馬に人工呼吸を簡単にできる。
むか~しは、麻酔器には大きな風船が付いていて、それを圧迫して換気させる、ということになっていた。
しかし、丈夫なゴム風船ではないので、馬の肺を膨らませるほど圧迫すると破裂するだろうし、
とても大きいので、人力で圧迫しようとすると抱きかかえるようにして圧迫しないとならず、現実的ではなかった。
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気管チューブ (気道確保) と
デマンドバルブ (換気方法) には、何度も危ない場面を助けてもらってきた。
吸入麻酔後でなくて静脈麻酔中でも、新生仔蘇生でも、すぐには何が原因かわからない気道閉塞や呼吸停止でも。
麻酔や緊急事態や救急蘇生の必須の器具であり、必須の手技だ。
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単純な構造だが、壊れたり、不調だったりすることもある。
吸えるけど吐けない、などという壊れ方をすることもあるらしい。
そうなると肺が膨らみすぎて危ないので、安心して目を離せるということではない。
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モミジの赤やオレンジは目を惹くが、カシワ林の赤茶色も美しい。
このカシワは妙に赤いね。
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人が動物の中では珍しく色の視認に優れているのは、色づいた果物や木の実を食べていたせいだ、という説があるらしい。
しかし、他の猿よりも色に敏感なことの説明にはならない。
社会性が発達し、他者の顔色を判断できる者だけが生き残った、という説もあるそうだ。
顔を赤らめて怒っている権力者や、青ざめて襲ってくる奴に鈍感だと生き残れなかったとしたら厳しい選抜淘汰だ。
医療者は、色に鈍感だとまずい。
貧血、チアノーゼ、黄疸、を見逃すようじゃ、ね。