胎仔が出生し、肺呼吸が始まることで、左右の心房をつないでいる卵円孔と、肺動脈から大動脈への抜け道であった動脈管が閉じることは以前にも書いた。
重複になるが、 Equine Internal Medicine 3ed. にはそれぞれが閉じる時期も詳しく書かれている。
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「先天性心疾患の病理発生」の項の一節。
p429
肺が広がることで、肺循環の抵抗が下がり、肺の血流が増加する。
結果として生ずる左心房圧の上昇が、出生後24時間以内-48時間以内に卵円孔を機能的に閉鎖させる。
同様に、局所でのプロスタグランジンの抑制が、妊娠期間を満了した仔馬のほとんどで72時間以内に動脈管の機能的閉鎖を導く。
右-左シャントの持続、とくに卵円孔レベルでのシャントの持続が、未熟な仔馬や、肺性高血圧につながる重度の肺疾患を持った仔馬で起こりうる。
このような症例では、卵円孔を通るシャントは動脈の酸素分圧低下と組織低酸素の追加機序となる。
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肺呼吸の始まりによる肺への血流の増加が卵円孔と動脈管の機能的閉鎖を起こすのだが、
動脈管の閉鎖にはプロスタグランジンの抑制が働いていることが書かれている。
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つづく「シャントの臨床病態生理学」の項にも、心房中隔欠損と動脈管開存の項がある。
その動脈管開存の項。
p432
動脈管の開存は単独の先天性心臓障害としてはまれで、もっともよく見つかるのは、他の、より複雑な奇形と併発してである。
動脈管は胎仔期の血管であり、左第6動脈弓から発生し、胎仔の肺動脈から大動脈へのシャントを可能にしている。
出生時に、局所の酸素分圧の増加とプロスタグランジンの抑制により、動脈管は正常に収縮する。
ほとんどすべての仔馬で動脈管は生後72時間後に機能的に閉鎖する。
もし動脈管が閉鎖しないと、大動脈から肺動脈への左-右シャントが起こる。
他の動物種では動脈管開存に関係する遺伝性があるが、この病気は単独の先天性障害としてはとてもまれなので大きな心配はない。
未熟な仔馬、持続的な肺高血圧を持った仔馬、そして母馬がプロスタグランジン抑制剤を投与されていた仔馬は動脈管開存を起こす可能性がより高いかもしれない。
臨床症状は、動脈管を通るシャントの量による。それは、動脈管の径と肺循環での血管の抵抗で決まる。
(動脈管開存による左-右シャントの)診察所見には、持続的な機械性雑音、動悸、ふつうは肺動脈域(大動脈弁の頭背側)で最も大きく聴こえ、動脈拍動を感じる。
類症鑑別として、複合した先天性心疾患による他の全身循環から肺循環へのシャントを判別する。
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新生仔馬を剖検すると動脈管がまだ開いていることを確認するのだが、収縮していて機能的に閉じていた(血流さえなければ)のなら問題ないのだろう。
しかし、肺に障害を持つ新生仔馬は多いし、プロスタグランジン抑制剤(フルニキシンも!)を投与される妊娠馬も多いので、注意が必要かもしれない。
ただ、どの項にも書かれているが、動脈管開存は単独の心臓障害となることは非常にまれなようだ。
だから、確定診断は心臓超音波検査 echocardiography によらなければならないだろう。
(つづく)
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・・愛情表現なのに・・・
父ちゃんは
オラを臭いって言う
そいで
今日は
洗われた。
でも、これでこのつぎ洗われるのは半年後ダナ
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