子牛の前十字靱帯断裂では、NOSAI岩手の先生がホルスタイン子牛でimbrication 層状縫合・鱗状重層による1例報告をしておられる。
きちんと診断し、外科治療を行った臨床獣医師に敬意を表したい。
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飛び魚が名物の島へ行ってきた。
とても楽しい6日間だった。
働いていたときには考えもしないことだった;笑
子牛の前十字靱帯断裂では、NOSAI岩手の先生がホルスタイン子牛でimbrication 層状縫合・鱗状重層による1例報告をしておられる。
きちんと診断し、外科治療を行った臨床獣医師に敬意を表したい。
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飛び魚が名物の島へ行ってきた。
とても楽しい6日間だった。
働いていたときには考えもしないことだった;笑
私が牛の膝の前十字靱帯損傷で記憶があるのは、かつての釧路NOSAIの先生方の手による、この一連の研究発表。
もう40年前の調査で、調査研究の手法も、診療データそのものも、調査研究の結果のまとめ方も、この”論文”のそのものも、”old” ではある。
ただ、あの時代に、乳牛の十字靱帯を診断し、ちゃんと記録を残し、疫学的データから病理解剖まで行った努力と成果はすばらしいものだと思う。
私は大動物臨床獣医師に成り立ての頃、この壮大な調査研究発表を聴いたのでとても印象に残っている。
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牛の前十字靱帯断裂がかなりの症例数があること
診断技術があれば、他の起立不能や跛行と診断できること
突発事故ではなく、損傷の積み重ねで断裂に到ると思われること(発生疫学的にも病理解剖からも)
しかし、加齢以外の発症要因は不明
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というようなことが印象に残った。
乳牛の飼い方は北海道でもこの40年の間に大きく変わってきた。
一戸当たりの飼養頭数は数倍に増え、牛のつなぎ方もスタンチョン(牛の頚を挟む)からフリーストールやスーズバーンの牛舎が増えた。
放牧は・・・・どうなんだろう。減ったのか? 見直され、また少し増えているのか?
前十字靱帯断裂は、単純な突発事故ではないにしても、牛舎の構造や牛の飼い方に大きく影響を受けると推察される。
それと、搾乳月齢に達するまでの育成期の扱いも影響しているかもしれない。
若いときに放牧されて十分に運動した牛は筋肉も骨も良く発達し、運動器が丈夫なのではないだろうか。もちろん靱帯も。
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さて、最近の乳牛の「前十字靱帯断裂」はきちんと診断されて、診療と事故の記録として残されているだろうか?
増えているだろうか? 減っただろうか? 原因が把握され、予防の努力がされ、成果が出ているのだろうか?
40年前の釧路の獣医さんたちの熱意に今も感心し、敬意を表する次第である。
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大きくなりすぎたレンギョウの株を掘りあげて、移植した。
たいして大きい木ではなく、せいぜい小灌木なのだが、腰が痛くなった。
働いていた頃には4月にこんなことしてられなかったのよ。
そもそも4月に植え替えるのが良いかどうかは別にして;笑
北海道の他の地域のNOSAIの獣医さんが研修に来ておられるので、子牛の骨折治療の講義と実習のために出勤。
ところが、初産ホルスタインの難産が来院。
1週間遅れの分娩で過大仔で、産道も狭く出そうにない。
子牛はもう死んでいる。
研修の先生に帝王切開していただいた。
地元の新人獣医さんに教えながら。
さすがに手慣れていて、教え方も優しく親切で感心した。
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午前中に、牛の骨折治療について講義。
午後から実習を始めたのだが、前夕に開腹して入院している馬が調子悪い。
他の獣医師は、講習会へ出かけており、血液検査業務もしなければならない。
それでも、stomach tube で胃を減圧し、輸液を付け直し、etc.
血液検査も終わった。
骨折プレート固定の実習も、脛骨骨折を固定し、キャストを巻かなくても治る強度を確認してもらって終了。
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骨折プレート固定の練習作品。
脛骨骨幹中央の短斜骨折に対して、lag screw で固定し、9孔DCPを当てプレート固定をし始めたところ。
骨幹端には6.5mm海綿骨screwを入れるのが良いと思いますよ。
遠位から3本目のscrewは対側皮質に開けたドリル孔に入らず、皮質内側を滑ってしまった。
これは起こりがちなミス。
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半日の実習だと”体験”くらいかな。
しかし、見たこともないのと、やってみたことがあるのは大違いだと思う。
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ことしは4~5日ごとに雨が降り、ほとんど水まきをしなかった。
植物にも好かったが、紅葉するには秋の寒暖差が少なかったかな。
来院してもらってキャスト固定した。
その後、4週間後に農場でキャストが巻き替えられた。
これが巻き替え前のXray。
骨癒合は、背側、底側、内側、外側と皮質骨の再構築を評価する。
仮骨、贅骨の増生も評価する。
粉砕骨折で、骨片が変位していたせいもあって、皮質骨の連続性が心もとない部分がある。
巻き直しは妥当な判断だろう。
キャスト擦れはわずかで皮膚の状態は悪くなかったそうだ。
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それから2週間。
骨癒合はさらに進んだ。
粉砕骨折の各破片が仮骨に覆われて連続性がかなり再建されたように見える。
骨折部の短縮(騎乗変位)もほとんどなく、変形癒合もない。
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安全のために長くキャスト固定しておいた方が良いというわけではない。
荷重がかからない骨は脱灰して骨量が減り脆弱化する。
固定されている肢は筋力が衰え、関節の可動性が乏しくなるかもしれない。
屈腱が弛緩し、球節遠位が沈下する。
どこかでリスクを受け入れてキャストは外さなければならない。
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この子牛は6週間でキャスト除去し、バンデージに巻き替えられた。
経過は良好なようだ。
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細かいアドバイスをするとしたら、
2回目のキャストは、もう肢を牽引して巻く必要はないので、少し球節を屈曲させて巻いてやった方が、子牛は少しでも肢を使うことができただろう。
骨折肢のX線撮影では、少なくとも折れた骨の全長を画像に入れたい。評価したいのは骨折部だけではない。
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夜明けの散歩
新冠温泉 いいよ
阿部先生のブログはチェックしているつもりだったのだが、この動画は見逃していたのかもしれない。
成乳牛の股関節脱臼整復
すごいな~と感心した。
私は数例、子牛の股関節脱臼を診せられたことがあるが、発症から何日も経っている症例は大腿骨骨頭切除の対象にしかならない。
発症した当日に来院した症例は整復できたが、その後の経過は良くなかった。
馬でも何頭か診たことがあるが、たいてい発症から数日を経ているし、馬の股関節脱臼はたいてい大腿骨頭の骨折を伴っている。
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成牛の股関節脱臼は予後は厳しい。
しかし、発症から早ければ整復して治癒させられる可能性がある。
現場ではX線撮影も無理なので、確定診断はできないのだが、外貌と触診と動きの様子で判断し、できるだけ早く対応しなければならない。
人力でやるのはかなり厳しくて、農場の人にも説明してトラクターや牽引ロープで”作業”することになる。
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ただ闇雲にひっぱれば良いというわけではない。
どちら側へ脱臼していて、
骨盤と大腿骨頭がどういう位置関係にあり、
だから、飛節を内旋させることで骨頭が股関節臼にはまり込むようにもしなければならない。
日頃から文献を読んで勉強していないと、やろうとすることさえできないだろう。
やろうとしてできなかった経験も生かさないとならないだろう。
そして、始終が動画撮影できていて、それを公開してくれているのも素晴らしい。
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動画を観て、私は感動した。
酪農家が言っている、
「十何年農家やってるけど(股関節傷めた牛が治るの)初めてだよ。
やっぱり獣医さんなんだよね~」
クライアント(顧客、依頼主)にこう言ってもらえる、こう思ってもらえる仕事をしたいものだよね。
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藤倉英幸さんの絵を見てきた。
日高の馬がいる風景を描いた絵もあった。
貼り絵なのだそうだ。