UC DavisのHPから紹介してきた子馬の不適応症候群とこどもの自閉症についての研究の紹介も今回が最後。
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仔馬の行動を自閉症になぞらえる
「胎児の意識の移行の中断は自閉症のこどもに関係しているかもしれないという概念は興味をそそるものです」と、Pessahは述べた。
不適応症候群の仔馬に見られる行動が、実に自閉症のこどもの症状を思わせるものであることは間違いない。
自閉症のこどもの中には彼らが10代に成るころまでに自閉症的行動をしなくなる子がいると、彼は言う。
そのことは、不適応症候群の仔馬の回復と同様なのだろうか?
関連の可能性の研究
獣医師、内科医、疫学研究者、基礎科学研究者からなる比較神経学研究グループと呼ばれる新しいグループが、この分野でのさらなら研究を追及するために形成された。
MadiganはStanford医科大学の研究者と、新生児のカンガルーケアに関係する出生後の意識の移行のメカニズムを探っている。
仔馬の研究データを使って、Pessah、Madigan、そしてAlemanは、UC Davis 「心」研究所の環境疫学研究者Irva Hertz-Pcicciottoと、さまざまな程度の自閉症から、広い意味での自閉症である発達遅延のこどもの神経ステロイドを研究する作業をしている。
研究者たちは、出生前後の神経ステロイドの調節の異常が、自閉症と神経発達障害に関係する多くの要因のひとつになりうるかどうかを探っている。
最新の研究では、自閉症の障害のあるこどもで神経ステロイドの上昇が認められることが報告された。
Pessahと共同研究者たちは、障害のマーカーとして使えるかもしれない、ある神経ステロイドの血中レベルの変化を探そうとしている。
しかし、彼らはその関係が正しいと証明されるか、間違っているとなるか、わからない理論にすぎないことを注意喚起した。
絡み合う私たちの健康
そのようにして、研究はヒト医療と獣医療において進んでいる--二本足と四つ足の患者はまったく異なっているけれど、探ろうとする研究者たちを驚かせ続ける無数の生物学的プロセスによって、彼らの健康は微妙に関わりあっている。
「動物とヒトの障害のいくつかが出生時の意識の移行の問題に関係しているかもしれない、というのは新しい考え方です」、とMadiganは言った。
「出生後の生存と適応のための発達の生物学的メカニズムは、新生仔馬であろうと、新生児であろうと、重要な概念です。
仔馬が私たちに私たち自身について何かを学ばせてくれるなら、それは素晴らしいことです。」
不適応症候群から生還した新生仔馬からの親愛をたのしむMonica Aleman
(おわり)
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悪夢とも言われる仔馬の中枢神経性異常行動の原因が明らかにされつつあるなら素晴らしいことだ。
低酸素虚血性脳症ではなく、神経ステロイドの異常だと言われると、納得できる部分もある。
子宮内に居た胎子が、産道を通るときに受ける圧迫が重要で、それにより覚醒するのだという説もうなづける。
異常行動を示す新生仔馬は「安産だった」と言われることも多いし、帝王切開した子馬がしっかり覚醒しない率はとても高いからだ。
Madiganのfoal squeeze procedure はとても興味深い。
しかし、ロープで胸を締めるだけでなく、頭部や腹部や肢を含めた体全体を圧迫できるような方法や器具を考案してはどうだろう。
ヒトの新生児では産道で頭蓋を圧迫されることが意味を持つということを聞いたことがある。(もちろん強すぎると危険なのだが)
男性の加齢性頭部脱毛の原因とされる変性した男性ホルモンを抑える薬が、新生子馬の中枢神経異常を起こす神経ステロイドも抑えるはずだというのも福音だ。
何例か投与してみているが、効果があるような印象を受けている。
なにせ今まで看護以外の治療法はなかったのだから。
そして、それらの研究がヒトのこどもの自閉症の研究につながるかもしれないというのもたいへん素晴らしいことだ。
成果を待ちたい。
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きのうは、1歳馬の深屈腱の超音波によるチェック。
分娩後2日の繁殖雌馬の疝痛。直腸の奥で閉塞している直腸検査所見。
開腹手術したが、小結腸が骨盤腔で癒着し始めていてあきらめた。子宮体背側の穿孔だった。
午後は2歳馬の去勢。
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女用心棒バルサ(精霊の守り人)も好いが、私にはこちらの方が楽しめる。
史実の中での、実在した志士たちの生き様に何かを感じるからだ。