馬医者修行日記

サラブレッド生産地の大動物獣医師の日々

サラブレッドが変なんだよ

2018-08-19 | 動物行動・心理学

セリが近くなって診療はすこし余裕が出てきた。

土曜日は、非サラブレッドの跛行診断4頭。

鎮静剤も投与せず、鼻捻子もとらず、後肢のX線撮影をすることができた。

飼い主さん、自分で削蹄。

実習生に馬の肢を挙げさせるのも、心配せずに済む。

本来、馬は牛以上に人になつき、人の指示に従う動物だ。

人を背に乗せたり、人と一緒に田畑を耕したり、山へ入って木材を引張り降ろす家畜として改良されてきた。

サラブレッドが特殊で、速く走ることだけを基準に選抜されてきた。

日本に居る馬は8万頭足らず。

そのほとんどがサラブレッドだ。

多くの外国ではそんなことはない。

サラブレッドが特殊な馬なのだ。

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う~んリアル。

どうしてこのおばさんなんだろうね。

そして、どうしてこの表情なんだろう?

けっして機嫌よさそうには見えない。

どうしてこのでかさなんだ??

何なんだ!?

 

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動物園の事故

2015-08-27 | 動物行動・心理学

札幌の民間動物園からペリカンが逃げ出して、胆振地方に現れたそうだ。

捕獲を試みるようだが、なかなか難しいだろう。

札幌円山動物園ではマレーグマが事故で死に、業務改善命令を受けたと思ったら、今度はシマウマが輸送のストレスでショック死したという。

動物園に落ち度があったのか、避けられない事故だったのかは知る由もないが、大動物獣医師としては動物を扱う難しさは多少なりとも理解している。

ましてや家畜ではなく野生動物だ。

逃げちゃいました、死んじゃいました、では済まないのはわかるが、予想もしないことが起こる。

放馬させたことがない馬関係者はいないだろう。

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私のところでも信じられないようなことがおきたことがある。

私は検査室にいて、診療はしていなかったのだが、物音に驚いて診療室へ行ったら、繁殖雌馬が枠場で暴れていた。

そのうち、枠場から飛び出した。

飼い主さんも恐れおののいて曳き手を離してしまった。

私はサンダル履きのまま曳き手をつかまえたが、その馬はもう錯乱状態で、抑えきれるものではなかった。

ガラス窓から飛び出そうとして窓へ突っ込みそうになる。

どうしようもなくて曳き手を離したら、診療室の中を走り回ったあげく、診療室から飛び出してなんと廊下へ入っていった。

そのまま廊下を走って、曲がり角で転倒し、あわてて玄関を開けたら正面玄関から出て行った。

外へ出たらなんとか落ち着いてつかまえることができた。

とにかく外へ出たくてパニックを起こしていたのかもしれない。

人も馬も大きな怪我はなかったが、その馬は二度と枠場へ入らなかったそうだ。

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若い馬が馬運車へ乗ろうとしなかった。

「目隠しすればイイよ」とたまたま他所から来ていた獣医さんがアドバイスして、牧場の人がジャンバーを馬にかぶせたら・・・・

暴れ出して、放馬。

前が見えないままの馬はたまたまそばに止めてあった業者の人の乗用車のトランクに激突してのっかかり、車はベッコリへこんだ。

そのあとは・・・・よく覚えていない。

今でも馬を連れてくるのに、輸送用無口頭絡(ロープでつくってあり金具を使っていない)と数メートルある長曳き手を付けて来る牧場があるが、本当はそうするのが安全なのかもしれない。

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牛も抑えきれないで敷地内で暴走したことがある。

職員住宅の方まで走っていき、もう少しで私の新車につっこむところだった。

暴走する牛を無口頭絡で止めるのは難しい。

力だけでなくテクニックがいる。

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育成牛が診療室兼手術室を駆け回ったこともある。

私は関節鏡手術の準備をしていたのだが、枠場では牛の手術もしようとしていて、その牛が手をかけていない牛だった。

農家の人は診療室へ引張って歩く自信がないため、診療室へトラックを後付けにして牛を降ろしたらしい。

案の定、トラックから飛び降りたその黒毛の育成牛は飼い主を振り切って、診療室を走り回り、関節鏡手術器械を載せた台をひっくり返し、

ステンレスのシンクをへこませた。

「バカヤロー!誰が牛を入れてイイって言った!器械が壊れてたらお前らの給料から引いとくからな!!」

と怒鳴ったことはよく覚えている;笑。

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馬が逃げ出して国道へ走り出たこともある。

交通事故につながらないかハラハラした。

しかし、どんなに走っても馬に追いつけるわけもない。

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動物を扱う人にとってはそれは日常なんだけれど、動物はその中でときおり信じられないような行動をする。

相手がクマやトラやライオンならもっと別なレベルの注意が必要なのだろうけど、馬や牛でさえ扱いきれなくなることがある。

動物とは・・・そういうものだ、と私は思う。

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きょうは、

2歳馬の球節のchip fracture の関節鏡手術。

午後は血液検査業務のあと、

2歳馬の種子骨軸外部骨折の関節鏡手術。

外側からスコープを入れて、内側種子骨の関節面の反軸側を観たところ。

骨片はいくつかに粉砕していた。

 

 

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噛む奴

2014-06-27 | 動物行動・心理学

蹴る馬は危ない。

しかし、後に近づかないとか、

枠場に入れるとか、

後肢を触らなければいけないときには、前肢を持ち上げてもらうとか、

いろいろ方法がある。

後肢で蹴られてしまうのは、油断していたか、思わぬところまで後肢が届いたときではないだろうか。

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立ち上がる馬も扱いにくい。

しかし、立ち上がって困る馬には、立ち上がらないように鼻捻子するとか、

耳捻子するとか、

チェーンシャンクをかますとか、

頚の皮をつかむとか、

方法があるし、

前肢で叩かれないようにすれば危なくない。

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しかし、咬みつく馬は始末に悪い。

突然、ガブっと来るし、馬は保定するのに頭を扱っているので、口で噛みに来られると避けようがない。

分厚い長袖を着ていれば良いようなものだが、季節によってはそうもいかない。

素肌をかじられようものなら皮膚がちぎれかねない。

馬の噛む力は人を持ち上げられるほどだろう。

そして、馬の歯が人の頭に当たっただけでも大怪我になる。

唇をちぎられたとか、耳がとれてしまったとか、女性が胸をかまれたとか、恐ろしい話がいっぱいある。

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スアレスは本当に噛み付いたのか?

本当ならとても悪質だ・・・・馬医者は噛む奴は許せない。

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P7142524馬も

犬も

しつけが大切です。

・・・サッカー選手も。

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ヒトが動物を飼い始めた起源 ウマ

2013-11-28 | 動物行動・心理学

 では、ヒトがウマを飼い始めたのは、いつころか?

それはどの地域で始まったのか?

それは、乗るため、食べるため、あるいは??

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5500年前に、カザフスタン地方で、ウマが飼われていた。とする発見がされているらしい。

乗ってもいたし、食べてもいたし、馬の乳も利用されていたらしい。

「家畜」として利用されてきたのは、反芻獣、偶蹄類の方が先らしい。

ヒツジは紀元前9000-11000年頃、

ヤギは紀元前10000年頃、

ブタは紀元前9000年頃、

ウシは紀元前8000年頃、

ということらしい。

野生だとウシもヒツジもブタもかなり扱いにくいと思うが、ウマはもっと扱いにくかったのかもしれない。

ウマに乗っていた形跡はあっても狩につかったり、農耕につかったりするほど、ウマを扱う技術はなかなか発達しなかったのだろう。

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このごろ、難しい症例が多い。

疝痛、発熱、だった当歳馬が起立困難、歩様蹌踉となり、来院したら・・・・・・腎不全だった。

輸送熱、疝痛、の馬が、入院した。と思ったら・・・・・蹄葉炎になった。

鼻出血の当歳馬が検査に来院して・・・・・胸膜肺炎だった。

臨床は難しい。

教科書どおりにはいかない。

責任も重い。

できるだけ早くきちんと診断して意味のある治療を始められるかどうかは馬臨床医の「腕」にかかっている。

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明日から名著Equine Acute Abdomen で有名なN.A.White先生を迎えてのプログラムが始まる。

まず、あしたの夜は牧場生産者向けの講習会。

馬の疝痛の原因や予防の話です。

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Pb245350数日前、相棒の水入れに落ちていたトンボ。

助け出したがもう飛ぶ元気もない。

この世で思いは遂げたかい?

Pb275356
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初雪になりそうだ。

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馬の馴致 体重計、枠場、馬運車

2012-07-15 | 動物行動・心理学

 私が日常で経験する馬の扱いのいくつかのこと。P7132521

  まず体重計に載せるとき、これは現役競走馬はさすがに慣れている。

体重計は馬が載るとわずかにゆらゆら揺れる。

載ったことがない1歳馬などは載りそうになっても降りてしまう。

 枠場に入れる場合はそれも1つの関門になる。

若い馬では素直に入る馬は少ない。

枠場に入ってから暴れられても困るので、たいていは鎮静剤をうってから押し込むことになる。

喉の検査などでは鎮静剤で喉の動きが抑制されてしまうので、鎮静しないで枠場へ入れたい。

これもゲート練習をしている馬や現役競走馬は馴致されているが、1歳馬でも競走馬でもどうしても枠場に入らない馬も居る。

(その場合は枠場にいれないで、枠場の扉を使って内視鏡を壊されないように気をつけながら検査することにしている)

 手術が終わって、馬運車に積むときも載らない馬が居る。

ムチで後から追ってみたり、後ろ向きに押し込んだり、平うち縄で引っ張り込んだり、あの手この手で載せている。

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 本当は馬が扱っている人をリーダーだと認めていると、その人の指示に従い、その人について歩くものなのだと最近は説明されている。

そのリーダーのことをαアルファと呼ぶのだそうだ。

あんまりそんなことを考えて馬を扱ったことはない。という牧場の人も多いだろう。

しかし、馬はちゃんと人を見分けている。

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 ときどき飼い主さんに病状やX線像などを説明しなければいけなくて、大人しそうな馬だからとわれわれの誰かが引き綱を預かって飼い主さんがその場を離れることがある。

そのとき大人しかった馬が突然そわそわ暴れ出すことがある。

馬はいつも世話してくれる飼い主を認識していて、その人がそばにいるから不安に耐えているのだ。

これはいつも牧場で同じ人だけで馬を扱っていると気づきにくいことかもしれない。

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 私たち獣医師も、私が獣医科学生だっところは動物の行動や心理についてなどは習わなかった。

今は動物行動学とか動物心理学を課目として習ったり、専門の先生が居たりするようだ。

獣医師は動物に関するあらゆる分野に長けていなければならないのかもしれないが、今でも動物の扱いそのものは獣医師以上のプロが居て信頼されている。

犬のトレーナーや訓練士もそうだし、馬についても行動を専門にしようとしている人も居るようだ。

ただ、本当に問題行動がひどくて投薬が必要だったり、自傷行為などで治療が必要だったり、特別な検査が必要だったりすると獣医師の協力が要るようになる。

精神科や心療内科が医師の守備範疇であるように、獣医師も動物行動学や動物心理学を勉強しておくことが望まれているのかもしれない。

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P7142524 あんたはなんで靴で遊ぶの!?

あんたはなんで噛むの!?

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