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馬医者残日録

サラブレッド生産地の元大動物獣医師の日々

牛のlimb perfusion therapy

2009-02-28 | その他外科

P2080373 黒毛和牛の子牛の肢。

骨がスカスカになってしまった。

感染性骨髄炎か・・・・?

血液検査でも感染像がある。

下痢と肺炎の経過あり。

P2080374肢は3本痛い。

x線像でも、まともそうな肢は1本しかない。

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limb perfusion therapy をやってみた。

肢をどこかで駆血する。P2080370

駆血より遠位で静脈内に抗生物質を注入する。

そのまま20-30分駆血を維持する。

そのことで、駆血より遠位の組織の抗生物質濃度が全身投与する以上に上昇する。

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この方法は馬でも、

蹄の感染症、関節炎、腱鞘炎、フレグモーネ、骨髄炎などで用いられる。

きのうは仔馬の飛節の細菌性関節炎でlimb perfusion をやったが、写真を撮っている暇がなかった(笑)。

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さて、明日から3月。Dsc_0107_2

一月は行く。

二月は逃げる。

三月は去る。

雪も氷も融けるだろう。


喉頭の動きのグレードをどう解釈するか

2009-02-27 | 呼吸器外科

2月11日の記事の続き

Equine Respiratory Medicine and Surgery を元に喉頭反回神経障害について考えてみたい。

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臨床家同士がやり取りする上でも、外科手術の必要性を判断する上でも、売買前の検査においても、トレッドミルで運動させながらの検査が必要かどうか決める上でも喉頭の動きのグレード分けで共通の方法を使うことが望ましい。

しかし、安静時の喉頭の動きが臨床的な問題をどれだけ反映しているかは、各グレードについて多頭数の馬で、トレッドミル上で高速運動しているときの喉頭のヴィデオスコープ検査してみなければならない。

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喉頭反回神経障害を診断するためには、

運動のパフォーマンスや、

運動中の喉鳴りがどのような音か、

そしていつ鳴るか、

さらには喉頭を触って筋肉の萎縮があるかどうか、

と併せて喉頭の機能を臨床的に判断する必要がある。

内視鏡所見だけでの喉頭の評価は不完全で、内視鏡だけで喉頭反回神経障害を診断するときは注意が必要である。

残念なことに、内視鏡検査と喉頭の触診が、診断のために獣医師がするすべてであることがある。(日本ではほとんどどこでもそうだ!)

喉頭のグレードシステムに基づいて、次のように臨床的決定がなされる。

gradeⅢcとⅣの馬は明らかに喉頭反回神経障害であり、運動時に特徴的な異常な吸気音を示す。トレッドミル検査はほとんど必要ない。外科的治療が指示される。

gradeⅠとⅡaの馬は、機能的に正常だと考えられるべきだ。しかし、運動時に異常な呼吸音が聞こえるなら、とくに背側輪状披裂筋の萎縮があるなら、トレッドミル内視鏡検査が必要である。多くの研究で、安静時には喉頭の正常な機能を持っていると考えられた馬の中には、トレッドミル上の強い運動中には披裂軟骨の虚脱を示す馬がわずかにいることが報告されている。

gradeⅡb、Ⅲa、bは運動中の呼吸機能に問題が有るかもしれないし、そうでないかもしれない。しかし、一般的に安静時検査中に完全な外転ができないこと(gradeⅢb)は、運動中の呼吸機能に問題があったり、プアパフォーマンスと関係している。gradeⅢbの馬の83%が高速運動中に披裂軟骨の虚脱を起こしていたとする報告がある。

披裂軟骨の完全な外転を維持できない(garadeⅢa)については判断が難しいことが有る。トレッドミル検査をしてみると、このような馬の75%は運動中に左右対称の完全な外転を維持できたという報告がある。

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競走馬、育成馬の喉頭の機能の評価はたいへん難しい。

そして、手術するかどうかの判断は手術の結果についてもよく知っていなければできない。

このままでは駄目だから、やるしかない。は一つの決断方法ではある。

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Csc_0123

雪の上に残る惨劇の証拠。

被害者は誰だ。

犯人は猛禽類か?

生きるってことは、たいへんなことだ。


ブログ3周年

2009-02-26 | 日常

ブログ3周年となりました。

アクセス数 704,757Dsc_0042

記事数  790

コメント数 3,877

日頃のご愛顧に感謝します。

                         -

 ブログは日記とはいえ、公開しているのだから、人に読んでもらわなければ意味がなく、その点で「日記」などというタイトルは他のブログに埋もれてしまうので良くない。とどこかで読みました。

しかし、まあこのブログは日記です。

自分の備忘録、1日のひとり反省会でもあります。

ので、中身はグチャグチャですが・・・・(笑)

よろしければ、今後ともおつきあいください。

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このブログ上に、不快な表現、不都合な情報などがありましたら、左上「プロフィール」の「コンタクト」のアドレスからご指摘ください。できるだけ速やかに対処します。


外科医の手指消毒

2009-02-24 | その他外科

今日午前は縫い物、3時間半。

指が疲れた。

Dsc_0109

親指の把針器ダコは大きくなり、

人差指の皮膚は切れた。

(写真がピンボケです。シャッターは左手では押せないことに気づきました。)

かつては、外科医は手術前にはゴシゴシ硬いブラシで5分間以上手指を洗うべきだとされていた。

しかし、最近はそんなことをしていては皮膚が荒れて、かえって手指の消毒に問題が起きると考えられている。

外科医は毎日のように、あるいは毎日何度も手指を洗浄・消毒しなければならないのだ。

傷ついた皮膚にはすぐ病原菌が増殖する。

(お弁当工場や料理人も手指に傷があるときは調理してはいけないことになっている。

傷には食中毒菌も増殖しやすいからだ。)

最近は、皮膚にやさしい洗剤を使って、柔らかいスポンジで洗浄し、擦りこみ式の消毒薬で手指消毒する外科医が増えている。

かつて行われていた、術野を剃毛し劇ヨーチンで消毒する方法が用いられなくなったように、外科医の手指消毒も生体に優しい方法へと変遷していくのだろう。

古い教条主義 Dogma などクソ食らえ!

(だけど左手の薬指に指輪をしたまま手術するのを私は許せない;笑

女房や旦那のことなど断ち切って手術に没頭すべきなのだ!

なんか私、屈折してます?)


臨床の場へようこそ

2009-02-23 | How to 馬医者修行

土曜日は妊娠末期の結腸捻転。分娩予定日が近いと、疝痛と分娩徴候を見分けるのが難しいことが有る。その判断が母子の命にかかわる。

夕方は、骨片をスクリューで固定し、固定できない骨片は摘出し、キャスト固定が必要な骨折馬の手術。

今日は経過を観ている蹄葉炎馬を診に行った。

疝痛馬が午後3頭。

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P2200400 先週末は大雪になった。

トラクター大活躍。

除雪は今日までかかった。

トラクターが必要な作業は、除雪、堆肥の切り替えし、そして・・・

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臨床実習生が一人帰って、4人やって来た。

臨床の場へようこそ。

ここは生死が分かれるところ。

修羅場にするか、起死回生の場にできるかが、何にかかっているのか、観ていってくれ。

Bringdeadbody

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サクセスブロッケン!おめでとう!

むか~し、NHKが放映したサラブレッド生産についてのルポルタージュ番組を思い出した。