2月11日の記事の続き
Equine Respiratory Medicine and Surgery を元に喉頭反回神経障害について考えてみたい。
-
臨床家同士がやり取りする上でも、外科手術の必要性を判断する上でも、売買前の検査においても、トレッドミルで運動させながらの検査が必要かどうか決める上でも喉頭の動きのグレード分けで共通の方法を使うことが望ましい。
しかし、安静時の喉頭の動きが臨床的な問題をどれだけ反映しているかは、各グレードについて多頭数の馬で、トレッドミル上で高速運動しているときの喉頭のヴィデオスコープ検査してみなければならない。
-
喉頭反回神経障害を診断するためには、
運動のパフォーマンスや、
運動中の喉鳴りがどのような音か、
そしていつ鳴るか、
さらには喉頭を触って筋肉の萎縮があるかどうか、
と併せて喉頭の機能を臨床的に判断する必要がある。
内視鏡所見だけでの喉頭の評価は不完全で、内視鏡だけで喉頭反回神経障害を診断するときは注意が必要である。
残念なことに、内視鏡検査と喉頭の触診が、診断のために獣医師がするすべてであることがある。(日本ではほとんどどこでもそうだ!)
喉頭のグレードシステムに基づいて、次のように臨床的決定がなされる。
・gradeⅢcとⅣの馬は明らかに喉頭反回神経障害であり、運動時に特徴的な異常な吸気音を示す。トレッドミル検査はほとんど必要ない。外科的治療が指示される。
・gradeⅠとⅡaの馬は、機能的に正常だと考えられるべきだ。しかし、運動時に異常な呼吸音が聞こえるなら、とくに背側輪状披裂筋の萎縮があるなら、トレッドミル内視鏡検査が必要である。多くの研究で、安静時には喉頭の正常な機能を持っていると考えられた馬の中には、トレッドミル上の強い運動中には披裂軟骨の虚脱を示す馬がわずかにいることが報告されている。
・gradeⅡb、Ⅲa、bは運動中の呼吸機能に問題が有るかもしれないし、そうでないかもしれない。しかし、一般的に安静時検査中に完全な外転ができないこと(gradeⅢb)は、運動中の呼吸機能に問題があったり、プアパフォーマンスと関係している。gradeⅢbの馬の83%が高速運動中に披裂軟骨の虚脱を起こしていたとする報告がある。
・披裂軟骨の完全な外転を維持できない(garadeⅢa)については判断が難しいことが有る。トレッドミル検査をしてみると、このような馬の75%は運動中に左右対称の完全な外転を維持できたという報告がある。
-
競走馬、育成馬の喉頭の機能の評価はたいへん難しい。
そして、手術するかどうかの判断は手術の結果についてもよく知っていなければできない。
このままでは駄目だから、やるしかない。は一つの決断方法ではある。
---

雪の上に残る惨劇の証拠。
被害者は誰だ。
犯人は猛禽類か?
生きるってことは、たいへんなことだ。