プレート固定は、単純な横骨折だったら、中央部からスクリューを入れていく。
最初のスクリューは骨折線から1.2cm、がよろしい。
が、基本とされている。
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しかし、骨折部とされる損傷部が1mmほどの完全な横骨折など実際にはほとんど遭遇しない。
現実には、横骨折でも破片があったり、どちらかの骨折端に亀裂がはいっていたりして、骨折部には多少の長さがある。
そして、短斜骨折、粉砕骨折、長斜骨折、螺旋骨折、と骨折部は長くなっていく。
そうなると最初のプレートスクリューをどこに入れるか、の重要性は薄れていく。
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骨折部は強度が落ちているので、まずは骨折部を避けて、近位遠位どちらかの非損傷部に最初のプレートスクリューを入れる。
(破片がある骨折で、まず破片を安定させる場合は別)
この図と説明だと、
短斜骨折では、骨折部から3-5mm(プレートのサイズによって異なるが)のところに最初のスクリューを入れる。
完全には締めない。
変位を整復しておいて、もう1つの骨体を骨鉗子でプレートに留める。
コンプレッションがかかるように(load position で)2本目のプレートスクリューを入れる。
これも、骨折部ではないところに、だ。
そして、次に骨折線を貫くように lag screw を入れる。
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まあ、現実には子牛の皮質骨は骨幹部中央でもそれほど厚く丈夫ではないので、いずれのスクリューもそれほど強固には効かない。
それほど、典型的な斜骨折にもそうそう遭遇しない。
たいていは、骨折部には亀裂があったり、破片があったりして、lag screw もさほど有効ではない。
月齢がいって体重が重い牛や馬は別だ。
固定の強度も必要だし、皮質骨も厚く、強度もあるので、精確さが求められる。
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そして骨は棒のようにまっすぐじゃない。
例えば橈骨はまさに「たわんでいる」。
プレートの中央部から固定していくのはいいが、プレートの端もしっかり骨に乗っていることを確認して進めないと、全部最初からやりなおす羽目になる。
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GWの一日はslowだった。
2歳馬の繋靱帯付着部炎、のPRP療法。
当歳馬の創傷性角膜炎の再診。
そこへ繁殖牝馬の疝痛の依頼。
来院したら落ちついていて、血液所見も悪くない。帰って様子を観てもらう。
別な、繁殖牝馬の疝痛の依頼。
午後に予定していたTiebackとClub foot の手術予定は延期してもらう。
しかし、牧場では七転八倒したという繁殖牝馬は来院したら落ちついていた。帰って様子を観てもらう。
夕方、細菌性関節炎と骨髄炎疑いの子馬。
ちがうな、感染性じゃない。
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この春は、ウメもサクラも例年より早く咲いた。
そして早く散ってしまう。
経験的にわかっていることを文章化するのは、なかなか大変なことかと。
牛のほうがプレートの調整は大変そうに思えます。
今年は例年にましてコブシも梅も桜もいっぺんに咲いた印象。
梅、ふくふくと咲いていいですね。香りがあってなおのこと。
馬だと、各骨について、こういう折れ方が多い、そのときはどうする、という情報がすでにありますから。
今年はウメ・白加賀はほとんど咲きませんでした。心配です。