最新のアメリカ獣医師会雑誌 JAVMA に馬の歯と消化能力についての調査結果が載っている。
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The relationship between cheek tooth occlusal morphology, apparent digestibility, and ingesta particle size reduction in horses.
馬における臼歯のかみ合わせ状況、見かけ上の消化能力、そして消化物の粒子の大きさの小さくなっていき方の関係
James L. Carmalt, Andrew Allen
J Am Vet Med Assoc 2008 ; 233 : 452-455
目的-臼歯のかみ合わせの形態、見かけ上の消化能力、そして馬が消化する過程における食物粒子の大きさの小さくなり方の隠れた関係を調べること。
デザイン-横断的調査
動物-年齢、種類、性別のさまざまな17頭の馬
方法-供試馬は安楽死の前14日間は乾草を基本にした3種の飼料のうち一つを随意に与えられた。栄養価の分析は3種の飼料それぞれについて行った。剖検時には、頭部は関節をはずして上顎と下顎の臼歯列の咬合面の写真を撮った。また、飼料の消化能力と粒子の大きさを求めるために、胃と小結腸あるいは直腸内容のサンプルを採った。総合的な口腔内の病理学的スコアをつけて、臼歯列の咬合面の解剖学的状態とした。
結果-3種の乾草飼料の間で栄養分析の結果に差はなかった。各飼料の間で、消化性についても明らかな差はなかった。飼料の粒子の大きさは3種の飼料の間で差があったが、胃内容と糞便の粒子の大きさは飼料によって異ならなかった。臼歯の解剖構造上の差と飼料の消化性の間にはっきりした関係は認められなかった。糞便の粒子の大きさと口腔内の病理学的スコアに明瞭な関係は認められなかった。
考察と臨床的関連-馬における臼歯の解剖構造と糞便の粒子の大きさ、そして消化能力の間に関係があるといういかなる確証も得られなかった。
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歯が悪いと消化・吸収が悪くなると考えがちだが、それを科学的に証明するのは難しいのかもしれない。
あるいは歯が多少悪くても、馬はよく噛むことで補って、ちゃんと噛み砕いてから飲み込んでいるのかもしれない。
どんな馬も1年に2回は歯の手入れが必要だと主張している人たちもいるが、かつては歯の手入れはまったくされていなかったのにほとんどの馬は問題なく飼養されていた。
濃厚飼料・配合飼料など咀嚼回数が減るような飼料を多くあたえるほど臼歯が不自然な摩滅をする。
すると、歯の手入れが必要になりやすいという側面はあるだろう。
しかし、どこまで手間と費用をかけるかは、よく考えた方が良いだろう。
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顎関節を壊して頭部を開くのは、
disarticulate ;関節離断(術)、関節離開(骨を切らない、関節による四肢の切断)
一般的な英語としては、
articulate ; はっきり発音する。はっきり述べる。関節でつなぐ。・・・と関連付ける。
articular は「関節(性)の」という意味だ。
一般用語で、
article ; 品物。記事、論文。項目。
という単語もよく使われる。
そうか!article も articular も「節;つながれたひとまとまり」であり、「節でつなぐこと」か。
文節、一節って言うしね。