5回目の開腹手術になった繁殖雌馬は、術創に化膿があった。
ごくわずかな滲出液だったのだが、腹壁には2箇所の膿瘍ができていた。
短期間に2度開腹しなければならなかったので、こうなることは想定内ではあった。
術創に盲腸が癒着していた。
盲腸は本来腹底にあるべきなので、疝痛がないならほうっておいた方が良いかもしれない。
しかし、疝痛が解消されないので開腹したのだからこのままというわけにはいかない。
化膿している腹壁の切開創の縁を切除し、盲腸の癒着を剥がした。
ほかには、小腸にも、小結腸にも癒着なし。
あれほど痛かったのは、癒着した盲腸がひっぱられるせいだったのか??不明。
大結腸は左背側へ行っていたが、脾臓にひっかかってはいなかった。
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ロタ腸炎で前日来院した仔馬は牧場で死んだ。
剖検で胃穿孔が確認された。
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回腸捻転で空腸と回腸を吻合した仔馬は、手術後12時間ころから疝痛を起こした。
胃液も逆流するようになり、超音波で小腸の膨満が確認され、リドカインの点滴にも反応しなかった。
1回目の手術から40時間後、2回目の開腹手術をした。
ただ、吻合部に半固形物がたまることで閉塞していた。
しかたがないので、回腸を切断して盲端にし、膨満してフィブリンがついていた空腸を1m20cm切断し、空腸を盲腸へ端側吻合した。
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5回目の開腹手術の繁殖雌馬も、2回目の開腹手術をしなければならなかった当歳馬も、手術後も疝痛を示した。
しかし、なんとか持ち直し、それぞれ退院していった。
今後のことはわからないが、たしかなのは1回目の開腹手術も、2回目の開腹手術も、5回目の開腹手術も、やらなければもうすでに生きていなかった、ということだ。
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1年に1回新芽が出た分の15cmほどしか伸びない。
それでも着実に伸びて行ってくれればいい。
この樹が大木になるまで、見届けることはできないだろうけど。
午前中、1歳馬の球節と飛節の関節鏡手術。
球節の骨片はX線画像ではとても小さく見えたが、関節液が増量しており、骨片も摘出してみると当たり前の大きさがあった。
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昼に、当歳馬の疝痛が来院する、とのこと。
早めの昼食を食べて、正午に診察。
超音波で重積像が確認できたので、すぐ開腹手術。
重積像が右の膁部で見え、その様子から盲腸への重積か?と思っていた。
空腸が回腸に入り込み、そのまま盲腸内へも20cmほど入り込んでいたのだった。
引き抜けないと面倒な手術になると思ったが、幸いなことに強くひっぱったら引き抜くことができた。
壊死した部分を切除して、空腸を回腸に端端吻合した。
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来院するのに1時間以上かかる地区から繁殖雌馬の疝痛の依頼。
転がりまわるほど痛くて、鎮痛剤も効かない、とのこと。
すぐに向かうように言う。「仔馬は置いてこないと危ないよ。」
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近くの地区から仔馬の疝痛の依頼。転がりまわるほど痛く、鎮痛剤も効かない、とのこと。
こちらが先に来た。
ロタ腸炎が流行している牧場で、来院した疝痛仔馬も調べるとロタ陽性だった。ただし下痢はしていない。
超音波で観たら、小腸は膨満しているが、盛んに蠕動している。
場運車で輸液して牧場へ帰す。
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別な牧場の繁殖雌馬も疝痛で来院。
この馬は4回の開腹手術歴がある。
これは判断が難しい。
疝痛は間欠的で、激しくはない。
これは後回しにして慎重に判断した方が良い。
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遠い地区から来た繁殖雌馬は、超音波で結腸動脈が右下腹で広い範囲で見えた。
大結腸が変位しているのは間違いない。しかし・・・・
疝痛が治まっているので、入院厩舎で様子を観ることにした。
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4回の手術歴がある馬が、やはり痛い。
曳き運動してもらう。
結腸左背側変位の疑いがある。しかし、私も直腸検査したが確信が持てない。
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遠い地区から来た繁殖雌馬が、また痛くなった。
発汗し、前肢を屈曲させる。
「こっちをやりましょ」
別に気が変わったわけではない。
結腸が変位していると確信している馬が痛がっている。もう5時間になる。手術すべきだ。
開腹したら、大結腸右側変位だった。
超音波で体表から広い範囲で結腸動脈が見えた理由がわかった。
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その間に、開腹手術歴がある繁殖雌馬が転がるほど痛くなった。
フルニキシンを投与して、今の手術が終わったらすぐ開腹しますから、と伝える。
が、
先の手術が終わったら、疝痛は落ち着いた。
また枠場に入れて直腸検査と超音波検査をしたが、腹囲は減少し、結腸左背側変位の確信は持てない。
とりあえず牧場に帰って様子を観てもらうことにした。
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片づけをしていたら、別な仔馬の疝痛の依頼。
激しい痛みで鎮痛剤も効かない、とのこと。
来院したら、痛くて立っていられない。
フルニキシンをうったが変わらない。
メデトミジンをうったら、寝たまま動かなくなった。
超音波検査で膨満して蠕動がない小腸が確認できた。
開腹手術したら回腸の捻転だった。10cm足らずの部位が、絞約されていたらしく変色していた。
すぐほどけてでてきたので、正確にはどうなっていたのかはわからない。
空腸を回腸へ端端吻合した。
終わって帰ったのは11時半。
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夜中3時。昼間に開腹手術した仔馬の輸液管が捻れて、点滴が落ちない、との電話。
入院厩舎へ行って直す。
ついでに他の馬の様子を観る。
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そして、次の朝、4回の開腹手術歴を持つ馬は、5回目の開腹手術をすることになった・・・・・
(つづく)
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ナハ
繁殖雌馬19歳が昼過ぎから疝痛で、夕方4時に来院。
血液検査でも、直腸検査でも、超音波検査でもはっきりした異常はなし。
10リットル輸液する間も強い疝痛はなく、食欲もあったので、帰って行った。
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が、帰ってすぐに痛くなったらしい。転がるほど痛い、とのことで、再来院。
直腸検査で、今度は少し内容がある小腸を触った。
超音波検査でも、膨満した小腸が見えた。
手術したら・・・・
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有茎脂肪腫(写真の下の丸いもの)が空腸に巻きついていた。
空腸60cmほどはすっかり壊死してしまっていた。
腸間膜の血管の走行を確かめて、120cm切除して空腸空腸を端端吻合した。
終わって、11時半。
夜中に前搔きしたらしいが、腹が減ってだったのかもしれない。
今日は元気もよく、食欲もあり、昼過ぎには帰っていた。
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花咲いていると草刈りできない・・・・・
朝、相棒と散歩していたら、どうやら患畜が来る気配。
家に帰って、さて焼きたてのパンを食べよう、としたところへ電話。
「仔馬の腸管手術、お願いします」
「10分後でイイか?」
と訊いて、急いで食べる。
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ゆうべからの疝痛。
一度は落ち着いたように見えたらしいが、子馬の顔は擦りむけ、目の上は敗戦ボクサーのように腫れている。夜中も痛かったのだろう。
小腸がパンパンで、盲腸はすっかり小さい。
回腸の一部が括れて変色していたのをほどいた。
捻れていたのか、どこかへ入り込んでいたのかわからない。
腸間膜の血管を結紮止血して、回腸を切断して、膨満した小腸内容を捨てる。
切除して、端端吻合した。
まだ2週齢の仔馬。小腸が細くてやりにくい。
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腹腔を洗浄して、閉腹。
胃拡張がひどく、鼻から胃液が出始めた。
術前も胃液が出ていたらしく、誤嚥していたようだ。
しかし、術前に胃カテを入れてもほとんど抜けなかった、とのこと。
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そのあいだに、繁殖雌馬の疝痛も来ていた。
これも昨夜からの疝痛。
これはあとで、胃破裂していたことがわかった。
空腸腸間膜ヘルニアだった。
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午後、競走馬の腕節骨折の関節鏡手術。
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とうちゃん、はやくかえってごはんだ