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馬医者残日録

サラブレッド生産地の元大動物獣医師の日々

コラーゲン、プロテオアミノグリカン、ヒアルロン酸、そして・・・・

2025-03-19 | 人医療と馬医療

馬が関節部を傷めてしまうことはしばしばあるし、

人も膝をはじめ関節部が痛むことはしばしばある。

体の重要な構造である関節が何でできていて、どういう性質のものか理解しておくことはたいせつ。

治療とまではいかなくても、注射や経口摂取で”カラダに良い”ことが期待できるのか? 

              ー

関節の構造の重要な部分のひとつ、靱帯は約65%は水分、約25%はコラーゲンでできている。

水分を除いた物質でいうと80%がコラーゲンということになる。

軟骨では、水分が80%、コラーゲンが12%、プロテオグリカンが2%

プロテオグリカンとは、上図の中にあるようにグリコサアミノグリカンとコアタンパク質が結合したもの。

ただし代表的なヒアルロン酸(ヒアルロナン)はプロテオグリカンとしては存在していない。

プロテオグリカンの構造(下図)

だいじなことは分子量の多い、高分子重合体であること。

それゆえに水分を保持でき、潤滑性、粘性を維持できる。

グルコサミンは、N-アセチルグルコサミンとしてヒアルロン酸の成分の1つになっている。

            ー

これらの、コラーゲン、プロテオグリカン、グリコサアミノグリカン、ヒアルロン酸、グルコサミンを経口摂取して(飲んで、あるいは食べて)分解・吸収できるか、軟骨や靱帯や腱(美容目的では皮膚も!)の合成が促進されるか?

これらの分子量の大きな物質はペプチドに分解され、さらにタンパク質に分解され、そしてアミノ酸にまで分解されてから吸収される。

残念ながら、コラーゲン、ヒアルロン酸、グルコサミン、コンドロイチンをたくさん摂取しても、そのまま合成されることはない。

ただし、最近はコラーゲンペプチドという低分子量のアミノ酸がコラーゲンの合成を促進する、という情報もあるようだ。

年いくとあちこち痛いでしょう ⇒ 関節の構成成分のコラーゲン、ヒアルロン酸、グルコサミンは年を取ると減少します ⇒ うちの製品には良質のこれらを含んでいます ⇒ うちの製品を摂取したらこんなに良くなりました(あくまで個人の感想・体験で効果・効能を示すものではありません;小さい字で、あるいは音で、最後に)というような、健康食品、栄養補助食品、サプリメントの宣伝にはだまされない方が良い。

              ー

「でも飲んでると調子いいんだよ」とおっしゃる方もいるかもしれない。

placebo プラセボ、プラシーボ効果と呼ばれる医学、薬理学、獣医学、医療上の古典的な現象がある。

これは強力で、医療者自身がだまされないようにすることさえ時として難しい。

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なごり雪が降った

白い花のようだった

すぐにとけて消えた

 

 

 

 

 

 


謹賀新年2025 令和7年 馬の新しい仕事

2025-01-02 | 人医療と馬医療

あけましておめでとうございます

本年もよろしくお願いします

              ー

雪が降るかと思ったらほとんど降らず、おだやかな元旦でした。

年賀状が届きました。

年賀状じまいにします、という人がずいぶん多いです。

実は私も年賀状での新年ごあいさつは控えるようにします、と年賀状にしたためました。

楽しみでもありましたし、寂しいですが、そういうご時勢なのでしょう。

              ー

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馬の新しい仕事の話。

いや、私じゃなくて、VOAに出ている話題です。

こういう馬の活躍の仕方もあるんだな~と感心します。

           ー

VOAは英語学習に役に立ちます。

レベルに応じて、基本的な単語で、正しい発音で、少しゆっくりしゃべってくれないかな~という学習者の要望に応えてくれてますから。

           ー

今年も良い年にしましょう!

 

 

 

 


獣医師のコメント

2023-05-05 | 人医療と馬医療

御崎馬の1頭が骨折しているそうだ。

ニュースで観ると、中足骨が完全に折れて、ブラブラしている。

獣医師が、治療するよりこのままで生きていける、と判断した、とニュース映像の中で管理者が言っていた。

私はそうは思わないけど・・・

しかし、私は御崎馬の管理や治療については素人だ。

           ー

ケンタッキーダービーに出走する日本馬が3頭出走する。

10年ほど前、1頭の2歳牝馬が繋のひどい骨折をした。

2人の獣医さんは「ダメだ」と言ったそうだが、3人目の獣医師としてX線画像を見せられた私が

「繁殖牝馬にはなれるかも。USAの文献で繁殖になっている症例がある」と言ったのだそうだ。

その馬は繁殖牝馬として生き残った。

その産駒がケンタッキーダービーに出走する。

           ー

獣医師でも、馬の臨床家としてでも、専門分野や経験や履歴など様々だ。

話す立場や状況もいろいろだ。

きちんとした症例相談ではなく、雑談として、

例えば「馬って今でも肢をボッキリ折ったら助からないんですよね?」と問われ

「そうです」

ということもあるかもしれない。

世の中には絶対、ということは少なく、1例1例については詳しく調べ、よく検討して診断や予測を出さなければならない。

なかなか難しいことなのだが、獣医師として物を言うときには責任が伴うことを知っておかなければならない。

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モクレン・サヨナラ

植えて5年

大きな花をいくつもつけるようになった

植えとけば勝手に大きくなる、とも行かない

ただ、種を蒔く、植え付ける、をしておかないと花が咲かないことも間違いない

 

 

 


整形外科医さんの講演

2022-02-16 | 人医療と馬医療

Youtubeで面白い講演の動画を見つけたので聴いてみた。

【ひざ痛】自分の足で歩き続けたい方へ ~100年足腰~ - YouTube

日頃わたしが考えたり、言ったりしていることと重なる部分が多くて驚いた。

ヒトの整形外科はこの先生が専門なのだから、私の乏しいヒト整形の知識がその中にあるのは当たり前かも知れない。

ただ、馬の整形外科について私が考えていることもこの先生の講演の内容と大筋はずれていないので、

動物種を超えて共通なんだな、と思わされた。

            ー

腰を傷めないように腹筋を鍛えなあかん。

            ー

肢軸に異常があると関節が傷みやすい。

            ー

経口のヒアルロン酸もコンドロイチンも関節に効くはずがない。

            ー

ステロイドは関節にも副作用がある。

            ー

熱は下げない方が免疫が活性化する。

(いたずらに解熱・消炎・鎮痛剤を使わない)

            ー

楽しみを持ち、生活を活性化させることが大事。

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ある日の繁殖雌馬。

吸入麻酔しているのだが、両腕節が完全には屈曲しない。

とくに腕節を傷めた痕があるわけではないのだが。

加齢性変化なのだろう。

ヒトも、歳がいくと正座ができなくなったり辛くなったりする。

無理をしないで傷まないように体をだいじに使った方が好い。

でも適度に鍛えることもだいじ。

        

 


疫病とマスコミ

2021-09-18 | 人医療と馬医療

産業動物獣医学会・北海道で、かつて牛海綿状脳症をシンポジウムでとりあげましょう、ということになった。

私は、やるならマスコミの代表を呼んで、どうしてあのような報道になったのか、あのような報道しかできなかったのか、話しててもらいたい、と言った。

が、学会長の「そこまでやりますか」との言葉でマスコミの立場の話を聴くことはなくなった。

別に新聞社に喧嘩を売ったり、新聞記者を吊るし上げたいわけではないが、新興感染症が世に現れたとき、マスコミがどういう報道をして、どういう役割を演じるのか、それはなぜなのか、認識しておくことはとてもたいせつなことだ。

             ー

連日の「狂牛病」騒動の中で、マスコミは発生牧場にも押しかけ、関係者は記者会見し、大騒動になった。

政治家の無知なコメントが糾弾されたりもした。

振り返ってみると、ほとんどのことに意味は無く、騒ぎを大きくしただけだった。

専門家であるはずのプリオン病研究者たちは、わかっていないことの枝葉末節にこだわって統一見解や予測は示さなかった。

             ー

口蹄疫が発生したときも、この豚と牛の病気がTVニュースやワイドショーで大きく取り上げられていた。

タレント知事が連日会見に引っ張り出され、その一言一句が検証され、叩かれた。

非常に伝染力が高い偶蹄類の伝染病で、獣医伝染病学でも重要な疾病として教えられる。

しかし、海外悪性伝染病として扱われているので、獣医師でもさほど知識はない。

政治家や地方自治体の首長であっても、普段から家畜の伝染病について勉強したりはしないだろう。

防疫態勢や措置に責任はあっても、それは県や国の専門家の意見を聞くしかない。

それをどう具体化するかの最終責任だけが首長の役割ではないか。

             ー

意見を聞くべき人の意見を中心に報道し、「こうなるでしょう」「こうしましょう」という報道がどうしてなされないのか不思議でしょうが無かった。

結局、不安を煽り、誰かを叩き、騒ぎを大きくした方が、TVの視聴率は上がり、新聞は読まれる。

江戸時代のかわら版と変わらない原理をマスコミは今も抱えている。

どうすべきか、という建設的な意見は、日本のマスコミは特に好まない。

かつて軍国主義に賛同したという反省もあり、あとで批判されることは避けて、批判できることだけを探すのだろう。

             ー

TVのニュースでは、最近は気象情報の中で、「ただちに避難してください」「命を守る行動をしてください」と積極的に行動をうながす呼びかけが行われる。

いくつもの災害を経験して、マスコミも少し立ち位置を変えたのかもしれない。

今、世界をcovid19が大騒ぎさせている。

私たちはそのほとんどをマスコミを通じて知るしかないのだけれど、マスコミが本来抱えているその”性質”については考えておいた方が良いだろう。

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オラの情報源は鼻です

さんぽで匂いを嗅ぐと きのう何があったのか 全部わかります