馬医者修行日記

サラブレッド生産地の大動物獣医師の日々

子牛の橈骨骨折の治療法 成書から

2016-08-30 | 牛、ウシ、丑

牛の橈骨骨折について成書ではどう書かれているか?

Lameness in Cattle

Lameness in Cattle, 3e
Paul R. Greenough FRCVS
Saunders

Lameness in Horseに比べると、厚さと言い、内容と言い、寂しいのだけど・・・

キャストやトマススプリント、貫通ピンキャストで治せる症例もあるが、最も確実なのは内固定であることが本文に記載されている。

そして、症例として写真で紹介されているのは、

子牛の橈骨と尺骨の粉砕骨折の整復固定。

骨折部が遠位だったので、内固定を頑丈にするために(遠位成長板を跨ぐように)最も遠位のスクリューは骨端に入っている。

遠位のスクリューは整復後6週間で抜いた。

肢軸異常や肢の短縮は起こらなかった。

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1-2ヶ月の子牛のようだ。8穴のプレートで橈骨の全長にわたっている。成長板の状態も幼い。

大きなピースはわからないが、小さな骨片がかなりあって、骨欠損部があるようにも見える。

遠位部でしっかり効いたであろうスクリューは1本もない。

遠位2本は成長板に近いし、遠位から3本目は骨折部に近すぎる。

骨折部をまたぐスクリューは入れていない。たぶん遠位から4本目のスクリューは斜めに骨折線を跨ぐように入れるべきだった。

6週間後に最も遠位のスクリューだけ抜いたのかね?

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本文には遠位部へ入れるスクリューには6.5mmの海綿骨スクリューを使ってはどうかと書かれている。

たしかに4.5mm皮質骨スクリューより軟らかい子牛の骨に効くかもしれない。

ただ、ねじ山が大きいのでプレートに当たってしまいやすい。

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今日は、4歳競走馬のDDSPのTieforward手術。披裂喉頭蓋ヒダ切除も併用。

1歳馬の腰痿のX線撮影。

中足骨内顆骨折が治癒した2歳馬のスクリュー抜き。

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オラ、昼に帰ってきた父ちゃんの顔を見ると笑顔になる

父ちゃんに会えて嬉しいんじゃなくて、ゴハンに喜んでいるのは、ヨダレのせいでバレバレ

 

 

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黒毛和種子牛3ヶ月齢の橈骨遠位骨幹部斜骨折のdouble DCP固定

2016-08-29 | 牛、ウシ、丑

きのうは当歳馬の骨盤のx線撮影だけ。

講演の準備はずいぶんはかどった。

昼から3ヶ月の黒毛が転倒後に前肢を開いてしまうのが来るという。

神経麻痺?と思っていたら・・・

橈骨が内反している。

X線撮影したら、橈骨骨折だった。

骨幹部遠位の短斜骨折だが、骨折部は粉砕している。

変位も異常可動もひどくないが、内反方向へは動く。

離乳しようとつないで置いたら、ひっくり返っていてナス環が壊れていたので、暴れて倒れたのだろう、とのこと。

キャスト固定で治せないか考える。

治るかもしれないが、キャスト内でずれるかもしれない。下肢とちがって骨の周囲に筋肉があるので遊び無くキャスト固定するのは難しい。

キャスト固定とトマススプリントの併用はかなり良いだろう。ただ、確実性にかける。

飼い主さんは手術してでも治して欲しいと迷いなく言う。

手術台上で仰臥、プロポフォールの点滴で麻酔維持する。

気管挿管もしている。

入れるプレートの種類を考える。

LCPは考えたが、経費の点で却下。

ブロードDCPを頭側に1枚でいけるか? 子牛の骨は柔らかいし、粉砕骨折なので固定しても強度が弱いかもしれない。

体重はもう115Kgあった。

プレートを2枚入れるならナロー2枚でいけるだろう。実物大でプリントアウトしたX線画像では骨幹部はかなり細い。

ブロードとナローの組み合わせはオーヴァーサイズだ、と考えた。

入れる部位と皮膚切開はどうする?

変位はほぼ完全に整復することができた。

これならminimally invasiveでやれるだろう。

double platesにして、皮膚切開を大きくすると皮膚の癒合や感染も心配になる。

minimally invasiveでやるなら、橈側手根伸筋の下にプレートを入れるのは難しい。

橈側手根伸筋の外側に1枚。そして、内側に1枚入れることにする。

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吊るした前肢を、内反を直すように圧迫したら変位はほぼ完全に整復できているので、

そのまま骨折線をまたぐようにラグスクリューを入れて仮固定しようか考えたが骨折部が粉砕しているのでやめた

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できれば成長板をまたぐ固定はしたくないが、骨折部が遠位であり、粉砕しているので、骨端までプレートを伸ばして、骨端部にスクリューをいれなければ強度が足りなさそうだ。

で、

9穴のナローDCPを頭外よりに入れた。

骨折部の1つの穴にはスクリューは入れなかった。

DCPをminimally invasiveで入れると、骨の表面を見ながら手術するわけではないので、DCPを骨に完全に沿わせるのが難しい。

スクリューをDCPのスクリュー穴にしっかり入れるのも難しい。DCP用のドリルガイドはLCP/LHSのドリルガイドとちがって正確に位置と角度を定めることができない。

それが利点でもあるのだけれど。

子牛の骨は柔らかい。とくに骨端部は柔らかく感じた。

やはり、内側にもう1枚DCPを入れることにした。

できれば術後にキャストはしたくない。

一番遠位のスクリューやDCPの端が関節を傷つけないように。1枚目のプレートへのスクリューに当たらない位置にスクリューを入れられるように2枚目のDCPの位置を決める。

まあ、DCPへのプレートスクリューは入れたい角度に入れられる。

気をつけたつもりだが、当たってしまうスクリューが数本あった。

遠位部はひどく柔らかくて、スクリューが効かない。

橈骨はその名のとおり”撓(たわ)ん”でいるので、横からまっすぐなプレートをうまく乗せるのが難しい。

骨折部にかかるスクリューは骨折部を貫通するようにポジションスクリューとして入れた。

馬とちがって尺骨が遠位部までしっかりある。

尺骨も折れているのだけれど、橈骨の骨癒合に合わせて自然に骨癒合してくるのを期待する。

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成長板をまたぐ内固定をしたので、6-8週間後にはプレートを抜かなければならない。

できれば1枚ずつ、3-4週間の間隔をあけて抜きたい。

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仔馬の橈骨骨幹部骨折は、ブロードプレートを頭側へ入れる内固定手術がAOで推奨されている。

もちろん仔馬の体重にもよるのだろう。

しかし、横骨折や短斜骨折はプレートが折れ易いし、粉砕骨折だと骨折部が弱いので、double platesが良いだろうと思う。

今回の手術時間は2時間半だった。

新兵器があったからね。

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発症してすぐに連れて来られたことも幸いした。

時間が経って、変位がひどくなったり、開放骨折になったり、骨折部がもっと割れてしまったら、もっとたいへんな手術になるところだった。

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今日は休みだったので朝涼しい間に草刈り。

もう涼しくなったので・・・・と思ったが、好天で気温上昇。

2時間草刈りしたら疲れてしまった。

午後は会議。

今日は、この夏一番の気温だったらしい。

なんてこった。

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オラは日中ログハウスで寝てる

風が通って気持ちいい

父ちゃんが来ても

おやつ持ってないときは出てかない

 

 

 

 

 

 

 

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世界屠畜紀行

2016-08-26 | 図書室

今日は、準急患で2歳馬の結腸便秘。

午後は血液検査に、

当歳馬の後肢の跛行診断。

興奮して跛行見せず。

こうなると画像診断しかできることはない。

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図書館でみかけたので読んでみた。

世界屠畜紀行
内澤 旬子
解放出版社

すごい労作だ。

生き物の命を奪い、食肉にする、というのは肉食をする以上避けられないことなのに、世間一般には目に触れないようになっている。

おまけにその作業に従事する人たちは差別的な扱いを受けている国もある。

日本もだ。

では海外諸国はどうなのか?

ということで、筆者はアジアもアラブもヨーロッパもUSAもその現場を観て回り、スケッチ画と文章でルポしている。

写真を撮るのは断られたり、嫌われたりすることが多い現場なので、写生するというのは良い方法だったのかもしれない。

著者が細部まで入念に観察していることも伝わってくる。

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取材対象は、素朴な農村での自家屠殺だったり、USAの巨大企業のまるで工場のような処理場だったりする。

その中で働く人たちのインタヴューも含まれていて、国や文化や民族や歴史や宗教によって「食肉」にまつわるさまざまがどう扱われているかもわかる。

ただ、読んでいて疲れてしまった。

興味深いのだが、途中で面白くなくなってしまった。

資料としてなら良いのだが、読み物としては著者の視点に共感できないとつまらないのかもしれない。

しかし、多くの人にお勧めする。

読んでみてみ。

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牛の白血球減少

2016-08-25 | labo work

今日は、午前中、競走馬の腕節chip fractureの関節鏡手術。

次いで2歳馬の疝痛が来院。

午後、繁殖雌馬の臀部の古傷。化膿が続いている。もう5ヶ月も・・・

中から牧柵の破片が出てきた。

それから、四肢突球の当歳馬の安楽殺。

                        -

牛の血液検査のことで問い合わせ。

乳房炎で治療している牛なのだが、血液検査で白血球数が550μ/lなのだが・・・・という問い合わせ。

血球計数装置の粒度分布をグラフでプリントアウトしてみるときちんと測れているようだ。

EDTA血で塗沫標本を作って染めて観る。白血球はやはり少ない。

ただ、好中球がまったくなくなっているというわけではない。

EDTA血は遠心してみた。バフィーコートはひどく薄いというか少ない。

やはり、白血球減少症なのだろう。

おそらく、炎症巣、この症例の場合は乳房へ行ってしまっているのだろう。

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学生のとき、大学農場の子牛を研究目的で採血させてもらっていた。

ある日、そのうちの1頭が、血球計数で白血球がまったくない。

何が起きたのか研究室の学生で話し合ったが見当もつかない。

農場へもう一度行ってその子牛を採血しなおしたら、今度は正常な白血球数だった。

あの採血のとき、子牛の体の中で何が起きていたのかわからない。

あれは何だったのか、未だにわからない・・・・

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オラ、スイカは好き

でも、フードと一緒にくれたら、ちゃんとフードから食べるヨ

だって、スイカはおやつだからネ

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台風の被害

2016-08-24 | 日常

先週、台風はこの地方をそれて北海道の東から北の地域に被害をもたらした。

金曜日は苫小牧でSHCカンファレンス。

24題の症例報告を聴くことができた。とても興味深く、たいへん勉強になった。そして、意欲をかき立てられた。

週明け、また台風が来る・・・と思ったら、

火曜の朝、なんとこの地方へ再上陸したという。

どうりでひどい雨だ。

私は休みだったのだが、子どもを送って隣町までいかなければならない。

雨は止んで、虹も出たので・・・

行けるかな、と思いながら早めに出たのだが・・・・やめればよかったのかもしれない。

国道は通行止め。

迂回路は泥や水で寸断されていて・・・

かなりの冠水をしている部分もあって、引き返そうかと思ったが、地元の車はさらなる迂回路を知っているようで、その後に着いていったら隣町まで行けてしまった。

水没しそうな放牧地と・・・

増水した川と・・・・

あちこちでスコップで土砂を片付けるおじさんたち。

帰りも国道は通れない箇所があった。

この日、水溜りに突っ込んだのか動けなくなっている車や、道路の脇で裏返っている車があった。

大きな川は洪水にならずに済んだが、小さい流れやあふれたり、ちょっとした斜面が崩れたり、土砂が流れたようだ。

被害にあわれた方にお見舞い申し上げます。

 

 

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