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馬医者残日録

サラブレッド生産地の元大動物獣医師の日々

飛節OCD関節鏡手術も近位足根骨関節まで含めると難易度が高くなる

2024-09-30 | 関節鏡手術

片足だけの飛節OCDの関節鏡手術。

足根骨の背側に骨軟骨片が落ちている。

中間稜には陥凹部があり、そこから剥がれた骨軟骨片のようだ。

長いメス柄につけたNo11ブレードで、近位足根間関節包を切開する。

これは私のオリジナルテクニック。

直接、近位足根骨間関節へ関節鏡を入れる手技や、

10万以上する関節鏡手術用の鋏を使う手技があるが、

私はNo11ブレードで関節包を安全に切開できる。

           ー

それで容易に骨軟骨片を取り出したのだが、なんと外側にもう1個残っている。

その骨軟骨片は、関節鏡を内側から入れても、外側から入れても、近位足根骨間関節内には見えなかった。

しかし、距骨外側滑車の遠位にしっかり写る。

検討をつけてロンジャーで掴もうとしていると、伸腱部の内側の関節包の中に海綿骨が一部見えた。

飛節の内側、伏在静脈の内側に器具孔をもうひとつ開けて、関節鏡とロンジャーを並べるように入れて・・・

骨軟骨片を掴み出した。

Xray画像上でも骨軟骨片は消えた。

             ー

手術時間は2時間を超えてしまった。

なかなか難易度の高い飛節OCDの関節鏡手術だった。

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スズメバチがブンブン飛んでいると思ったら・・・・

なんと、薪棚に径15cmほどの巣。

その向こうには、10cmほどの徳利型の巣。

どちらももう使われてはいなかった。

念のため殺虫剤をかけてから、撤去した。

熊よけスプレーだけじゃなく、アブハチジェットも登山やトレッキングには必携かも。

 

 

 


人生には季節があるらしい

2024-09-28 | How to 馬医者修行

大学を卒業して就職してから、あちこちで結婚式・披露宴・祝賀会があった。

おめでたい話なので、できる限り出席するのだが、

今ほどはなかった休みは潰れるし、

遠方へも出かけなければならないし、

参加費、ご祝儀、費用もかかる。

でも、そのうち激減した。

自分自身も含めて、友人、同僚たちが ”結婚適齢期” を過ぎたのだ。

披露宴や祝賀会をする人も減ったように思う。

            ー

そして歳を経て・・・・

友人知人、そして親類縁者に、病気や逝去の知らせを聞くようになった。

誰が亡くなった。

誰は病気らしい。

誰は・・・・

自分自身がそういう年代になったのだ。

            ー

人生には季節があるのだろう。

これからの年代が秋なのか、冬なのかわからない。

盛夏ではないだろう。

自身の老いも衰えも認めず走り続けるのも好いかもしれないが、

私は下り道はしっかり足下を見て、ゆっくり下りたいと思う。

          /////////////

7年経ってウッドデッキの手すりに腐れがあったのでエポキシパテで埋めておこうと思った。

縦の柱にも腐れが入っている。これじゃ応急処置じゃだめだ。

腐り始めている部分は切ってしまわないと・・・・

柱が乗っていた踏み板も傷み始めていたので、切除する。

治してんだか、壊してんだか・・・・・

 

 

 

 


Equine Veterinary Journal の変容 2 共著者についての表示

2024-09-25 | 学問

Equine Veterinary Journal の掲載論文の変化について思うこと。

本分の最後に、共著者(共同発表者)のそれぞれがその論文について何の役割を果たしたのか表記するようになっている。

A はこの研究のすべてのデータに関係しており、そのデータの尊厳に責任があり、B とともに分析の正確性にも責任がある。

CとDは、この研究のデザインを行った。

Aがデータを入手した。

AとBがCT画像を評価した。

EとAが統計解析を行った。

すべての著者は論文を下書きし、校閲し、最終論文を承認した。

              ー

論文に責任を持つ人だけが共著者であることを示している。

そして、各人が何の役割を果たしたかを示している。

さらに、役割を果たしていない人、責任を持っていない人が共著者に入っていないことを示している。

              -

すべの著者が研究デザインと実施に貢献した。

発案、データ収集、統計解析、データ分析、そして文章著述はAが行い、Bが校閲した。

C,D,E,Fは調査の発案と計画に貢献した。

Gは調査の技術的実践について支援し・・・・

            ー

役割を果たしていない人は共同報告者に入っていませんよ。

            ー

すべての著者は、研究デザインとデータ収集、あるいはその両方に間違いなく貢献した。

それぞれの著者は論文の著述、あるいは校閲にたずさわった。

そして、それぞれの著者が最終論文を承認した。

            -

関係していない人が共著者になっていたり、最終論文を見ないままになっていたりしませんよ。

           ーーー

本来、論文の共著者とは、その論文について責任を負う人ということになっている。

一緒に診療したとか、採材に協力したとか、論文作成にアドバイスしたとか、etc.という人には、謝辞を述べるにとどめるべきなのだろう。

            ー

「協力したのに共著者にオレの名前が入ってない」「もう二度と手伝わない」

と言われると、以降の調査研究ができなくなる。

それなら、計画段階 concept の段階から研究に入ってもらって、実践 implementation も手伝ってもらうのが本来なのだろう。

            ー

私も長く調査、研究も行い、学術論文にも名前を連ねてきた。

時代は進み、研究として緻密さと厳格さが要求されるようになっている。

ダイナミックではなくなっているかもしれないが、そうあるべきところへ進んでいるのだろう。

            ー

著者の中で、とくに筆頭著者 first name は研究者として社会的にも研究歴として特別な扱いを受ける。

最も責任が重く、その論文著述、その研究を最も主体的に行った者が筆頭著者がなるべきであろう。

そうでないなら研究上、論文報告上の虚偽だ。

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前日は好く晴れて山容が見えていたのに、登頂前夜は大雨。

朝は雨が止むのを待って登り始め、原生林の中を歩き、急登にあえぎ、なんとか頂上へ。

雄阿寒岳。

原生林に囲まれ、大小の湖沼を麓に持つ独立峰。

眺望が素晴らしい・・・・そうだ;笑

登りでへばっていると下りもなかなかたいへんだ。

秋の日は短い。

それでもゆっくり降りたので、倒木いっぱいの原生林をたっぷり味わえた。

晴れた日にまた登りたい。

                                               ー

そう言うと、論文投稿、論文掲載を高みに登る summit って呼ぶ。

 

 

 

 


Equine Veterinary Journal の変容 1

2024-09-24 | 学問

Equine Veterinary Journal は英国馬獣医師会が発行するイギリスの馬の学術誌。

「馬」に限定されているので、日本の大学の先生はご存じない方が多いが、実は獣医学分野ではインパクトファクターは指折り高い。

かつては1例報告などの症例報告も掲載されていたが、そのうち4例以上の症例報告でないと受けない、となった。

学術・研究誌としてどんどんレベルアップし、臨床とは距離ができたようにも感じるが、症例数が多く、しっかり練られた症例集の報告も現在でも載せている。

馬の臨床家にとっても prestigious な学術誌だ。

             ー

最新刊を見ると、掲載論文はいくつかのカテゴリーに分類されている。

EDITORIAL 論説 2編

EVIDENCE REVIEW  根拠総括 2編

NARRATIVE REVIEW 論説総括 2編

ANALYTYCAL CLINICAL STUDY 分析的臨床研究 13編

DESCRIPTIVEDESCRIPTIVE CLINICAL REPORT  記術的臨床報告 3編

SURVEYS AND POPULATION STUDY  調査および集団研究 1編

EXPERIMENTAL AND BASIC RESEARCH STUDY  実験および基礎研究 3編

CORRESPONDENCE ”やりとり”

             ー

掲載されている記事が、evidence として何に当たるのかを示す分類になっている。

 

下図はWikipedia から

 

私は、よく示されるこのピラミッドが、それぞれの研究レベル、研究の価値を示すとは思わないけどね。

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厚岸産牡蠣のダッジオーブン蒸しは最高だった。

アサリの酒蒸しも美味!

ピンクのシャンパンに、岐阜の栗きんとん。

学生時代にいっしょに貧乏登山をした仲間も、それぞれ年を経たのだ。

 


去勢後の漿液腫

2024-09-21 | その他外科

去勢後の馬が患部から包皮までかなり腫れてしまい発熱した。

去勢から2週間。

5日間抗菌剤を投与し、もう後治療も終了していたが、突然腫れたとのこと。

肉芽が露出しているので、そこから感染したのかもしれない。

全身麻酔して、傷を広げ、肉芽は切除した。

膿ではなく漿液がかなり溜まっていた。

細菌検査では Streptococcus sp. が分離された。

             ー

私の所では、正中1箇所だけをできるだけ小さく切開して捻転式去勢をしている。

傷を左右二箇所にしたり、傷をできるだけ大きくしたり、皮下織をむしり取ったり、すればするほど出血は多くなり、術後の痛みは大きくなり、そのことが術後の腸管脱出の要因にもなると考えている。

ただ、今回のように、傷が閉じて漿液が溜まってしまった症例があったことは記憶にとどめておきたい。

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釧路市湿原展望台の前に居た、野生?のエゾシカ。

人慣れしているのか、逃げるようすもない。

あれっ?と思ったら、右の飛節遠位がない。

それでも不自由なく暮らしているのか痩せてもないようだ。

私たち馬と牛の獣医師は、まだ断脚して患者を生存させるHow to は持ち合わせていない。

野生動物とは強いものだ。

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環境省湿原湿原野生動物保護センターを見学してから、温泉に入り、キャンプ場へ向かった。