今日午前中は、馬伝染性貧血の検査のための採血を手伝った。
これは国の指示で、各町村と北海道の家畜保健衛生所が行う事業なのだが、それを地元の家畜防疫員である獣医師が手伝う、ということなのだそうだ。
当歳馬は除いて、つまり生産牧場では1歳馬と繁殖雌馬を採血する。
かつては毎年やっていたのだが、今は各町村5年に1回の検査になっている。
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私が日高へ来たころに比べれば馬の数は減ったし、馬はおとなしくなったように思う。
その頃は、太い(14G?)の採血針を刺して、垂れてくる血を試験管に受けていた。
今は18Gの採血針と真空採血管か20Gの注射針を使うので、ブッスっと刺さなくて良くなった。
その差も大きいと思う。
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もう日本は馬伝染性貧血ウィルスを清浄化できたと思っていたら、宮崎県御崎馬で集団感染が見つかった。
しかし、吸血昆虫による媒介も考えられるので、隔離で新たな感染が完全に防げるとは思えない。
淘汰すべきなのではないだろうか?
馬伝染性貧血を撲滅するために、馬関係者はたいへんな犠牲をはらい、苦労を続けてきた。
検査方法があいまいだった時代から感染馬だと判定されれば涙を呑んで淘汰してきた。
飼養されている馬は毎年毎年、同じ検査を繰り返してきた。
移動するたび、競馬場へ入厩するたび、費用を払って陰性証明をもらってきた。
そして、やっともう10年近く感染馬が見つかっていない、もう日本の馬の中には馬伝貧ウィルスはどこにも生き残っていない、海外から入ってくることさえ気をつければ新たに感染する恐れはない。
だから、もう毎年の、何年かに一回の、移動ごとの、入厩ごとの検査は必要ないだろう。というところまで来たのに。
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御崎馬は、天然記念物だから。家畜ではないから。というのは、御崎馬の発祥を考えればおかしな気がする。
本当に日本古来の自然の中で生き残ってきた馬ではない。
あくまで人が放して手をかけないで「飼ってきた」のだ。
御崎馬は100頭あまりしかいないそうなので、その1割ほどの馬が伝貧ウィルスに感染していたことになる。
御崎馬自体を守るためにも今、完全な検査と淘汰をすべきではないか。