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馬医者残日録

サラブレッド生産地の元大動物獣医師の日々

職人好き

2025-02-03 | How to 馬医者修行

長く勤めていて、職場に業者や関連企業の方々が来られることがあった。

こちらから仕事や作業をお願いすることもあった。

たいていは初対面で、仕事の話や打ち合わせをするのだが、私はどうも職人タイプの人が好きというか話が合うのだな、と気づいた。

その業務に関して知識と技術と経験を持っていて、会社のきまりとかマニュアルよりその仕事がうまく行くことに重点をおいている人。

某所で、職人礼讃の掲示をみかけた。

             ー

              ー

今は手に職をつける、とか

職人になろうという若い人は少ないのだろうと思う。

暮らしは使い捨てディスポーザブル、地域文化も民族の文化も衰え、暮らしに潤いはなくなるはずだ。

 


送別会 happy retirement

2025-01-20 | How to 馬医者修行

もう職業人としても馬医者としても、ひっそり静かに消えていきたいと思っていた。

数年前からほとんどの公職もほかの人に引き継いでもらい、会議やミーティングにも出ないで済むようにしてきた。

送別会の話を聞いたときも、大げさにしないで、私の引退をダシに地元の獣医さんで集まって新年会代わりにやってもらえば、と思っていたのだが・・・・・

盛大な集まりになってしまった;笑

遠くは鹿児島、群馬、モンゴルから。

たいへん光栄で嬉しいことだったが、たいへん恐縮もしています。

           ー

40年を振り返ることは簡単にはできませんが、

獣医師になった頃は、馬臨床家としても社会人としても生意気なだけでひどいもので、多くの牧場さんや先輩獣医師や、馬たちに迷惑をかけました。

それでも暖かく育てていただいたことにたいへん感謝しています。

いくらか診療ができるようになってからは忙しく働かせてもらいましたが、まだ環境も整っておらず、その中で強引に先を目指してきたので、周りの人はたいへんだったかもしれません。

骨折や、腸捻転や、お産の事故や、仔馬の病気で、どうしようもないとあきらめられていたものをなんとかしたかったのです。

少しずつ成果があがり、それぞれの病気や事故をなんとかできるようになってからは、JRAや地方競馬の先生方、乗馬の獣医さんたち、日高以外の地域の先生方とも交流できるようになり、それもまた嬉しいことでした。

40年を振り返り、今は感謝しかありません。

            ー

北海道のNOSAIの新人獣医師は江別の研修所、かつては家畜臨床講習所へ1ヶ月から2ヶ月の研修に出してもらうのですが、

私が研修に行った頃は、吉田康幸所長でした。

たいへん朴訥とした先生でしたが、

「君たちは良い仕事を選んだね。一生懸命やればこんなに喜んでもらえる仕事はないよ」

と言って下さいました。

その言葉を胸に40年やってきました。

自分がどれだけ一生懸命やれたのか自分ではわかりませんが、この40年は馬臨床獣医学や獣医衛生学が非常に進歩した時代でした。

その中での仕事はエキサイティングで面白かったです。

やりがいを感じながらやってこれましたし、とても充実していました。

きつい仕事でもありましたが、とても楽しい40年でした。

たいへんお世話になりました。

40年間、ほんとうにありがとうございました!!

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自分のスマホやカメラでは撮らなかったので、送ってもらった写真しか手元にない。

北里大学名誉教授高井先生。私の恩師である。

2026年7月、Rhodococcus equiの国際シンポジウムが静内で開催される。2025年のデータをまとめないと抄録提出に間に合わない。

生産地として、聴講するだけでなく、調査研究成績を示して、世界の臨床家、研究者と積極的に交流、意見交換してもらいたい。

地元獣医師会会長の荒川先生。私の戦友でもあった。

田上先生。

いつも私の目標であり、ちがう場所で同じ仕事をする仲間でもあった。

JRAの、そして元JRAの先生方。

やはり日本の馬獣医学においてJRAの果たす役割は大きい。今までも、そしてこれからも。

シークレットゲストと;笑

二人で素晴らしい記念品までいただいた。

当夜参集されなかった多くの方からも協賛をいただいた。ほんとうにありがとうございます。

            ー

何人もの方から花やお土産やお餞別までいただいた。お酒も;笑

恐縮しています。ありがとうございます。

二次会の最後の記念撮影。

最後にもう一度。

とても充実した、たいへん楽しい40年でした。

お世話になりました。ありがとうございました!!!

 

 

 


魑魅魍魎跋扈するところ USAの獣医臨床教育

2024-12-31 | How to 馬医者修行

日本獣医師会雑誌の12月号と1月号がいっしょに届いた。

片方は、「学術学会誌・産業動物臨床、家畜衛生関連部門」は、例によって「本号でご紹介する論文はありません」なので、テーブルの上に放っておいた。

が、12月号には林慶先生の、

「終わりなき修行の旅:苦闘の経験から考える臨床獣医学教育の展望」と題する文章が載っていたので拝読した。

              ー

林慶先生には、麻酔外科学会で馬のセッションとしてUSAの専門医制度について講演してもらったことがあるし、小動物整形外科の講演を聴かせていただいたこともある。

USAで活躍する小動物外科の偉才だ。

小動物外科という競争の激しい分野で、それも整形外科という注目度も難易度も高い分野で成果を上げられ、しかもCornell大学で教授になられ、教育、研究でも遺憾なくその能力を発揮されている。

と、思っていたのだが、実情は苦闘の連続だったようだ。

それも、臨床あるいは整形外科の本質ではなく、大学と獣医教育病院の運営にまつわる政治で悪戦された事情が書かれている。

              ー

UC Davis やCornell大学などは、民主的に、USAの資本主義と博愛主義に支えられて理想主義的に運営されているのだろうと思っていたが、実状はそうではなかったようだ。

大学を運営する側にしてみれば、医学部や獣医学部は他の学科と異なる運営のたいへんさがあり非常にやっかいなのだろう。

臨床は、患者が集まる病院がなければ教育することができず、しかし臨床ができる教員はすぐれた臨床家でもあり、臨床志向が強いために良い臨床を行える条件が他所にあればすぐ去ってしまったり、引き抜かれたりする。

臨床と、教育と、研究が人並み以上のレベルででき、人格的にも優れているなどという人を確保しておくのは至難の業だ。

ましてや州立大学では、州の公務員なみの給与しか払えない。

「ーーー獣医大学関係者は、特に臨床の腕の悪いものほど政治活動に没頭する傾向にあるーーー」

「ーーーそういった輩はどんどん偉くなるーーー」

林先生、それは大学だけじゃないかもしれないよ;笑

             ー

林慶先生は名誉教授になられ、「隠居生活を続けている」とされているが、まだまだ小動物整形外科や獣医学教育、それも卒後教育に情熱を持たれているようだ。

この文章には、USAの獣医教育病院での臨床、実習、手術風景の写真もたくさん載っている。

これから日本の獣医臨床教育がどう発展すべきなのか考えることはだいじなことだ。

ご一読をおすすめしたい。

林慶先生も、「修行」だったと呼んでるしね;笑

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今度は娘たちとマウントレースイへスノボ修行に行ってきた。

雪はサイコーだった。

もう年末年始休みに入った日曜日。けっこう賑わっていた。

昼には素敵な方をお見かけした。

すごいんだ、この人

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それでは皆さん、良い歳をお迎え下さい。

 

          

 

 


The differences between a loser and a winner 敗者と勝者のちがい

2024-12-23 | How to 馬医者修行

わたしは32歳の時、海外研修に出してもらった。

3週間滞在したFlorida大学の獣医教育病院の廊下に貼ってあった箇条書き。

きちんとした掲示物ではなく、誰かがプリントアウトして壁に留めてあっただけだった。

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1.A Winner makes mistakes and says: I was wrong. But a Loser says: it wasn't my fault.

勝者は間違ったときには「私が間違っていた」と言う。敗者は「私のせいではない」と言う。


2.A Winner credits his good luck for winning even though it wasn't luck.

But a Loser credits his bad luck for losing, but it wasn't about luck.
勝者は勝因は「運が良かった」と言う。例え運ではなかったとしても。
敗者は敗因を「運が悪かった」と言う。運が原因ではなくても。



3. A Winner works harder than a looser and has more time.
But a Loser is always too busy too busy saying a failure.
勝者は敗者よりも勤勉に働く。しかも時間に余裕がある。敗者はいつでも忙しい。失敗を語るのに忙しい。



4. Winner goes through a problem and a loser goes around.
勝者は問題を通り抜けていく。敗者は問題の周りを回る。



5. A Winner shows his sorry by making up for it.
But a Loser says his sorry but he does the same thing next time.
勝者は償いによって謝意を示す。敗者は謝罪をするが同じ間違いを繰り返す。



6. A Winner knows what to fight for and what to compromise on.
But a Loser compromise on what he should not and fights for what isn't worth fighting for.
勝者は戦うべきところと妥協すべきところを心得ている。
敗者は妥協すべきでないところで妥協し,戦う価値がない戦いをする。



7. A Winner says I am good, but not as good as I ought to be.
But a Loser looks down at those who have not yet achieved the position he has.
勝者は「自分はまだまだです」と言う。敗者は自分より劣るものを見下す。



8. A Winner respects those who are superior to him and tries to learn from them.
But a Loser resents those who are superior to him and tries to find fault.
勝者は自分より勝るものに敬意を払い学び取ろうとする。
敗者は自分より勝るものを不快に思い,アラ捜しをする。



9. A Winner is responsible for more than his job.
But a Loser says, I only work here.
勝者は仕事に誇りを持っている。敗者は「働いているだけです」と言う。



10. A Winner says, "There ought to be a better way of doing it".
But a Loser says why change it, that's the way it has always been done.
勝者は「もっと良い方法があるはずだ」と言う。
敗者は「何故変える必要があるんだ?いつもやってきた方法じゃないか」と言う。

          ー

いくつかのアレンジやバージョンがあるらしい。

実際にわたしがVeterinary Medicine Teaching Hospital で見た箇条書きには、

勝者は「それは難しい、しかしできる」と言う。敗者は「それはできる、が難しい」と言う

というのもあったと記憶している。

          ー

自らと、周りの人を思い返してみると思い当たることがあるのではないだろうか。

VMTHの廊下の張り紙は、

敗者になるな、勝者になれ

と締めくくられていた。

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図書館でみかけて読んだ。

文学賞?(第21回電撃小説大賞;メディアワークス文庫賞)をもらって売れたらしい。

知らなかったがドラマだか映画だかにもなったらしい。

ライトノベル?なのかな?

薄っぺらく、脆弱(ぜいじゃく、だよ)だが、そういうものだと知っておく必要がある。

そして、勝者と敗者を決めるのは自分自身だ。他人じゃない。

 

 

 

 


最後の勤務

2024-12-04 | How to 馬医者修行

11月は有給休暇消化でほとんど出勤していなかった。

最後の週は東京で学会があり、続いて海外の先生の講演と実習が地元であったので留守番のために出勤していた。

11/30

午前中、1歳馬の左右前肢の球節の関節鏡手術。慢性の滑膜炎の進行がかなりひどい。

昼、慢性の不調で競走できなかった2歳の跛行診断。

歩様がよろしくないのはわかるが、明確な跛行肢はわからない。

全肢をXrayするが明確な異常なし。

調教して、跛行がはっきりしてからまた観るしかないだろう。

午後、当歳馬のひどい角膜損傷。

穿孔しないように結膜フラップと結膜下点眼チューブの装着。

それで診療は終了。

            ー

終業時刻となって、

花束をもらい

 

集まってくれた皆さんと記念撮影した。

これにて私の勤務は終了。

長い長い私の馬医者修行も修了。

たいへんだったけど、楽しくもあった。

ありがとうございました。お世話になりました!