馬医者修行日記

サラブレッド生産地の大動物獣医師の日々

忙しくて

2018-12-23 | How to 馬医者修行

先日、若い獣医さんたちとの懇親会で、

「仕事が忙しくて、こなすのがたいへんで、仕事が楽しくない」

と聞いた。

ただの愚痴ではないし、頑張ってるんだなと思った。

疲れてもいるのだろうから、普通にアドバイスするなら、

「休みの日に温泉でも行って、リラックスして心と体を休めたら良いよ」

となるのだろうが・・・・・

そんなアドバイスは私らしくないので;笑

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仕事は追われるのではなく、追いかけるものだ。

鬼ごっこのようなもので、逃げるとより追われるようになる。

逃げようとすると仕事はつまらなくなる。

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自分のことで手一杯の時は人のことを手伝ってやると問題解決できることがあるよ。

嘘みたいな話だし、どうしてそうなるのか論理的には説明できないけど。

私は修士論文の作成で煮詰まっているときに、ほかの人の修論を手伝ったら自分の論文作成が進んで驚いた。

そんなもんだ。

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仕事が忙しい、たいへんだ、そいうときは休まないで働くのも方法だ。

休日を自主返上して仕事してはかどるとすっごい気持ちいいよ。

収入のためにだけ働いているなら仕事がつまらなくて当たり前。

能動的に働いてこそ仕事は楽しくなる。

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当たり前のことだけしていては褒めてはもらえない。

最低限のことだけしていては、最低限の評価しかもらえない。

人に褒めてもらえるのは喜びになるし、自分で自分を褒めたいなら、そうできるような仕事の仕方をすることだ。

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仕事を離れてリラックスしても、仕事に戻ればすぐまた元通りだ。

仕事を離れるなら、仕事に役立つことを他所へ観に行ってみると良い。

自分のホームグラウンドの仕事を新しい目で観ることができるようになる。

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サッカーで攻撃している側は走れるものだ。能動的に動いているからだ。

攻められ続けると走れなくなる。受身で走らされるからだ。

能動的に、自主的に動くことで、楽しくなるよ。

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今は、サッカー選手も、走った距離、パスを出した回数、パスの成功率、もちろんシュート本数、アシスト数など数値化されて評価される。

野球選手は以前からだ。打率、本塁打数、出塁率、得点圏打率、盗塁数、進塁打数、etc.

でも、そんな数値の評価じゃなくて、自分のことは自分がいちばんよく知ってわかっている。

自分に甘くなるのが人間だけど、自分を客観してみると良い。

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説教くさかったらごめんなさいよ。

勤めるなり、「7月まで休みはないよ。」と言われた時代に、

そんなことは知った上で望んで就職した者が、振り返って思うことだ。

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人もうらやむ才能をもちながら、多くを台無しにした男が語ったこと。

清原和博 告白
清原 和博
文藝春秋

あまりに純粋で、幼かったのかもしれない。

試合の勝ち負けがかかっていない打席ではどうしても集中できなかった。それでタイトルを何一つ取れなかった。

そんなところを多くの人は愛したのかもしれない。

私も江川や桑田なんかよりずっと清原の方が好きだ。

 

 

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センター実習

2018-11-05 | How to 馬医者修行

日曜日、若い獣医さんを集めての馬臨床実習。

参加者3名。

基本的なX線撮影

鼻カテーテル

喉頭内視鏡検査

喉嚢内視鏡検査

ハーフリムキャスト

キャスト除去

それで予定時間を過ぎて午後4時だった。

来週は、参加者7名の予定。

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若い獣医さんは覚えること、勉強すること、できるようにならないといけないことが多くてたいへんだ。

仕事時間の中でだけ身につけていくのは無理だ。

自分でスキルアップの時間を作って、それを楽しんで続けないと自分がなりたいような臨床獣医師に成れないと思う。

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T-LCPを買った。

子馬の脛骨近位成長板損傷の内固定に特化して開発されている。

vimeo にAOVetの教育用ヴィデオが公開されている

プレート1枚とscrew&wireだけでは固定力が足らないときどうするか、

骨端に2本以上screwを入れるためにどんなプレートが必要か、考えて創られている。

3人のオッサンが少し照れながらデモしているのがカワイイ;笑

”馬の整形外科をやっている”と名乗っている。(実はとても著名な教授達です)

好きな道を、30年以上突き詰めてきたオッサンの可愛さとかっこよさだ。

仕事だからとか、収入を得るためにとか、言われるがままにとか、ではこうは成れない。

 

 

 

 

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北海道NOSAI馬外科高度化研修 2

2018-10-05 | How to 馬医者修行

研修最終日。

朝は疝痛の来院。

落ち着いて、開腹手術にはならなかった。

顔のひどい外傷の当歳馬が来院。

立位で縫合。

腰萎のX線撮影。

午後は、2歳競走馬の腕節chip fracture の関節鏡手術。

動脈穿刺を実践してもらう。

牛地帯でもi-STAT(ポータブルのカートリッジ式血ガス測定装置)はけっこう普及している。

しかし、動脈穿刺が難しいので静脈血の測定しかしていないところも多いようだ。

夕方も、3歳競走馬の腕節chip fracture のX線診断。

これにて、研修終了。

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地元での日常の診療に何か生かせるものがあったのなら幸いだ。

それを観たり、学んだりするのに、どのような研修の形が良いか、これからの課題だろうと思う。

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朝はすっかり肌寒くなった。

朝露がつめたい。

そんなこと気にしないやつもいるけど。

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北海道NOSAI馬外科高度化臨床研修

2018-10-04 | How to 馬医者修行

今週は、北海道の外部のNOSAIから3名が研修に来ておられる。

オータムセールと重なってしまったので、診療はすっかり暇。

しかし、忙しいと説明したり、講義したりする余裕がないのも現実。

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初日は、午前中下顎に慢性的に化膿性の肉芽巣ができた繁殖雌馬の切開・切除手術。

静脈麻酔で倒馬室でやったのだが、もともと寝起きが良くない馬で、麻酔覚醒時におかしくなった。

一度、二度と立ち上がったのに、震えて、興奮して、また倒れこんだ。

発汗している。

PCV53%、乳酸値13mmol/l。

体温は41℃。

悪性高熱”様だった。

ホースで水をかけて体を冷やした。

酢酸リンゲルとヘタスターチを点滴した。

それで1時間ほどで落ち着いて、歩いて帰っていった。

麻酔の珍しい緊急事態を研修の先生たちに観てもらうことになった。

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午後は、子牛のプロポフォール麻酔の講義。

サラブレッド生産地の馬臨床の講義。

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2日目は、当歳馬の球節捻挫の骨片摘出。

関節鏡を入れたが、骨片は見えなかった。切開して摘出した。

午後は、子牛のプレート固定の練習会。

3名の先生にそれぞれが、脛骨骨折、大腿骨骨骨折、橈骨骨折、上腕骨骨折を練習してもらった。

練習用のドリルが切れなくて申し訳なく、苦労するが、プレート固定の可能性を感じていただけたと思う。

練習は、教えるほうにもとても勉強になる。

私たちもスキルアップしていかなければならないのだから。

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もう季節はずれになってしまったムクゲ。

来年はもっと早くから咲いてくれると良いのだが。

 

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実習生について思うこと そしてアドバイス たぶんその1

2018-09-03 | How to 馬医者修行

今日は、

早朝は結腸便秘の2歳の診察。

朝、2歳馬の肘腫の診察。手術はしないことになった。

当歳馬の臀部の蹴傷。

今週わたしは検査当番。

当歳馬の疝痛の依頼。

午後に予定していた6歳競走馬のTieback&cordectomyは予定どおりにやってしまうことにした。

手術予定がつまっていて、延期すると1週間以上先送りになってしまう。

Tieback&cordectomy を1時間で終わらせて、当歳馬の開腹手術。

案の定、手遅れだった。

剖検したら、手遅れでなくても助けられない小腸根部捻転だった。

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夏は実習生たちが来ている。

大学の単位になるので、評価書を書いてくれ、と持ってくる学生たちも居る。

(これは本当におかしいと思う。

大学は安からぬ授業料を学生から摂っている。

年間の授業料を1年50週で割ってみると良い。

学外実習に出して、単位を与えて、それを外部に負うなら、”金払え!”って言われる話だ。)

われわれの受け入れ元の北海道NOSAIにも、実習日誌に目を通してやってくれ、とか、

学生の評価表をつけてくれとか、

学生ひとりひとりへのアドバイスを書いてくれ、とか言われている。

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私は、学生たちにマニュアルを作って渡そうとは思わない。

最低限の注意をして、あとはひとりひとりとできるだけ話しながら、実習が何か役に立ってくれれば良いと思っている。

けっこう厳しいことも言う。

学生たちに好かれたいとは思わない。

実社会の厳しさ、臨床のたいへんさ、を体験して、それでも面白いと感じられるか、を考えてもらいたいと思っている。

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しかし、アドバイスするとしたら、どの学生にも共通のことがかなり多い。

本を読め

あまりに誤字脱字が多い。基本的な知識人としての教養が疑われる。パソコンばかりで文章作成していないで、自分の言葉で、手書きで漢字と文章を書けるようになれ。

そのために本を読め。アニメばかり見てないで。

社会人としての最低限のマナーと態度を身につけろ

目上の人が運転する車に乗せてもらうときは、乗るべきは助手席だ。あんたはお客さまじゃない。

よそへ行って好かれるのは明るく元気で活発な来客だ。邪魔にならないようジッとしているだけでは実習にならない。

日常生活の技術は診療技術と重なる

ほとんどの学生が掃除もできないし、ロープも結べないし、洗い物もできない。

こいつら普段の生活でどうしてるんだろうと思う。

そうか、今の日常生活ではロープを結んだりもしないし、掃除もしないし、洗い物もしないんだ。

勤勉でもなく、器用でもなく、機転も利かず、積極性もないヤツは診療でも役に立たない。

集団行動するくせを捨てろ

学校では「みんなと同じように行動しなさい」と習うのかもしれない。しかし、社会に出たらちがう。

人があれをやるなら、自分はこれ。人があっちを受け持つなら、じぶんはこっち。

一人でできる用を複数でやろうとするな、邪魔になるだけだ。

体を鍛えて使えるようにしておけ

今の日常では力任せに何かをする、などということはないのかもしれない。

しかし、すくなくとも大動物臨床では、体を上手に使わないとできないことが多い。

指先だけでは始まらない。

体格の問題もあるが、体の使い方もだいじ。

生まれて一度も風呂に入っていない患者さんを手術するんだ。優しくのんびりこすっていては消毒どころか洗浄にもならない。一生懸命ブラシでこするんだ。

われわれの何倍も体重がある患者さんを動かして診療するんだ。こっちも気合を入れて、力をあわせて全力を発揮しないとはかどらない。

大動物診療の何分の一かは肉体労働にかかっているんだよ。それができない人には無理だ。

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日本の将来は明るくないとつくづく思う。

私たち世代の責任なんだろうな・・・・・

 

 

 

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