もう予定日を過ぎている繁殖雌馬が、血便を出して、死んでしまったそうだ。
剖検すると、盲腸と結腸の粘膜が壊死して、腸内容は出血性。
出血性腸炎や虚血性壊死がひどい結腸捻転に似ている。
しかし、腸捻転は起こしていない。
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この部分は前腸間膜動脈の起始部。
大きな動脈なのでバイパスはなく、この動脈が詰まると腸管へ血液が送られなくなってしまう。
そして、円虫の仔虫の寄生部位でもある。
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動脈の中は当然、滑らかでなければならない。
しかし、腹大動脈から分岐したところで壁が厚くなった動脈瘤があり、内腔は血栓が詰まって血が流れなくなっている。
そして、糸ミミズのように見えるのは・・・円虫仔虫だ。
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今は良い駆虫薬があるが、投与しなければ何の意味もない。
生産地の飼養環境で、馬をまったく駆虫しないで飼うと、もっとも被害を出す寄生虫症はおそらく、この円虫による動脈栓塞だ。
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寄生虫はいつも馬の能力を落とす。
寄生虫はしばしば疝痛を引き起こす。
寄生虫はときどき馬を殺す。
駆虫しましょう。
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今日は角膜浮腫が改善されない症例の角膜掻爬と結膜フラップ。
眼球破裂した馬の再診。
昼には繁殖雌馬の結腸捻転。
午後は育成馬8頭の胃内視鏡検査。
夕方、立たない結腸捻転馬を蹴飛ばして立たす。(Monty先生ゴメンナサイ!)
4月の開腹手術は約25頭。
どうなってんの?