警告
いつもにも増して;笑 恐ろしい画像が出てきます。耐えられない人は見てはいけません。
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ことし2月、金沢で開かれた日本獣医師会年次学会で、サラブレッドの完全骨折のLCP固定について発表した。
会場からは、ほとんど質問はなかった。
集まっている多くは牛と豚の臨床家と獣医科大学の産業動物の教員なのだが、興味も質問するための基礎知識もないのだろう。
遅れて出た質問は、
「尺骨は体重を支えている骨ではないから、一緒に扱うのはどうか?」
という指摘だった。
亀裂骨折ではなく、完全に骨が割れてしまったときに新しいLCP固定がどれだけ効果を示すか?という発表をしていて、
下顎骨折も含めているので、「尺骨は・・・」というのは的はずれだ。
そして、そういう疑問を持つのは、牛の尺骨が折れることがまずないからだろう。
私も牛が尺骨だけを折ったのを診たことはない。
(牛の尺骨は馬ほど退化していなくて、橈骨と並んで遠位;腕節まで続いている。だから、橈骨骨折のときに一緒に折れる。)
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尺骨を折ってしまった1歳馬。
夜間放牧中の雷による事故だったようだ。
肘から下肢までひどく腫れ、右前肢はまったく負重できない。
これだけ変位していると、数ヶ月経っても骨癒合は望めない。
尺骨はこの部位で折れることが最も多いのだが、肘関節も壊れて開いてしまっている。
わかるかい?
馬の尺骨は体重を受け止める骨ではない。
しかし、完全に折れたら、肘を上腕三頭筋で引きあげることができないため、腕節が屈曲してしまい、体重はまったくささえられなくなる。
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変位がひどく、内出血で腫れもひどく、「予後不良であきらめる方向で・・・」と連絡が来た。
「治せると思うよ」と答えたのだが・・・・
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この馬、いっぱいブツブツがついていた。
膨らんでいるのもある。
そう、ダニ。
耳、腋、乳房、その他、いたるところに”無数”にくっついていた。
最初、診せられた獣医さんは、ダニ寄生があまりにひどくて肘が腫れたのかと思ったそうだ。
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うちの相棒は、ダニにかまれすぎるとアレルギー性皮膚炎を起こすようだ。
あまりにたくさん外部寄生虫に吸血されると免疫が撹乱されるのだろう。
この馬だけでもダニを駆除してやらないと骨折の治療に影響すんじゃないかと考えた由縁だ。
なんとかしたくなるでしょ?
(尺骨骨折について、つづく)
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やまへいくときは、とうちゃんがダニよけしてくれる
それでもダニにかまれてかゆくなる
けさは疥癬のたぬきにかみついた