獣医学向け教育模型、が今は売られている。
海外製品を輸入しているのだろうと思う。
・生きた動物や死体を実習用にそろえられない。
・生きた動物や死体では、腐る、汚れる、臭う、が付きまとう。
・生きた動物を実習に使うのは動物福祉上好ましくない。
が理由で、こういう模型が必要とされているのだろう。
観て、触って、だけではなく、静脈注射、気管挿管、直腸検査、難産介助、などが練習できるように工夫された模型もある。
注射を練習する部位などは、中のチューブ(血管のかわり)に液体が入れられるし、何度も刺して傷むとその部分を取り替えられるようになっている。
某大学で、ウマ用の模型のいくつかをみせてもらったのだけど、よくできているな、と感心した。
冷たく硬い樹脂でできているのではなく、シリコンで覆われていて、手触りが温かく柔らかい。
観る、見せる、だけでなく、触って、扱うことが考えて造られているのが感じられた。
しかし・・・
高い。so expensive !!
桁が違うんじゃないかと思うほどの値段。
そして、やはり本物とは違う。
先週、実習に来ていたS君には、腕節骨折の馬で、
「腫れてるだろ? 熱があるのわかる?」
と腕節を触らせた。
馬の全身模型は 258万2800円だそうだ;笑 1/3モデルで。
馬の前肢模型は 50万6000円。
砲骨ってなんだ・・・・ああcannon bone 管骨の誤訳か。
でも模型は熱をもたない。病変部が腫れてもいない。
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難しい時代になってきているんだな、と思う。
以前、学生をうちに寄こしませんか?と提案したことがあった。
1週間5名ずつ、1年のうち半分25週を当てれば125名に本物の馬と牛の診療現場を体験させられる。
そのことの値打ちすら理解してもらえなかったんだろうな。
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視診、触診、画像診断して
静脈注射して
馬を運んで (本物は模型より重いよ)
術野消毒して
関節穿刺して
関節鏡手術を始める
気管挿管して
静脈留置して (本物の血が出るよ!)
動脈留置して
血ガス測定、心電図、ガスモニター付けて (実物だから変動するよ!)
尿道カテーテル入れて
それらをやりながら、頭をフルに回転させる。
模型も好いけど、模型じゃね。