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馬医者残日録

サラブレッド生産地の元大動物獣医師の日々

後膝の超音波検査の講義と実習

2019-11-29 | 講習会

木曜日はフランス人でカタール大学のFlorent David先生の講習会。

後膝の超音波検査がテーマで、午前は講義、午後はデモンストレーションだった。

とても詳細な講義と実習で、感心した。

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今年も海外の先生に生産地にも来てもらえてたいへん良かった。

馬の数と同じく、馬の獣医師は北海道にたくさん居る。

東京で講習会があっても、多くの馬獣医師が北海道から参加するのは難しい。

生産地は今や生産だけの知識や技術だけではなく、競走馬や育成馬についての知識や技術も必要としている。

繁殖学やら新生仔学ならなおのことだ。

講習会や実習には十勝からも複数の獣医師が参加していた。

有意義な講習と実習だった。

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私は講習中に、後膝が腫れた当歳馬の相談を受けた。

週明けに超音波検査することにした。

 


ブラックジャックによろしく

2019-11-29 | 図書室

病院のロビーで1巻を読んで、これは読んでみようと思って、

近隣の図書館になかったので、大人買いしてしまった。

ブラックジャックによろしく 全13巻完結(モーニングKC ) [マーケットプレイス コミックセット]
佐藤 秀峰
講談社

研修医がローテで回る各科で、大学病院や現代医療のあり方に納得できず、さまざまなトラブルを起こしていく。

夜間救急のバイト。

心臓外科。

新生児科。

消化器外科(腫瘍科)。

精神科。

まあ、その主人公の研修医クンのまっすぐで青臭いこと。

こういうヤツがいたら面倒くさくてイヤだろうなとつくづく思うが、

どこかでこういうヤツに居て欲しいと思うからストーリーが成り立つのだろう。

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朝、急患で蹄球部の外傷。

内外の蹄球がザックリ切れていて、裂蹄もあり、深屈腱も見えていてひどい。

しっかり洗浄して、縫合して、裂蹄はワイヤーでとめて、ハーフリムキャストを巻いた。

その1歳馬があっちで寝ていて、こっちで臍が化膿している黒毛和種雄の麻酔開始。

膀胱はもう臍から遠くなっていて、しかし膀胱近くで大きな膿瘍になっていて、大網と癒着していて、

癒着を剥がしていたら膿瘍が破れて、たいへんだった。

夜は静内で講習会。

後肢の跛行。と題してだった。

生産者対象ということだったので、講師の先生もわかりやすく一般的な内容にしてくれたようだ。

獣医師としてはもっと専門的な話も聴きたかった。

 

 


船橋競馬場初訪問

2019-11-23 | 講習会

午後の診療を終えてから空港へ向かい、夜の飛行機で羽田へ。

羽田近くのホテルの夜明け。

街は夜中も車が行き交って明るいし、コンビニの店員さんの名札はカタカナで、どこの国のヒトかもわからない。

関西育ちの北海道在住者には、東京周辺の乗り換えは理解不能。

京葉線と京急と都営地下鉄と、いったいどの電車が誰の線路を走ってるのさ?

「羽田についたらモノレール」っていうのは優秀なキャッチコピーだったんだね。

競馬組合事務局の2階で、馬の骨折の応急処置と手術について1時間半ほど話させていただいた。

船橋競馬場は初訪問だった。

生産地で生まれ育った多くのサラブレッドが船橋で働いていて、休養や故障で帰ってくる馬もいる。

考えてみれば面白いことだ。

翌日、関東は雨。

飛行機はまた満席だった。

 


橈骨完全骨折が治った

2019-11-20 | 整形外科

6月に橈骨完全骨折をORIF;Open Reduction and Internal Fixation した当歳馬。

10月にはいって、内側に当てていたナローLCPを抜いた。

そして、5ヶ月足らずの日、メインの頭側ブロードLCPを抜きに来た。

手術台に載せてから、念のためにX線撮影する。

骨癒合はたいへんよろしい。

先に抜いたプレートに入っていたscrewの孔もほぼ埋まっている。

骨は成長して相対的にプレートが短くなっている。

プレートの上に骨が乗っかり出している。

minimally invasiveにプレートを抜去した。

仮止めに使ったscrewは抜かないことにした。

もうscrew head も埋まっているだろう。

橈骨の自然な形状も失われていない。

肘関節を形成する橈骨と尺骨に段差もなく、肘関節も良好だ。

橈骨と尺骨も骨癒合せずに済んでいる。

今までに5頭、当歳馬の橈骨完全骨折を手術した。

最初の1頭は、器具や器材の準備も充分ではなく、手で回すドリルで手術した。

それでもbeginner's lack か助かって競走馬になり、何勝もした。

2頭目は新生子馬で、ナローLCP2枚で固定したが、プレートが折れてダメになった。

3頭目は反省を生かして、LCPの骨折線近くはscrewを入れず、その隣の孔には皮質骨sccrewを使った。

LCPは強固な固定ができるが、その分プレートに大きな力がかかるので破損の恐れがある。

その馬も競走馬になり、賞金も稼いだ。

4頭目は、今まで一番体重が大きい子馬だった。2.5ヶ月齢になっており、推定体重170kg。

順調な経過だった。もう調教開始されているはず。

そして、今回が5頭目。

かのNew Bolton Center からの文献では、22年間に橈骨骨折を27頭手術して15頭(56%)が助かった。ということだ。

だから、5頭やって4頭助かったというのはとても良い成績だ。

30年やってきて、子馬の橈骨ボッキリ骨折は、「治せるようになった」、と言える。

I' m proud of it !!

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とうこつ・・・とうこつ・・・・おらのとうこつどこだ?・・・・ムニャムニャ・・・zzzz

 

 

 

 


医龍

2019-11-16 | 図書室

インフルエンザのワクチンをうってもらいに行った。

会計を待つ間、ロビーにおいてあった「ブラックジャックによろしく」を読んだ。

絵の力と、医療をテーマにした内容に驚いた。

読んでみようと思って図書館で探したが、地元の図書館にはなかった。

代わりに医療物のコミックスであったので借りてみた。

医龍 全25巻完結セット (ビッグコミックス)
乃木坂 太郎
小学館

何回かにわけて全巻読んだ。

バチスタ手術など取り上げられている手技に新鮮さを感じるのは最初だけで、

後半ほとんどは医学部教授選の政争が主軸になっていく。

医師、とくに外科医の育成についてがサブテーマとなっている部分は興味を惹かれた。

登場人物たちが、あまりに悪人面で、悪いセリフを吐くところはコミックなので仕方がないかもしれない。

それに比べると主人公朝田龍太郎の容姿はあまりにもさわやかで個性がなさすぎる。

最初の部分でヒゲ面なことくらい;笑

そして・・・・優秀な人たちはもっと忙しいよ。

心臓外科や救命救急の分野だと、さらにだ。

まあ、コミックとしてはたいへん楽しめました。

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今日は、種子骨骨折screw固定。

昼に舌の裂傷。

下顎神経でブロックすると立位で縫える。

舌を縛るのは布包帯が滑らないで好い。

午後、腕節骨折の関節鏡手術。