さて前置きと中断が長くなったが、子馬の脛骨近位成長板損傷を内固定する方法の変遷についての本編。
かつてはTプレートによる方法が報告され、成書にも記載されていた。
薄い骨端に2本のscrewを入れることができる。
私もTプレートを買い込んで準備していたし、子馬と子牛でやってきた。

このTプレートは横棒部にscrew hole が2つ開いているので、骨端に2本screwを入れることができる。

欠点は、
Tプレートが薄くて強度がないこと。
しかし、この部位に適応する場合は問題にならないと思う。
牽引だけできればよく、Tプレートが曲げられることはなく、支柱性は必要ないからだ。
もう1つの欠点は、Tの横棒部分が大きいことだ。
膝関節の近くに固定するので、Tの横部分が近位側へ飛び出し、膝関節に当たりかねない。
関節包が破れたのであろうと思われるように、術後に関節液が流れ出た症例があった。
さらには、このTプレートはplate hole を用いてコンプレッションをかけることはできない。
compression plate ではないのだ。
そして、このTプレートは安くはない。
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近年、推奨されているのはscrew&wire とLCP を併用する方法。
整復し、それをscrew&wireで牽引固定しておいて、LCPにLHSを入れて固定しようという方法。
この方法でも、骨端に2本screwを入れることができる。
この方法の欠点は、screw&wireは牽引しているだけだということだ。
wireをきつく締めることはできるが、強すぎれば切れてしまう。
wireがscrewヘッドからはずれてしまうことも起こりやすい(上の写真!)。
ワッシャーを使ったほうが良いだろうが、screwも折れることがある。
それと肝心なLCPは、結局1本のLHSで骨端に固定されているだけ。
子馬の軟らかい骨端に、あのネジ山の小さいLHS1本が果たしてどこまで効くか、疑問が残る。
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変位がひどく、固定強度が必要な症例では、LCPを2枚使う方法が推奨されている。

これは固定力がかなりあるだろう。
しかし、子馬のこの部分にLCPを2枚入れると、傷を閉じることがかなり厳しくなる。
術後も腫れるし、よく動く部分なので、傷が開き易い。
私がやった症例も、傷が開いて感染し、手こずることになった。
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最新の方法は、最近開発されたT-LCPを用いる方法。
まさにこの脛骨近位成長板損傷の内固定のために開発された。

このT-LCPには横棒部に3つcombination hole が開いている。
LHSも入れられるし、screw hole を使ってcompression をかけることもできる。

横棒部分は、以前使っていたTプレートより小さい。
関節への干渉も少ないだろう。
ただし、このT-LCP は高い。
日本では市販されていないので、個人輸入しなければならない。
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準備はしておいて、本当に必要な症例で使うことにしたい。
脛骨近位成長板損傷は多い。
毎年、1-2例必ず遭遇する。
変位がひどい症例でも確実に治したい。
この20年の子馬の整形外科の進歩で、その方法が提示されたことはたいへん喜ばしい。
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きのうは午前中子宮穿孔の準急患。
子宮頸管すぐ奥の背中側の穿孔だったので、立位で縫合修復してから、開腹手術して腹腔洗浄。
生理食塩液29リットルで洗浄した。
夕方もなんと子宮穿孔の急患。
右子宮角先端の穿孔だった。
開腹して子宮裂孔を修復し、腹腔洗浄。
生理食塩液36リットル使った。
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タンポポを増やしたくなければ種が飛ぶ前に刈ってしまわなければならないんだろうな・・・

それなりにきれいなんだけどな・・・・

イドンナップ岳。
このあたりからは最も高く見える。
私は大学山岳部時代もたぶん登っていない。