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馬医者残日録

サラブレッド生産地の元大動物獣医師の日々

電子辞書

2007-02-27 | How to 馬医者修行

Srv7900nkこの20年、 机の上に、英和辞典と、和英辞典と、国語辞典と、医学辞典を置いて仕事をしてきた。

高校生の時から使っていた研究社英和辞典と和英辞典は、数年前に買い換えた。

医学辞典は大学生の頃から南山堂とステッドマンを使ってきて、買い換えなければと思っていたが・・・・・・・・

あまりに机の上でかさ張るので・・・・・・・

電子辞書を買ってしまった。

セイコーインスツルメンツ SR-V7900NK。

 使ってみて・・・・・・これはイイ!。

辞書をひくより、スペルを入力する方が速い。正確に全部入力しなくても選択肢が示されるのでより速い。

一般の英和辞典を引いて、やっぱり医学辞典を引きなおすこともあったし、その逆もあった。しかし、電子辞書は一括検索ができる。

発音機能がついていて、ほとんどの用語の発音を確認できる。アレルギーではなくアレジー、ビリルビンではなくビリルービン、イシェミアでなくイスケミア、などなど難しい発音を確認できる。

おまけに、使いこなせるかどうかわからない例文集や語法辞典もついている。

論文を書く時、煮詰まったらヒントくらいにはなるかもしれない。P2270157

なんと、「今日の治療薬2006」もカードで使える。

 しかし。

高い(泣)!! 

買ってしまった以上は、使い倒して元を取るしかないナ。

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P2270141 P2270142 暖冬とは言え、この頃また寒い。

朝、車のフロントガラス(これは和製英語。電子辞書をひくと、英語ではwindscreen アメリカ英語ではwindsheild )に、

ウォッシャー液をかけてワイパーを動かすと、水分が凍って模様ができた。

 ウオッシャーとワイパーは、英語として通じるようだ。


ブログ1周年

2007-02-26 | 日常

  2006年2月26日に始めたこのブログ。P3020002

1周年となりました。

  始める前は、どんなものになるのか本人にも想像つきませんでしたが・・・・・

・生活の大部分を占める馬の診療についてあれやこれやを書き留めておくこと。

・診療のあいまではゆっくり話していられないことを知ってもらう場所にすること。P7260007_1

・別な世界にいる人にも、馬の臨床という世界を紹介すること。

・学会・論文の獣医学情報、学会・論文には出ない推測・憶測を含んだ情報を検討すること。

・そして、その中での私の生活。

 が内容だったでしょうか。Pa250073_1

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 1年間で304の記事を書き、(われながら良く書いたもんだ)

149000あまりのアクセスがあり、(どのようにカウントされているのかわかりませんが・・・・・)

1057のコメントをいただいた(感謝!)。P1180031_1

読んでいただいてありがとうございます。

2年目に入りますが、まあぼちぼち続けようと思います。

Photo_210   


Equine Colic by N.A.White その4

2007-02-25 | How to 馬医者修行

P2220118 引き続きWhite先生の講演から。

最近推奨される術後管理方法

・フルニキシンを0.5mg/kgIVを6時間ごと

(しかし、確かフルニキシンを投与しない方が良いという研究報告もあったはずだ)

・DMSOを20mg/kgIV 生理食塩水に入れて12時間ごと

(私は、DMSOの効果をあまり信用してない。もし、本当に有効な薬理作用があるならもっと人医療でも使われるはずだと思う。馬の獣医師だけがこれほど使っているのはヘンだ。)

・リドカインを1.3mg/kg急速投与、その後0.05mg/kg/min点滴

(これはやってみなければいけないかなと考えている。しかし、リドカインは心臓作用薬でもあるので、投与量を慎重に管理しなければならない。また、蠕動亢進作用、鎮痛作用についてもまだ評価は定まっていない。)

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P2220119 疫学調査成績をもとにして、馬の疝痛を予防する方法。

馬を24時間ずっと放牧して、

穀類はいっさい与えず、

寄生虫は駆虫して、

調教したり馬をわずらわせない。

これは、半分冗談であり、会場からも笑いが起きていた。

馬は疝痛の多い動物なのだが、人が作り出している疝痛の要因も多いということだろう。

野生馬にどのくらい疝痛があり、年間どのくらいの率で疝痛で死亡するのか調べた成績はないのだろうか。

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P2220120 講演の最後に、White先生から臨床家へのメッセージ。

馬の疝痛の研究への参加を呼びかけるものだ。

・将来役に立つデータを出そう。

・調査に参加しよう。

・調査し得る記録を残そう。

難しいことではないし、特別なことでもない。

そして、より良い臨床をやっていく上で当たり前のことだ。

     The value of a life dedicated to continued learning

        学び続けることに捧げた人生の価値。

Nathaniel White Ⅱ先生の講演からそれに感銘を受けた。


Equine Colic by N.A.White その3

2007-02-24 | How to 馬医者修行

P2220116 引き続きWhite先生の講演から。

超音波画像診断はかなり強力な診断ツールだ。

以前に比べて、性能が良くなっていることもあるのだろう。

              -

超音波の所見としては、

・膨満

・蠕動P2220115

・腸壁の厚さ

・腹水の存在とその性状(フィブリン、血液、腸内容)

が、スライドに挙げられている。

もちろん、腸の位置の異常を知ることができることもある。

 右上は左腹部で脾臓を超音波で見ている図。

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そういうと、大学生の頃、超音波画像診断装置を始めてみたときは、何をどう見ているのかわからなかったのを覚えている。

あんなもの(プローブ)を当てることで、断面が見えるというのが理解できなかった。

断面を画像で見るというのは、頭の中にそれようのソフトが入ってないと理解できないような気がする。

 しかし、今はほとんどの獣医科大学にCTかMRIがあるそうだ。

今の学生さんは、断面をイメージすることを習ってくるのかもしれない。

 もっとも大動物の体がまるごと入るCTやMRIはまだない。

いずれできるんだろうか?


Equine Colic by N.A.White その2

2007-02-23 | How to 馬医者修行

P2220113_1 引き続き、Wihte先生の講演から。

左図は小腸閉塞の直腸検査を3Dのコンピューターグラフィックで示したもの。

Glass Horse の名で販売されている教育用CDのシリーズのようだ。

 馬の疝痛診断の直腸検査の所見は、いくつかの教科書に載っているが、やはりカラーで、動きまであるCGにはかなわない。

なにせ、脾臓や小腸は触ると形を変えながら動くのだ。

とってもリアル。

膨満した小腸は自転車のチューブのように触れる。

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P2220114_1 左図は結腸捻転。

腹側結腸が背側に変位しているのが直検でわかる。こともあるそうだ。

しかし、360度捻転するとそれは役に立たない。

私は、結腸の捻転や変位を直検で診断する場合、結腸壁の厚さを一番あてにしている。

結腸は固定されていないので、かなりあちらこちらへ変位する。

しかし、触れる所にあって、浮腫を起こして厚くなっていることがわかれば、それは血行障害を示しているので、手術の適応だと判断できる。

                               -

 White先生は、まず脾臓を触り、その後左腎から時計回転方向へ触診していくそうだ。

ああ、私と同じだ。と思ったが、考えてみれば私は15年以上前にWhite先生の教科書で疝痛馬の直腸検査診断を学んだのだった。

                               -

  馬の疝痛の診断は、その疝痛が手術適応なのかどうか判断することを優先する。

P2220117・手術は診断の方法である。

・手術のためではなく、セカンドオピニオンのために病院へ連れて行こう。

・早期に病院へ連れて行くことは生存率を向上させる。

・疝痛の時に外科病院へ連れて行くかどうかあらかじめ決めておこう。

私の地域でもかつてはこれらのことが問題だった。

外科治療ができる施設へ馬を連れて行くのを嫌う。

手術しても助からないと思っている。

だから、手術の決断が遅れる。

それで、開腹手術しても助からない。

こういう悪循環から抜け出さないと、手術適応の疝痛馬を助けられるようにはならない。

前回助かったからまた助かるだろうと思って連れて来られると、それはそれでたいへんなんだけど。