わがままな人なんだろうな、と思う。
やりたいことをする。
それが危険と苦難をともなうことであっても。
やりたくないことはしない。
それが孤独と世間との軋轢につながっていても。
その行動と生き方の潔さが、面白くてかっこよく見えるので、そのエッセイもとても人気がある。
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世界ではじめてカヌー犬と呼ばれたガク。
ペットではなく、相棒として暮らした犬の回想記だ。
「ガクはぼくのペットではなく生活の相棒なのだ。」
「可愛い」とは一度も表現されていないが、とても敬意をもって扱われ、大切にされた。
死んだあと毛皮はチョッキにされ、犬歯は育ての親、椎名誠にゆずられた。
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擬人化などされてないが、この本の中で何度かガクはしゃべっている。
アラスカの荒野で笑って、「文句ない。文句ない。」
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ガクは何度も行方不明になっている。
アラスカでも日本でも。
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ガクは人の手をくわえ気持ちを伝えた。
「椎名にとってガクの犬歯の感触がガクの象徴だったのだろう。」
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12歳になって老境に入ったガクをアラスカへ連れて行くにあたって。
「われわれは安楽に死ぬために生きているのではない。犬も同じではないか。」
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ガクはすくなくとも3匹の雌犬とのあいだに19匹以上の子犬を残した。
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ガクは14歳になってフィラリアの症状が悪化して死ぬ。
決して短命ではないが、フィラリアの予防をしなかったのを野田さんが悔やんでいるのがわかる。
「わかれ」とされた最終章は、抑えられた悲しみに満ちている。
「お前の一生はなかなかのもんだ。」
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このエッセイの中には、西洋と日本、あるいはアジアでの、旅行中での犬の扱いや、変わったことをしている者への対処の差がところどころでてくる。
ひょっとするとそれは、農耕民族と狩猟民族のものの考え方の差なのかとも思う。
集団で農作業し、変わったことをされると村八分にしようとする農耕社会のしばりのきつさ。
一方、変わったことをする冒険者が新しい猟場を見つけたり、獲物をしとめるのを認めてきた狩猟民族。
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「犬の幸福、犬を飼う人間の幸福とはなんだろう。飼い主が犬と一緒に何の拘束も受けず自由に暮らし、遊ぶことに尽きるのではないか。」
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別にアウトドアやカヌーに興味がなくても、犬を飼っている人には読んでみてもらいたい。
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午前中、飛節OCDの関節鏡手術。
午後、私は会議。
来週も続々と関節鏡手術。
飛節のOCDと競走馬の腕節のchip fracture 。