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馬医者残日録

サラブレッド生産地の元大動物獣医師の日々

古い石畳

2011-07-27 | 日常

P7241247ブログを始めるために買ったノートパソコン。

5年5ヶ月使ってきた。

もうRAM容量が不足で、画像表示が遅くて仕方なかった。

ところどころ画像が欠けるようになって、いよいよ危うくなってきた。

いまさらRAMを増設してもWindowsXPのサーヴィスもそのうち終了するだろうし・・・

ということで、ノートパソコンを更新することにした。

キーボードの表面加工も磨り減った。とくに「H」「I」「G」が;笑。

古道の石畳のようだ。

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P7241249新しい機能は別に欲しくない。

指紋認証とか、カメラの前で手を動かすと操作できるとか、声に反応するとか、なんて使ってみようとも思わない。

タッチパネルは・・・・・

あれってタッチパネルじゃない液晶まで指で突くようになりません?

それに画面が汚れるのは嬉しくない。

RAM容量だけは8Gにしたが、それでもまた不足するんだろうな。

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スクロールパッドは面白くて便利。上で指をクルクル回すと上下にスクロールする。

カードスロットが、XDカードが入らなくなった。私には不便。

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新しいパソコンへデータを移したいのだが・・・・・

新しいパソコンにはメールソフトOutlookが入ってない。

今までのたいせつなメールを保存しておきたいのだが。

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日産自動車の国外ブランドは、「大日本なんとかの息子」の意味で本来「DATSON」となるはずだったのだが、

ダッと損する。となってしまうので、「DATSUN」になったのだと聞いたことがある。

FUJITSUは「不実」を気にしないのかね・・・・・笑。

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今日は、繁殖雌馬の喉嚢真菌症の内頚動脈結紮手術。

動脈の奇形で内頚動脈と後頭動脈が一緒に分岐していて、マイクロコイルを入れるためのカテーテルがどうしても内頚動脈に入らなかった。

午後、当歳馬の肢軸異常のスクリュー抜去。

当歳馬の臍ヘルニアの手術。

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110723_150021古い石畳

過ぎゆく時を見てる

どんな恋だって色あせ崩れてゆく

いつの日か この俺も 命尽き果てるなら

あの雲にまかせて遥かに彷徨い歩く

生きていく道連れは夜明けの風さ

作詞 有川正沙子 作曲 寺尾聡

出航


肩関節の骨軟骨症OC

2011-07-25 | その他外科

以前にも「肩跛行」については書いた。

明1歳馬の肩関節の骨軟骨症についても書いた。

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しかし、現役の競走馬とか、一度はかなり調教を進められた育成馬は、肩関節そのものに問題を抱えていることは少ないと思っている。

逆に言うと、肩関節に骨軟骨症を抱えていては、競走したり、「仕上がり」近くまで調教を進めるのは難しいと思っている。

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Shoulderoc2 これは2歳馬の肩関節。

1歳秋に馴致を始めて、調馬索運動で跛行を始めたそうだ。

1ヶ月以上休養したりしながら調教を進めてきたが、騎乗運動を続けると跛行がひどくなるとのこと。

速歩で点頭運動していた。

肩甲骨の尾側縁が分厚くなって突出している。

上腕骨頭の関節面の尾側よりは平坦化している。

平坦化した部分はX線透過性が高くなっていて、骨質が異常なことをうかがわせる。

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Shoulderoc こちらは1歳馬の肩関節。

やはり肩甲骨の尾側縁が突出している。

肩甲骨の関節窩の軟骨下骨にX線透過性が高くなってしまっている部分がある。

昼夜放牧をしていたが、数週間前に跛行に気づいたとのこと。

反対側の肩には異常がなかったが、両前肢とも腕節以下をパドリング(内弧)させる歩様だった。

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同じような病変が、例えば大腿膝蓋関節にあるのに比べると、肩関節の骨軟骨症は跛行も強いし、経過も良くないように思う。

馬は後肢を交互に休ませるが、前肢はいつも体重を支えていなければならない。

そして、走るときも、後肢より前肢の方が負荷が大きいことが研究で証明されている。

治療するとすれば、

関節鏡手術で異常な軟骨や軟骨下骨を掻爬したり、

肩関節にヒアルロン酸を入れたり、

症状を抑えるならステロイドを入れたりすることが考えられるが、

肩関節を構成する骨が変形してしまっているのは直せないし、

調教や競走を始めなければいけない月齢になっていては、半年あるいは1年というような長い休養期間を待ってやることは難しいだろうと思う。

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今日は1歳馬の飛節のOCDの関節鏡手術。

第一趾骨の粉砕骨折の診断と予後判定。

現役競走馬の去勢。

夕方、当歳馬の尻の外傷。立位で縫合。

Dsc_0512_2

 


コイは・・・・・

2011-07-24 | 日常

110723_145337本州だと池というと鯉が飼われているが、北海道ではあまり鯉が放されている池は多くないように思う。

ここの鯉は生命力旺盛で、迫力だった。

「手をポンポン」で寄って来る・・・

なんてものではなくて、人影がそばに来ると水中プロレス。

奥まで見えるほど開いた口は大迫力。

コイには胃がないらしい。

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110723_145238 餌を持っている娘より私の影に集まるようだった。

いつも餌をやっているのが「おじさん」なのかもしれない。

「鯉は視力があまり良くないらしいよ」と娘。

「コイは盲目ってやつか?」

鯉というより魚全体が視力が良くないのかもしれない。

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日本では愛されているコイだが、海外では外来種として問題になっているようだ。

生命力が強く、地元の固有種を駆逐してしまう。

ちょうど日本におけるブラックバスと同じように扱われているらしい。

鯉はいいじゃない。と思うのは日本人の感覚なんだろうな・・・・

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今日は、競走馬の腕節の関節鏡手術。なんと3回目。

新たな骨折片もあったが、変形性関節症でできた贅骨や骨棘も削る。

関節腔の外にも骨増勢がある。

「全部削って欲しかった」なんて言われるのかもしれない。

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110724_174134


涙しんしん湧くごとし

2011-07-23 | 馬眼科学

P7121207_2 「ダムが崩壊したように涙が・・・・」

と言われても、状態を想像できなかった。

上眼瞼を引っ掛けて切ることの方が多いように思う。

この仔馬は、下眼瞼を引っ掛けて切ってしまったが、

ごく小さい傷だったので、放っておいたのだそうだ。

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眼瞼はきちんと縫合して再建しないと、風が吹いただけで涙を流すようになってしまう。とされている。

上眼瞼の眼瞼縁には睫毛があり、それがなくなることで・・・などと漠然と考えていた。

公営競馬獣医師協会版「馬医者のための眼科学」によれば、

馬の睫毛は太く、上眼瞼縁のみにあり下眼瞼にはない

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Brooks先生によるこの本は、眼瞼の機能についても書かれていていて、

眼瞼にはいくつもの重要な機能がある。眼球の保護、角膜前涙液層の産生と流通、乾燥からの角膜の保護、涙点への涙液の汲み入れ、眼に進入する光量の調節である。

下眼瞼の縁が欠損すると、<角膜前涙液層の流通>に問題が起き、乾燥からの角膜の保護に問題が起こるわけだ。

まさしく、涙ダムの決壊かもしれない。

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さらに、

<外傷性眼瞼裂傷>に、<眼瞼機能を保持するためにに、できるだけ眼瞼縁を温存するのが非常に大切である。>とある。

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P7121212_3で、新鮮創を作り、眼瞼縁を再建した。

もう涙を流さずに済むかな。

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 永日

野にあるときもわれひとり

ひとり、たましいふかく抱きしめ

こごゑにいのり燃えたちぬ

けふのはげしき身のふるへ

麦もみどりを震はせおそるるか

われはやさしくありぬれど

わがこしかたのくらさより

さいはひどもの遁れゆく

のがるるものをおうなかれ

ひたひを割られ

血みどろにおののけど

たふとや、われの生けること

なみだしんしん湧くごとし

                  室生犀星


獣医師会って?

2011-07-22 | 学会
朝、眼が覚めて「ああ、今日は休みだ」と思い、ホッとする。
明日も休みだ。
二日続けて休むのは・・・正月以来だろうか?
世の中には、毎週週休二日という人もいるのだろうが。
                        -
といっても、昼から獣医師会の会議。
公益法人化の話と、来年2月の日本獣医師会年次大会の話題。
公益法人化の話は会の財務と会計処理に関連している。
どの府県も狂犬病予防注射が獣医師会の大きな収入であり事業なのだが、利権にもなっている。
「獣医師会とは何か?」ということを考えるとき、それはできれば獣医師全員が加入する団体であるのが望ましく、また社会に貢献できるものであるべきだろう。
狂犬病予防注射の利権団体であって良いはずはないのだが、
会の運営にかかる経費が狂犬病予防事業に依存しているようでは、いつまでたってもひずみは解消できないだろう。
それでも、獣医師として活動するかぎり獣医師会には加入すべきだと思うのだが、如何?
                        -
来年2月3-5日、札幌での日本獣医師会学術大会では、いくつもの公開講座やシンポジウムが行われるのだが、馬のセッションはない。
「北海道でやるのに馬がないじゃないか」との声も聞こえてくるのだが、テーマとして取り上げるなら会場1つを一杯にして、講演者・パネラーもそろえなければならない。
私も今まで日本獣医師会の年次大会に参集したのは、受賞講演に行った2回だけだ。
いずれのときも、馬関係者の集まりはなかった。
来年は、日本獣医師会の学術大会がせっかく北海道で行われるので、馬の発表も一般口演としてたくさん出してもらうと良いと思う。
どうせ馬の演題は馬だけで集めて発表させられることになるだろうし、道外からの参加者も含めて盛り上がるなら、今後その学会に馬関係者も参集する機会になるだろうと思う。
 札幌雪祭りは6日からで、「航空券やホテルも雪祭り価格ではありません」とされているが、
「どうぞ雪祭りも観て行って下さい」ということでこの日程にしたんじゃないの?
もっとも私も北海道へ来て30年以上になるが、札幌雪祭りに行ったことはない;笑。
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明日から相馬野馬追が今年も開催されるようだ。
今年も。
ということが大切なことなのだと思う。