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馬医者残日録

サラブレッド生産地の元大動物獣医師の日々

徒労・無駄な努力・悪あがき

2013-07-31 | 急性腹症

私が使っているプロバイダーOCNのトラブルでしばらく更新できなかった。

まだ本来の問題は解決されていない。

有料サーヴィスなんだからしっかりしろよNTT!

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その間、疝痛馬が多かった。

130725_082858休みの朝、相棒と散歩に行こうとしたら、馬運車が停まっていて、

中からガタガタ音がする。

疝痛馬が重なって来院したんだなと思い、

散歩を切り上げて手術室に行く。

1頭目は結腸捻転でひどいようで、次の馬も待っているので手術を手伝う。

結腸のダメージはひどく、とくに根元の状態が悪い。

そこは結腸を亜全摘しても切除できない部位だ。

しかたないので、結腸を温存してダメージが回復する方に期待する・・・・

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次の馬は1歳馬。

やはり朝、厩舎へ行って疝痛を発見したらしいが、全身擦過傷だらけ。

小腸捻転だったが状態悪く、あきらめる。

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朝、相棒と散歩中に電話が鳴って呼び戻される。

当歳馬の疝痛。

4ヶ月齢の仔馬をソルビーシロップで駆虫したらその夜から疝痛を示し、今朝になっても痛いとのこと。

開腹すると案の定、死んだ回虫が小腸に詰まっていた。

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昼前からの、繁殖雌馬の疝痛。

昼に来院したときにはPCV70%超。

それでも時間が早いので回復するかと考えたが、結腸の損傷はひどい。

実際には夜間放牧明けの朝に厩舎に入れてまもなく痛くなったらしい。

助ける方法は結腸切除しかない。

3時には手術は終わった。

4時半になっても起立できなかった。

手術中に16?輸液されている。

しかし、口粘膜は紅潮。

高張食塩水を2?、ついで酢酸リンゲルと5%ブドウ糖を併せて8?輸液する。

さらにボログルコン酸カルシウムを投与する。

口粘膜の色は肌色になって、馬は2度起立したが倒れこんでしまった。

馬は寝たまま頭を振るので、留置したカテーテルも抜けてしまった。

覚醒室で持続点滴を開始する。

夜8時まで20?を輸液するが排尿しない。

手術中から合計46?輸液したことになる。

輸液をはずし、起立介助用のロープもはずして、覚醒室の扉も閉めてあとは馬にまかせることにした。

するとすぐに立った。

が、また倒れてしまった。

そして、夜9時、また起立した。

今度は歩くこともできるようなので入院厩舎に移動させようとしていたらまた倒れてしまった。

そして、夜中2時、死亡した。

せめて全身状態がもう少し良ければなんとかなったかもしれない。

あきらめてしまうのと結果はかわらなくても、無駄な努力だったとは思わない。

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P7274665
毎朝、露草で濡れて泥だらけになる。

おまけに泥の中を走るの大好き!

こいつをきれいにしてやろうというのは・・・・

無駄な気がして・・・・・


牛白血病フリーをめざさないのか?

2013-07-25 | 感染症

きのうは札幌で会議。

かなりの時間は牛白血病の対策が必要だという提案を北海道獣医師大会ですることについて費やされた。

牛の地方病性、あるいは流行性は牛白血病ウィルス Bovine Leukemia Virus の感染によって起こる。

しかし、このウィルスは人には感染しないし、人にはなんの健康被害も起こさない。

が、白血病は人でもあるし、「白血病」という呼び名が恐ろしげなので、乳製品や牛肉の消費が減る風評被害が起きないか心配する関係者もいる。

一方で牛白血病ウィルスは日本の牛に蔓延しつつあり、感染率、抗体陽性率は増加し続けていると考えられている。

聞くところによれば肉用種で4割、乳用牛で3割が抗体陽性だろうと推測されているそうだ。

牛白血病ウィルスに感染してもすぐ白血病を発症するわけではなく、数年を経て一部の牛が発症する。

だから発症牛を淘汰しているだけではウィルスの蔓延は防げず、今のところ、抗体陽性牛から同居牛が感染するのを防ぐことと、抗体陽性牛のできるだけ速やかな淘汰が望ましい。

しかし、何の補助も支援策もない状況では、抗体検査も、抗体陽性牛の淘汰も、農家の負担で行うしかなく、積極的かつ有効な対策はほとんど取られていないのが現状だ。

だから、対策が必要であることを提案しようということなのだが・・・

今回集まった委員のみなさんからは、国として牛白血病の撲滅・清浄化を目指そう。それが必要なことを訴えようという意見はなかった。

家畜共済制度の中で廃用基準をどうするとか、

公的支援を求めることの是非とか、

農家ごとの対策も必要だとか、

具体的方策についてのあれこれについての意見のやりとりばかりだった。

どうして、イギリスやデンマークができたことを日本ではできないと端からあきらめてしまうのだろう。

国の財政が厳しいとか、畜産の位置づけが低いとか、どういう具体的方策を採るのが有効で、どれだけの経費がかかるとかいうことは獣医師会で考えることではなく、

今は牛白血病対策が必要とされていて、それには国が動くことが必要だ。ということを提言すべきではないかと、委員のひとりとして思ったことであった。

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かつて馬が今よりはるかに頭数が居て、輸送手段としても産業上も大切な存在でもあった時代から馬伝染性貧血(やはりウィルス感染で起こる)は対策として摘発淘汰が法律で行われてきた。

その感染馬の摘発は信頼性に乏しい方法であった時代もありながら、伝染性貧血馬は減少し、ついにほとんど撲滅されるに到っている。

清浄化すれば、摘発の検査も感染防止も大幅に手をゆるめることができる。

完全清浄化でなければ永遠に検査と感染防止対策を取り続けなければならない。

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ついでに言えば、牛の「白血病」は世界的に「白血病」と呼ばれてしまっているが、

本来「白血病」とは「骨髄を主な病変として血液系細胞が異常な増殖をする疾患」とされているので、

このウィルスによってリンパ節が腫瘍塊化する牛ウィルス性白血病は、「白血病」と呼ぶべきではない。

ただ、世界的に「牛白血病 Bovine Leukemia」という病名がいきわたってしまっているので、病名を変更するのは簡単ではないだろう。

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P7244653 札幌の街なかではJazzフェスティバルが行われていた。

夏の空の下、生で聴く音楽♪は好いものだった。

ゆっくりしてられなかったけど。

change the world

Baby if I could change the world ・・・・・・・

  


橈骨遠位のLimb Perfusion

2013-07-22 | 感染症

日曜日、飛節のOCDと言われた馬のX線撮影をし直す。

異常はないようだ。

飛節軟腫(下腿足根関節の滑液増量;こういうとなんか違うネ)はあるのだが、どうも肢を捻ったらしい。

それもかなりひいてきているとのこと。

手術必要なし。と判断した。

                         -

P7214636 Rhodococcus equi肺炎を1ヶ月近く治療し、治癒して夜間放牧もしていたら腕節が腫れて痛くなり、X線撮影で橈骨遠位成長板に骨髄炎と思われる透過像が見つかった当歳馬。

肘の遠位で駆血してlimb perfusion 肢灌流治療を行う。

静脈に抗生物質を押し込むと逆流して駆血部位より遠位が抗生物質漬けになる。

そのまま20分間待つ。

組織中の抗生物質濃度が、全身投与するより高くなる。はず。

骨の中には骨の血管孔からしか血液は行かない。

これで果たしてどれくらい病巣内の抗生物質濃度が上がっているか基礎実験データはみたことない。

それでも、やってみたほうがいいだろう。

細菌性骨髄炎はとても恐ろしい病気だ。まして原因菌がRhodococcus equi なら。

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午後は、肢軸異常のシングルスクリュー成長板阻害手術。

そして、1頭は肢軸異常のスクリュー抜去手術。

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P7104588 北海道へ来て35年。

はじめて扇風機を買った。

もちろんエアコンは買ったことがない。

(車は別)

ためしに回してみたけど、今のところまだ使ってない。

やっぱり要らないかな。

朝夕は涼しいんだし。

あの大阪の寝苦しい夜、そして朝からうだるように暑い夏を思えば、避暑地にいるようなもんだ。


土曜日はにぎやか

2013-07-21 | 日常

関節鏡手術。と思っていたら当歳馬の疝痛の連絡。

来院してもまだ痛く、超音波で小腸の完全な膨満が確認された。

ひどく痛いわけではないので、重積か、寄生虫や食塊による閉塞を疑うが、もう決断した方が良い。

結局、空腸が食塊で詰まっていた。

手術は1時間足らずで終わった。

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10時半の予定は1歳馬の後肢の跛行。

常歩では回転運動をさせてもはっきりとしない跛行。

良い日と悪い日があるが、もう1週間以上跛行が続いているとのこと。

速歩させると・・・・かなりの跛行。

「後膝から撮りましょ」

大腿骨内顆の骨嚢胞だった。

そのまま全身麻酔してトリアムシノロンを病巣内注入する。

                          -P7204631

続いて、飛び入りの外傷。

夜間放牧明けに発見された。

すっかり傷が乾いてしまって、露出した部分は変色していた。

すでに腫れてもいる。

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続いて、1歳馬の胸膜肺炎。

長距離輸送されたわけでもないのに馬が胸膜肺炎を起こすことは珍しい。

が、たまに当歳馬や1歳馬でもある。

胸腔穿刺して胸水を抜く。

家畜共済の点数上は、診断のための胸腔穿刺は診察に含まれる。となっている。

馬鹿な話だ;怒。

                         -P7204632

そういうと血清生化学分析装置の納入・設置の日だった。

運送会社さん、メーカーの方、業者さん、それぞれ業種の違う人のプロの仕事が観れて興味深い。

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午後は関節鏡手術。

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夕方、肢軸異常のスクリュー抜去手術。

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P7214647いいね~このログハウス。

窓から風も入って、涼しいね~

P7214644 いいから、いいから

そんな舐めまわして歓迎してくれなくて

いいから


川修行

2013-07-17 | ワンコ修行

きょうは、1歳馬の飛節OCDの関節鏡手術。

当歳馬の肢軸異常を手術後の経過観察。

午後は、血液検査業務をこなして、

当歳馬の肢軸異常のスクリュー抜去手術。

1歳馬の臍ヘルニアの手術。

繁殖雌馬の胸部の大きな腫瘤の再診。

当歳馬の肢軸異常のスクリュー抜去手術。

きょうは涼しくて、肌寒いくらいだった。

例年このレポジトリーの頃にはアブが発生していて気になるのだが、今年はとても少ない。

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P7154626 休みの日、相棒と川へ修行に行って来た。

カヌーをスタート地点において、ゴール予想地点まで車で戻り、

そこからスタート地点までサイクリング。

もっともそれは人だけで相棒はひたすら走る。

これは1回目の休憩の図。

                          -

P7154628 そのうち勝手に草むらに入って休憩するようになった。

水を飲ませて、体にも水をかけてやるが、ブルブルして水気を切ってしまう。

濡れてた方が涼しいんだけどな~

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P7154630 この川は日本一の清流の支流。

地域の水道の水源にもなっている。

以前から砂防ダムがある。

あまり役にたっているとは思えないのだが、その砂防ダムは改修工事中だった。

これもアベノミクスかね。

体を水に漬けて涼む相棒。

ついでに用足しをしているように見えるのは気のせいです;笑。

                         -P7154633

このところ各地で水の事故が起きている。

水辺へ遊びに行くときはPFD Personal Floating Device を!

救命胴衣。というと事故のときの救命だけが目的になってしまうが、PFDを着けていると水に浮けるので遊ぶこと自体を面白くできる。

ワンコだってPFD.

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P7154637 水はチョーきれい。

おまけに泳いでも冷たくも寒くもない。

シュノーケルも着けてみたが、魚の姿は見えなかった。

釣り人が多すぎるのだ。

P7154638       -

相棒はまだ好んで泳ぐというわけではない。

カヌーにおいていかれそうになったり、おもちゃを投げられたり、

父ちゃんが泳いでいると恐々泳ぐだけ。

特訓するスイミングプールが欲しいね。

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水はきれいだったが、川下りには水量が不足でずいぶんカヌーを引張って歩かされた。

P7154640 おかげで腕も肩も背中も腹筋も足腰もヘロヘロ。

泳いで遊んでいた時間も含めて8kmほどを4時間の川下りだった。

頑張ったイイ子にはとくべつご褒美!

ソフトクリーム初体験。

P7154641 なんじゃコリャ?

食べれるのか?

ペロッ

そのあとはスプーンごとかじって放しませんでした;笑。

P7154639