胎便停滞について Equine Neonatal Medicine から。つづき。
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胎便停滞は雄仔馬で起こり易いことや、妊娠期間が340日以上であった仔馬で起こり易いことが示唆されてきた。
著者の知る限り、出生時の浣腸の予防的使用は胎便停滞や胎便便秘を予防するとは思えない。
胎便停滞の仔馬は飲乳意欲をなくし、排泄しようといきみ、すこし背を丸めた特徴的な立ち方をし、しばしば尾を振り回す。
指を入れると直腸に胎便に触れるかもしれない。
疝痛、腹囲膨満、呼吸数増、落ち着きの無さ、心拍数増、がよく報告される臨床症状である。
消化管の蠕動音は普通は聞こえ、閉塞の信頼できる症状ではない。
胎便は普通、腹部単純あるいは増影X線撮影や超音波画像により判断される。
より重度の閉塞では、大量のガスが閉塞部より近位の大結腸に貯まる。
膀胱破裂が胎便停滞でいきみすぎる仔馬で起こるかもしれない。
さらに、広げられた粘膜の損傷は細菌の侵入と二次的な敗血症につながる。
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この著者も、
To the author's knowledge, prophylactic use of an enema at birth has not been shown to prevent meconium retention or impaction.
著者の知識では、出生時の1回の浣腸の予防的使用は胎便の停滞や便秘を予防するとは思えない。
と書いている。
しかし、胎便停滞すると、膀胱破裂しやすいかもしれないとか、全身性の感染を起こし易いかもしれない。と書いている。
膀胱破裂はともかく、全身性の感染の誘因になることについては実証されうる根拠はないのだろうと思う。
胎便停滞した仔馬が感染を起こし易かったとしても、この著者も書いているように、もともと弱い仔馬や感染があった仔馬が胎便停滞の症状を示したのかもしれない。
これは、私の、それも根拠のない推測だが、仔馬が自分で努力する自然なお産は胎便の排泄をうながすのではないだろうか。
難産では子宮の中で胎便を排泄してしまう仔馬がいる。
それは羊水の胎便による汚染と誤嚥につながるので望ましいことではないが、低酸素と運動が胎便排泄の要因になるのだろう。
初乳の吸引もそうだが、人に引っ張り出されるお産ではなく、自分で這い出てくるお産の方が胎便が出やすいのではないだろうか?
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分娩は、監視カメラで見るだけにして、厩舎へ行くのをやめたという牧場もある。
母馬が神経質になって子馬を寄せ付けなくなったりすることがなくなったそうだ。
仔馬に浣腸をするのをやめた牧場もある。
別に胎便停滞が増えはしないそうだ。
さて、「慣習」「伝統」はときに見直してみる必要がある。
どう思いますか?
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朝、電話で起こされた。
てっきり入院馬の輸液がなくなったのかと思ったら、
ぜんぜん別な仔馬の疝痛の依頼だった。
来院しても転がりまわってただ事ではない痛がり方。
22日齢。
フルニキシンを投与して効かず、
メデトミジンで鎮静しても、覚めたらまた痛い。
しかし、血液検査でひどい異常はなく、
超音波でも蠕動亢進のみ。
ロタは陰性。
ブチルスコポラミンで過剰な蠕動を抑える方法もあるが、膨満してくと嫌なので投与せず様子を観る。
発症から2時間半。
痛みはケロッと落ち着いた。
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今日は日中、冷たい雨。
きのう、おとついは風が強かった。
寒いゴールデンウィークだ。
仕事しなければいけないんだから、せめて晴れて暖かい好天であって欲しい・・・
あんまり好い行楽日和だと、それはそれで恨めしいんだけどね;笑。