goo blog サービス終了のお知らせ 

馬医者残日録

サラブレッド生産地の元大動物獣医師の日々

「電通マンぼろぼろ日記」

2025-01-26 | 図書室

私が大学を卒業する頃、博報堂や電通といった広告代理店は学生の就職希望企業の上位にランクされていた。

もっとも獣医科学生だった私はそんなことに興味もなく、知りもしなかったけど。

これは私よりいくつか年下の電通に長く勤めた人が、新入社員時代から激務の中で飛び回るようす、広告業界の異様な?仕事の進め方、そして定年前に退職したようす、家庭が崩壊し自己破産までするようすを書いている。

登場人物は仮名ということになっているが、関係者には誰のことかわかってしまうだろう。大丈夫なのか?

企業名やタレントも私でも想像がつく。

今、問題になっているN君も登場するよ。

             ー

電通は広告代理店の最大手だが、その業務の内容や社員の働き方には非常に問題がある(あった?)

過労死する社員が何名も出たし、

東京オリンピックにまつわる汚職と不正とも密接な関係があった。

             ー

私はカヌーに乗っていた頃、広告代理店のサラリーマンたちが忙しい仕事の合間を縫って各地でカヌーによる川下りをするシリーズ本を好んで読んでいた。

徹夜の仕事明けに河原へ向かい、激流で”沈”しながらヘトヘトになるまで遊び、焚き火臭い体のまま東京での勤務に戻っていく様子が書かれていた。

             ー

広告業界、コマーシャル、宣伝、というのがどうしてこういう業界なのかはわからないが、商品の販売にはとても効果があり、巨額の費用が費やされる一方で、予想も評価も難しいことに一因があるのだろう。

そして流動的で、目新しいもの、変わったものが好まれ、同じものが評価され続けることはなく、次から次へと斬新なものが好まれるので忙しい。

サラリーマン転覆隊の面々が、カヌー本には描かれない部分でどのような仕事をしていたのか、この「電通マンぼろぼろ日記」を読んで知ることができた。

             ー

ぼろぼろ日記を読んで知ったのは、この作者の仕事がたいへんなのは広告という業務の本質によるものではなく、

クライアント(広告主)、メディア(新聞、テレビ・ラジオ)、クリエイター(?)、そして様々な電通マンなどの人間関係によるものだということだ。

             ー

やがて作者はアルコールに溺れるようになり、会社で左遷され、家庭は崩壊し、離婚し、自己破産していく。

本人のだらしなさ、社会人としての脆弱性と責められるか?

別れた奥さんへの一文が後悔の深さを表していた。

             ー

この本はシリーズもののようだ。

メガバンク銀行員

住宅営業マン

大学教授

介護ヘルパー

タクシードライバー

消費者金融

ディズニーキャスト

コンビニオーナー

派遣添乗員

障害者支援員

ケアマネージャー

交通誘導員

コールセンター

非正規介護職員

マンション管理人

バスドライバー

保育士

メーター検針員

出版翻訳者

警察官

などがある。

読めば社会勉強になるかもしれない。

(このシリーズの中でも「電通」と社名が出ているのは特異だ)

「馬医者〇〇△△日記」もいけるかな;笑

「ヨレヨレ」「テゲテゲ」「よちよち」「のろのろ」「ヨボヨボ」「オロオロ」「はらはら」「もやもや」「ヘトヘト」「ざわざわ」「ごたごた」「ぎりぎり」「こそこそ」「ぺこぺこ」「ずるずる」

さあ、どういう表現が適切ですか?

           ////////////////

1/23 5cmほど新雪が降って、やっと冬景色になった。

冬はこうでなくっちゃ。

と思っていたら、日中は暖かくなり、積もっていた雪も融けてしまった。

ほんとに気候がおかしいよ。

トランプさん、パリ協定離脱してる場合じゃないよ。

USAだって無事じゃないと思うぞ。

 

 

 

 


日本では馬にエリスロは禁忌

2025-01-24 | 馬内科学

新しく届いた北海道獣医師会雑誌に、馬にエリスロマイシンを経口投与したら抗生物質誘発性腸炎で死亡した事例が短報として掲載されている。

乗馬クラブでの事故で、27歳のサラブレッドが鼻炎の症状を示したためにオーナーが餌に混ぜてエリスロマイシンを与えた。

8日間、2g、1日2回。

この馬は腸炎を起こし、発症翌日に死亡。

他は、この馬の食べ残しを与えられていたサラブレッドたち5頭。

やはり腸炎を起こし、うち4頭が死亡した。

           ー

こんなことが起きるんだな。

馬は抗菌剤に弱い。抗菌剤誘発性腸炎を起こすとかなりの率で死亡する。

エリスロマイシンは注意しなければいけない抗菌剤で、特に日本の馬はエリスロマイシンに弱い

抗菌剤は獣医師の処方がなければ簡単には手に入らない。

このオーナーがなぜエリスロマイシンを選択し、どうやってエリスロマイシンを手に入れたのかは書かれていない。

自分の馬だとしたら違法行為ではないが、馬たちには可哀想な結果になった。

            ー

獣医さんたちは知ってるよね?

USAの成書やネットで調べて、海外で推奨されている抗菌剤を馬に投与しても腸炎を起こすことがある。

抗菌剤誘発性腸炎は、少々の輸液などでは対処できない。

事後の対応のためにもClostridioides difficile調べておく必要がある。

            ー

悲しい事例報告なのだが、啓蒙の意義は大きい。

報告してくれた先生がたに敬意を示したい。

          ///////////

またマウントレースイへスノボに行った。

平日だったのでガラガラだと思っていたら、地元の小学校、高校がバスで来ていて賑わっていた。

せっかく近場にスキー場があるのだもの、団体でスキー・スノボを教えてもらうのはとても良いことだ。

でも、立って並んで話を聞かされている時間が長いな。

水泳も、自転車も、スキーもスノボも、本を読んでも、話を聴いても上達しない。

もっとどんどん滑らせてやれよ、と余計なお世話を感じていました;笑

馬の臨床もそうかも?

 

 

 


送別会 happy retirement

2025-01-20 | How to 馬医者修行

もう職業人としても馬医者としても、ひっそり静かに消えていきたいと思っていた。

数年前からほとんどの公職もほかの人に引き継いでもらい、会議やミーティングにも出ないで済むようにしてきた。

送別会の話を聞いたときも、大げさにしないで、私の引退をダシに地元の獣医さんで集まって新年会代わりにやってもらえば、と思っていたのだが・・・・・

盛大な集まりになってしまった;笑

遠くは鹿児島、群馬、モンゴルから。

たいへん光栄で嬉しいことだったが、たいへん恐縮もしています。

           ー

40年を振り返ることは簡単にはできませんが、

獣医師になった頃は、馬臨床家としても社会人としても生意気なだけでひどいもので、多くの牧場さんや先輩獣医師や、馬たちに迷惑をかけました。

それでも暖かく育てていただいたことにたいへん感謝しています。

いくらか診療ができるようになってからは忙しく働かせてもらいましたが、まだ環境も整っておらず、その中で強引に先を目指してきたので、周りの人はたいへんだったかもしれません。

骨折や、腸捻転や、お産の事故や、仔馬の病気で、どうしようもないとあきらめられていたものをなんとかしたかったのです。

少しずつ成果があがり、それぞれの病気や事故をなんとかできるようになってからは、JRAや地方競馬の先生方、乗馬の獣医さんたち、日高以外の地域の先生方とも交流できるようになり、それもまた嬉しいことでした。

40年を振り返り、今は感謝しかありません。

            ー

北海道のNOSAIの新人獣医師は江別の研修所、かつては家畜臨床講習所へ1ヶ月から2ヶ月の研修に出してもらうのですが、

私が研修に行った頃は、吉田康幸所長でした。

たいへん朴訥とした先生でしたが、

「君たちは良い仕事を選んだね。一生懸命やればこんなに喜んでもらえる仕事はないよ」

と言って下さいました。

その言葉を胸に40年やってきました。

自分がどれだけ一生懸命やれたのか自分ではわかりませんが、この40年は馬臨床獣医学や獣医衛生学が非常に進歩した時代でした。

その中での仕事はエキサイティングで面白かったです。

やりがいを感じながらやってこれましたし、とても充実していました。

きつい仕事でもありましたが、とても楽しい40年でした。

たいへんお世話になりました。

40年間、ほんとうにありがとうございました!!

           ーーー

自分のスマホやカメラでは撮らなかったので、送ってもらった写真しか手元にない。

北里大学名誉教授高井先生。私の恩師である。

2026年7月、Rhodococcus equiの国際シンポジウムが静内で開催される。2025年のデータをまとめないと抄録提出に間に合わない。

生産地として、聴講するだけでなく、調査研究成績を示して、世界の臨床家、研究者と積極的に交流、意見交換してもらいたい。

地元獣医師会会長の荒川先生。私の戦友でもあった。

田上先生。

いつも私の目標であり、ちがう場所で同じ仕事をする仲間でもあった。

JRAの、そして元JRAの先生方。

やはり日本の馬獣医学においてJRAの果たす役割は大きい。今までも、そしてこれからも。

シークレットゲストと;笑

二人で素晴らしい記念品までいただいた。

当夜参集されなかった多くの方からも協賛をいただいた。ほんとうにありがとうございます。

            ー

何人もの方から花やお土産やお餞別までいただいた。お酒も;笑

恐縮しています。ありがとうございます。

二次会の最後の記念撮影。

最後にもう一度。

とても充実した、たいへん楽しい40年でした。

お世話になりました。ありがとうございました!!!

 

 

 


ヘルメットの「MIPS(ミップス)」とは?

2025-01-16 | 競馬

引っ越しで倉庫を片付けたとき、いくつもヘルメットがあって自分でもあきれた。

バイクに乗っていたときのフルフェイス。

登山していたときのロッククライミング用。

トライアスロンに出ていたときの自転車用。古いのはただの発砲スチロールを袋状の布で包んだもの。新しいのは、発砲スチロールを樹脂でコーティングしたもの。

カヌーや乗馬のときには、この新しい方の自転車用ヘルメットを使ったりしていた。

特に危ないスポーツを好んでやってきたつもりはないのだけれど・・・・

           ー

最近手に入れたのはスキースノボ用;笑

プロのインストラクターが逆エッジで後頭部を打つのを動画で観て、スノボにはヘルメットが必須だと思うようになった。

そして実際一度、逆エッジで後頭部を打ってヘルメットに救われた。

           ー

競馬の騎手が使っているヘルメットはこういうものらしい

ヘルメット専門メーカーが開発に関わった、とされているが・・・・MIPS対応とは紹介されていない。

           ー

MIPSって何?

あなたを守る最新ヘルメットテクノロジー「MIPS(ミップス)」とは?

           ー

乗馬用でもMIPSに適合したヘルメットもある。

これは41,250円、そんなに無茶に高くない。

           ー

高速で走り、蹄鉄を着けた馬の集団の中で落馬する可能性がある競馬の騎手は、頭部へ硬い蹄が当たる、食い込む損傷を受ける可能性もある。

カーボン製の乗馬用ヘルメットもある。

261,250円!

カーボンは今や軽くて、最も強度にすぐれた素材なのだろう。

かつて「走る棺桶」とさえ呼ばれたF1のレーシングカーは改良に改良を重ねて安全対策がとられてきた。

事故が起こるとタイヤが車体から外れることで力が分散され、

F1パイロットが乗り込んでいるコクピットはカーボンで造られていてドライバーを守る。

ドライバーは車体が燃えることに備えて不燃性のバラクラバを被っている。

それでも死亡事故は起こりうるのだが・・・・・・

私はアイルトン・セナと同い年生まれなんだよ。

             ー

話がそれた。

少しでも対策がとられて、騎手の事故が減ることを願っている。

            //////////////

地元獣医師会の総会があり、ちょっとした講演をさせていただいた。

仕事中は、想い出話をしない、あいまいな話やいい加減な記憶で症例や調査研究の話をしない、をモットーにしてきたつもりだったが、今回だけは想い出話をさせてもらった。

宿泊を用意してくれて、オーシャンビューの部屋に泊めてもらった。

YOGIBOも初体験!

いいな、これ。