この子牛の骨折は、DRで撮った画像を、モニターをスマホで撮影し、私のスマホに送ってもらったので形状は把握していた。
どの骨がどのような折れ方をしているかを把握していればプレートを含めた器材の準備や、
固定方法の技術的な検討も事前に可能になる。
デジタル機器のおかげで便利な時代になったものだ。
こちらは手術台上で撮り直した画像。
橈骨骨幹近位よりの横骨折だ。
尺骨も短斜骨折している。
牛は尺骨が発達しているぶん橈骨が細い。馬に比べて、だ。
内-外像で見ると、であって、牛も尺骨は薄い板状だ。
だから、この橈尺骨骨折を内固定するには橈骨にプレートを当てる。のだろう、いまだに牛の橈尺骨骨折をどう内固定するか定説は確立されていない、というか議論されているのを読んだことはない。
この新生子牛は37kgだった。
ナローDCP 1枚で強度的には大丈夫だろうと判断した。
前腕の橈側手根伸筋の内側に沿って切皮した。
橈骨神経を探すが無事を確認できなかった。
7孔ナローDCPを当てて、X線撮影してみる。
近位が短くて3孔にプレートスクリューを効かせるのが厳しそうだ。
プレートを良い位置に乗せて、プレートスクリューを橈骨の中心を通るように入れることもたいせつ。
DCPだとプレートスクリューを入れる角度に自由が効くのだが、6.5mmキャンセラススクリューだと斜めには入らない。
プレートスクリューを尺骨まで伸ばす方法もあるか?と考えた。
しかし、尺骨と橈骨を固定してしまうと、橈骨と尺骨で形成されている肘関節に成長に伴う変形が起きることがあるようだ。
それで、尺骨までプレートスクリューを届かせるのは避けた。
一番近位に6.5mmを入れた。
ちょうど成長板の位置になったこともあり、ドリリングしていても骨が柔らかい。まだ一度も荷重されたことのない胎仔の骨だ、仕方がない。
完全には締めないでおいて、骨折部の遠位に4.5mmをload position で入れてcompression をかけた。
近位の6.5mmを締めてcompression を強くした。
近位から2番目に6.5mmを入れて、少し変位が残っている近位部をプレートへ引きつけた。
この2本の6.5mmの先は尺骨の内側で橈骨の尾側皮質にも効いている。
遠位部のプレートスクリューも6.5mmを使った。
DCPは橈骨の頭側やや内よりに乗り、プレートスクリューは橈骨の軸近くを通り、尺骨の内側で対側皮質を貫いている。
近位から3本目のプレートスクリューは骨折線近くに入れるしかなかったが、近位向けて入れて対側皮質には効いた。
これで、骨折近位部に6.5mmが4ポイント、4.5mmが1ポイント効いている。
37kgの新生子牛だから強度は大丈夫なはず。
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飼主さんは、母牛から離して人工哺乳で育てるという。
人工哺乳なら子牛は伏臥したままでもミルクを飲めるだろうし、寝起きの回数も少なくて済む。
術後もvelpeau sling 固定しようなどとは思わなかった。
外固定せず、子牛の生活を制限しないで済むのがプレート固定の大きな利点の一つだと考えている。
to be continued, I don't want to continue .......
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成果を期待されていながら敗れる有名選手もいるし、
注目されていなかったのに結果につながる選手もいる。
金メダルでなかったと悔しがる競技の選手もいるし、
銅メダルで大喜びの選手も居る。
いずれにしても、本気の修練を積んだ年月が見えるから感動を呼ぶのだろう。
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しっかり雨が降った。
よかったよかった良い雨だ。