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馬医者残日録

サラブレッド生産地の元大動物獣医師の日々

最大級のkeratoma

2021-12-15 | 蹄病学

これも2人勤務の土曜日の症例。

後肢跛行する馬の蹄に見つかった蹄骨の欠損。

後肢なので全身麻酔する。

蹴らないと約束してくれたら立位でやるんだけど・・・笑

たいていは蹄底の平滑部なのだが、大きいこともあり蹄叉よりだ。

蹄叉尖の辺りを壁に穴を開けるためのドリル先で掘る。

経験しているので、こういうのが入っていることはわかっている。

開けた孔はそれより小さかったが、keratomaは硬くなく、空洞なので摘出できた。

最大級だな。

装蹄師さんがホスピタルプレート付き蹄鉄を着けてくれた。

痛みは、keratomaがある蹄が感染することで出てきたのだ。

keratomaは、きのう、今日、できたものではない。

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久しぶりの夜の開腹手術だった。

翌朝、入院馬が泊まっている入院厩舎へ向かう。

春はよくあんなに働けるものだと、自分でも思う;笑

 


装蹄教育センターご一行様見学研修 そして東京オリンピック2020+1

2021-07-25 | 蹄病学

先日、装蹄教育センターの研修生の皆さんが見学研修。

密にならざるを得ず、申し訳ないが換気には十分注意した。

そもそもエアコンもないので換気しないといられない。

霧が出た日で、涼しくて助かった。

              ー

生産地特有の蹄の疾患

生産地の獣医師の仕事

生産地の獣医師から見た馬の蹄

生産地の獣医師が思う獣医師と装蹄師のあるべき関係

などを話した、つもり。

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東京オリンピック2020が始まった。

いまだに反対意見を表明する人たちもいるようだ。

大いに意見を述べたら良い。

なんでも従順な、決まってしまえばおとなしく従うのは、もうこれからの世界の中で美徳ではないだろう。

             ー

私はきのう2回目のコロナワクチンをうってもらってきた。

今、接種後19時間。

局所のわずかな腫れと熱と触ったときの違和感以外なんの異常もない。

             ー

コロナワクチン接種も間に合わなかったので、オリンピックのボランティア馬外科医もお断りしてあった。

やる以上、無事で充実したオリンピックになることを願っている。

TVの前で応援しようと思う。

選手たちのためにというより、選手たちの姿に自分が感動と感銘を受けられるからだ。

日はまた昇る。

 

 

 

 


蹄側蹄冠裂のその後

2020-12-15 | 蹄病学

3週間前、右後ろ肢の外側蹄側蹄冠部を大きく裂いてしまった3歳種雄馬。

怪我して18時間以上経っていたようだし、傷は汚れていたし、

おまけに蹄冠部の血管叢がむき出しになっていて、デブリドすると血が噴き出すので徹底してきれいにすることはできなかった。

蹄軟骨も切れていた。

Distal Limb Castを巻いて3週間。

キャストの上に滲出があったり、キャストトップが当たったりはしなかった。

distal limb cast ってあんまりやらないけど、良いかも。

うるさい種雄馬なので、しっかり鎮静して、鼻ネジして、右前肢を持ち上げておいてギプスカット。

傷の状態はとても良い。

角質部は当然癒合しない。

しかし、蹄冠がだいじょうぶなら蹄はまた伸びてくる。

distal limb cast の蹄底部は磨り減ってなくなり、土や汚れが入っていた。

ずっと完全に覆っていたい、例えば蹄底に大きな穴を開けた症例なら、もっと保護が必要だろう。

          ー

下肢の傷をキャストで動かなくすることは傷の癒合にとても良い。

もっと使うべき症例があるのかもしれない。

逆に、傷を負ったまま歩き回ってしまう馬の創傷管理の難しさを思う。

受傷部を高く保って、ベッドでおとなしく寝ていてくれればこんな苦労はないのだけれど。

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本格的な冬の寒さがやってきた。

暖かくして寝ていましょう。

 


蹄側裂創

2020-11-24 | 蹄病学

初冬の日曜日。

5頭が来院の予定。

朝イチは、第一指骨の腐骨・骨柩症。

吸入麻酔して、手術台で仰臥にして、

骨増勢を削って、腐骨を摘出して、贅骨を削って終了。

           ー

その終了前に、飛び入りで3歳種雄馬の外傷。

後肢で、傷も汚れているので全身麻酔しないとまともな処置はできない。

妙な歩き方をしているのも気になる。

繋の外側なのだが、蹄側壁にかかっており、蹄軟骨も一部切れていた。

蹄踵部の蹄壁も切れている。

傷は汚れていて、どうやら前日に怪我していたらしい。

それを収牧の時には発見できなかった。

朝、馬房から出すときに気付いた。

蹄冠部は血行盛んな部位で、少し奥には血管叢がある。

馬房内でかなり出血していた、とのこと。

洗浄したが、擦ると血管叢が傷ついて出血する。

縫合し、distal limb cast を巻くことにした。

本当は half limb cast を巻きたいが、560kgある種雄馬。

運動不足のようだ。

half limb cast ではリスクが高まる。

この準急患の間に、予定していたTieback re-check。

        ー

午後は、去勢。

競走馬の浅屈腱炎の PRP&cast 治療のキャスト除去と超音波検査。

この日、6頭目は、骨盤骨折疑いの当歳馬。

立位でポータブル撮影装置で股関節を撮影したが、股関節臼に骨折はないように見えた。

全身麻酔して大型X線装置で骨盤を撮影。

恥骨部で骨折していた。

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ニシキギも葉が散った。

オレンジの小さな実だけが楽しませてくれる。

 

 

 

 


多数の蹄のXray

2020-10-25 | 蹄病学

先日の蹄処置をテーマにした実習の中で蹄のXrayをたくさん撮った。

(と言っても、4頭16蹄)

いろいろな蹄があり、中にはひどい慢性蹄葉炎でそれが最期の引き金だったろうと思う蹄もあった。

蹄底が薄いのやら

蹄底が厚いのやら

しかし、これだけの蹄をXrayしても、蹄内に感染巣だと思われる透過像はなかった。

だから、ごくごく小さな透過部でさえも、あれば蹄感染、蹄膿瘍の所見だと考えても良いのだろう。

生産地では”砂のぼり”の馬はとても多い。

中にはこじらせているのが居る。

獣医師が積極的に関与して、Xrayで部位を特定してから対処するようになれば、

より正確に病態が把握でき、こじれる症例を減らせるのではないだろうか。

牧場も、装蹄師さんも、遠慮しないで獣医師にX線撮影を頼めば良い。

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虹のたもとには金が入った壷が埋まっている、と言うのだそうだ。

場所、覚えておいて堀りに行くか;笑

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飼主を置いて逝ってしまったワンコは、虹のたもとで飼主を待ってくれているのだそうだ。

「近すぎるヤン。散歩コースの途中ヤデ。」

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コントレイル!! おめでとう!!!

めずらしく生中継を観れた。

強かったね~ でも危なかったね~

頑張った!!