Evidence Based Medicine 根拠に基づいた治療の考え方を、外科にも応用しようと提唱している人もいる。
学術誌「Veterinary Surgery」 にもEvidence Based Surgery を唱えた提案がなされている。
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nemobabaさんに教えていただいた整形外科医寺山和雄先生のHP http://www2.ocn.ne.jp/~orthopub/
長年、整形外科の第一線におられた経験に基づいた見識は、馬の手術をしているわれわれにもたいへん参考になる。
その中にEvidence Baced Surgery について懸念を述べられた一文もある。
http://www2.ocn.ne.jp/~orthopub/kaiho/kh108ebmgimon.doc
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私も同様の懸念を感じる。
内科治療なら、投与量、投与経路を統一すれば、2群に分けた対照試験が可能だろう。しかし、外科手術でそれをするのはかなり難しい。
同じ器具を使い、同じ手技を用い、同じ手術をしたつもりでも、「同じ」と言えるかどうか。
同じ手技の手術でも、毎回うまくやろうと努力が必要で、そしてうまくできたかどうかは毎回違うのが手術というものだ。
そして、他所や他の外科医が出したevidence と同じ手術ができるかどうかもまた難しい。
外科手技には文章にできないコツが限りなくある。
外科医の技術は、最後はその外科医本人の指先にかかっているのだ。
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Evidence Based Surgery の確立を目指そうとする意見に反論するわけではない。
それどころか、もし可能であるなら素晴らしいことだし、実現に向けて臨床の中で努力していくことも、そしてevidence となる研究報告を出していくことも大切だと思う。
しかし、外科を科学的根拠だけに基づいて行っていくことは、困難なことだし、限界があることだと思う。